職人気質な人とどう付き合う?特徴が”丸ごと”分かる取扱説明書
職人気質とはこんな性格の人
職人とは手先の技術によってものづくりを行う人です。そんな職人の集団の中にいる人が持っている性質を、職人気質と呼びます。自分の技術に絶対なる自信を持ち、頑固だけども実直な、そんな憎めない人たち。現代の日本では職人の世界だけでなく、普通の職場にも増えています。では、職人気質な人たちがどのような性格をしているのかを見ていきましょう。
自信に満ち溢れている
職人気質な人は特化した技術を持っている人が多いです。そのため、自分の得意分野では絶対に負けないという自信を持っている人がほとんど。それは長い期間を経て知識や技術を磨いてきた証拠です。数々の信頼と実績が自信の根底にあります。
仕事の進め方が独特
職人気質な人は独自な仕事の仕方をする人が多いです。同じ職場で同じ仕事をしていても、全く異なる方法で作業を進めます。これは、本人の中にある絶大な自信による部分が大きいです。何度も同じ方法で結果を出してきた確かな技術により、ときには基本ルールに縛られない方法によって、完成度の高い仕事を成し遂げます。
哲学と美学を持っている
ほとんどの人は何かしら自分だけの考え方や流儀を持っているもの。それが顕著な職人気質の人は、揺るぎない信念の元に、自分の哲学や美学を持っています。自分なりの見方や経験によって物事のあり方を考えているのです。それは時に一般的な感覚と外れており、摩擦を生む場合もあります。それでも、「こうあるべき!」という自分哲学を曲げないのが職人気質な人の性格です。
金よりも完成度が大事
人が働く理由のほとんどはお金と言っても間違いはないでしょう。しかし、職人気質な人は違います。お金よりも大切なものがあると信じているのです。それは仕事にも表れており、報酬は高いけど自分の気に食わない案件よりも、安いがやりがいを感じる方を選ぶ場合もあるのです。 そして、食事中も睡眠時の夢の中でも自分の仕事や作品のことを考えています。四六時中でも仕事と向き合える性格は、まさに職人という感じです。
とにかく頑固
性格の中でも一番の特徴は、やはり頑固な所です。確固たる意志のもと、どんなにきつく言われても自分の意見を曲げることはありません。自分の考え方とこれまでのやり方が絶対的に正しいと信じて疑わないからです。 多くの人が職人気質な人を苦手と感じる理由は、ここにあるのではないでしょうか?いい意味で自分を持っている人、悪い意味で理解できないといったところです。
仕事は責任を持って任せられるタイプ
良い意味で自分という確固たる存在を確立している職人気質の人。任された責任は必ず果たそうとする男気に満ち溢れています。そんなタイプの人だからこそ、仕事を振る側も安心してお願いできる点が魅力です。
基本的に手抜きはしない
自分の仕事に誇りを持っているため、仕事では常に完成度を高めることを考えています。そのため、常に全力で仕事を行い、手抜きをすることはありません。逆に言えば、どれだけ納期が差し迫っていたとしても、本気で臨むため時間ギリギリになってしまうことも多いです。
特化した技能者が多い
職人気質の人は、何かしらの分野を極めている人が多いのが特徴です。建築関係やデザイン関連など、技術を前面に活かせる職で大きな能力を発揮するでしょう。事務職であってもExcelの作業に特化していたりするなど、完成度の高い仕事を目指しています。
職人気質な人が多い仕事5選
特化した能力で活躍している職人気質の人は、どんな仕事に多くいるのでしょうか。今回は5つの業界ごとに紹介していきます。該当する業界で働いている人は、身近に職人気質な人がいるはずです。
設計関連
職人的な性格を最も発揮できるのは、何かしらのものづくりです。特に機械の設計分野においては、その気質を最大限に発揮できます。高いスキルが必要とされるため、職場内でも非常に重宝されているはずです。 自分の匠な技術だけでなく、設計した機械が人々の役に立っているという誇りこそ、職人気質の人を動かす原動力になっています。
設計関連の仕事
- 自動車関連
- 半導体
- 工業製品
システムエンジニア
アプリやソフトのデータを組み立てる仕事であるシステムンジニア。IT化の進んだ現代に欠かせない仕事にも、職人気質の人は多く活躍しています。PCへの圧倒的な知識と、新技術への柔軟な対応によって、常に最前線で戦っているです。職人気質な成果ゆえに、周囲とはあまり話さない性格も、1人でも黙々と作業に没頭できるこの仕事に向いているといえます。
クリエイティブ系
デザインや造形などのクリエイティブ系にも多くの職人気質な人が働いています。納期がタイトなため長時間労働になりがちな業界内においても、お金や待遇面よりも自分の作品の完成度を優先するスタイルによって、タフに生き残っているのです。 出来上がったデザインや造形物は、クライアントへ納品するわけですが、そこで修正を依頼される場合もあります。気難しい職人気質といっても、作者としての自分の意見を抑える気持ちも必要とされるのです。
クリエイティブ系の仕事
- 映像関連
- デザイン関連
- 工芸品関連
- 特殊造形
個人経営の飲食店
全国展開しているチェーン店ではなく、街の定食屋や個人経営のラーメン屋などにも職人気質な店長がいます。自分の出す料理に絶対の自信を持っているため、お客さんとトラブルになることも。それでも確かな味が口コミで広がっているため、人の列が絶えることはありません。
建設関連
建設現場もものづくりの世界です。大工やとび職人など、伝統の技術を受け付いて働く人々も職人気質の場合が多いです。「仕事は見て覚えろ」という風習が残っており、厳しい環境下で働きながら技術を磨き、一人前の職人になるのです。命がけの仕事でもあり、常に本気で働く人たちでもあります。
同じ職場ではやりづらい一面も
職人気質の人たちは確かな仕事をしてくれる反面、自分のやり方に自信を持っているため、考え方を曲げません。そのため、一緒に仕事をするとなると、かなり気を使わなくてはならないでしょう。面倒だと思わずに彼らのこだわりを理解してみてください。
その日の気分で仕事が変わる
職人気質な人は仕事に対する明確な軸を持っています。しかし、その日の気分や直近の出来事によって、やや出来栄えに差が生まれてしまうのも事実です。つまり、かなり気まぐれな人も多いということです。 仕事を頼む場合には言葉づかいはもとより、相手の機嫌を伺いながら交渉する必要があります。日によってテンションが変わってしまうのは、少し面倒です。
全く融通が利かない
職人気質の人には自分の軸があるため、外部の影響があっても全くぶれません。それは良いことなのですが、逆に言うと、融通が利かない人でもあります。仕事を振る側としてクライアント側の要望などを伝えようとしても、「俺はこの方法でやってきたのだから変えない!」という頑固な姿勢により、却下される恐れもあるのです。 他にも、ある程度作業が進んだ時点で仕様の変更を頼んでも、断られる可能性が高いでしょう。自分を持っている人だけに、周囲の意見を全く通さない、融通の利かなさは大問題です。
言葉のキャッチボールが難しい
融通の利かない人に対しては話し方でも気を使うもの。仕事の連絡1つにしても、中々キャッチボールが成立しません。「納期が早まったのですが…」と尋ねても、「俺はそんなのは聞いていない!」と返されるなど、話がまるでかみ合わないのです。 細かい意志の疎通がうまくいかないと、最終的には大きな違いに発展します。完成品が仕様と違っていたなど、納期直前に発覚することも起こり得るのです。
完成度重視で納期が遅れるケースも
とにかく仕事の完成度に強いこだわりを持つ人が相手だと、納期までに終わらせてくれません。こちらからどれだけ催促しても、「不完全なものを世に出せるか!」などと言って聞いてくれません。 ゲームのソフトの発売日がやたらと伸びるのも、このような気質の人たちが完成度を高めようと必死になっているからです。結果としてユーザーに満足してもらえるゲームの完成度になったとしても、出版や流通関係者からの信用はガタ落ち。かなりの売上を出せなければ、次のチャンスは巡ってこないかもしれません。
「仕事は見て覚えろ」なので教えてくれない
職人の世界には明確なマニュアルが存在しません。昔から技術は「見て覚えろ」という伝統があるからです。そのため、職場に職人気質な人がいても、仕事を教えてもらえる可能性は限りなく低いでしょう。 「ここが分からないのですが」と尋ねても、「そんなもん、自分で考えろ!」と一蹴されてしまいます。考えてもわからないから質問しに行ったのに、これではどうしようもありません。後進も育たずに人材不足になりやすい点は、組織として非常に問題です。
職人気質な人の取扱説明書
強いこだわりを持つがゆえに、一緒に働くと疲れてしまう職人気質タイプ。それでも仕事をしなければならないときは、どうすればいいのでしょう。ここからは、そんなお悩みを解決していきます。題して、「職人気質な人の取扱説明書」です。これを読めば職場のあの人や、取引先のあの方とも、友好的な関係になれるかもしれません。
1:敬意を持って接しよう
職人気質な人と仕事をする上で、最も意識すべきは敬意をみせることです。圧倒的な自信を持つ人たちに対し、上から目線で接することは絶対にNGですよ!逆に下からすぎるのもあまり快く思われないので、敬意を抱く際にはバランスを心がけましょう。 「この仕事はあなたにしかできません。お願いしてよろしいですか?」のような、あなたの確かな技術に対して、我々は仕事を依頼したという感じを出していきましょう。そうすれば、敬意と誠意が伝わるはずです。
2:やり方の流儀に口出ししない
仕事をスムーズに依頼できても、まだ安心はできません。仕事が進み始めてからも、作業工程まで細かく指示を出すのは避けるべきです。ご存知の通り、職人気質の人は自分のやり方の流儀に自信をもっています。それを捻じ曲げるような言い方は絶対にしてなりません。 作業の進め方は職人気質の人のやり方にまかせ、自分は時折顔を出して状況を確認するだけに留めましょう。あまりに口を出し過ぎると、やる気を無くされる恐れもあります。
3:絶対に怒らせてはいけない
なぜ、ここまで気を使わなくてはいけないかというと、職人気質の人は気が短い場合は多く、すぐに怒こってしまう可能性が高いからです。一度でも怒らせると仕事がうまくいかないだけでなく、後々まで尾を引いてしまいます。 頑固さに隠された繊細な心を傷つけないためにも、言動には細心の注意を払っておきましょう。職人気質タイプの人には、あくまでも気持ちよく仕事を進めてもらう必要があるのです。
4:気持ちよく仕事をしてもらう
気持ちよく仕事をしてもらえば、発注した作業もより完成度の高いものにできるでしょう。なるべく口を出さず、本人流のやり方に任せるのです。最初は不安も多いと思いますが、何度も仕事をしていくと、職人気質な人の個性や特徴が見えてくるでしょう。 できれば様々なタイプの職人気質な人と仕事をしてみて、それぞれの長所と個性を見いだせる様になるのが理想です。
5:スケジュール管理だけはしっかりと
道中に口出しをするのは厳禁ですが、1点だけ注意すべき要素があります。それは仕事の納期です。職人気質な人は自分が納得するまで仕事を続けてしまいがち。そのため、気が付けば納期2日前なのに、全然出来上がっていないという事態も起こり得ます。 ですから、きちんとこの日までにはこれくらいまで仕上げておいて欲しいという意志だけは、明確に伝えておく必要があります。このときも必ず敬意を持った言い方を心がけてくださいね。完成間際になってやる気を失われてしまったら、これまでの気苦労が全て無駄になってしまいますよ。 スケジュール管理の仕方の詳細は、『定時帰宅が当たり前!仕事効率を"超絶"高める28の作業術』を読んでいただけると分かるかと思います。
特徴を知ってうまく付き合えれば百人力
一緒に働くとやや面倒、というイメージが付きまとう職人気質タイプ。それでも、取扱説明書のようにうまく付き合うことで、仕事で大きな成果を発揮してくれます。最後に、職人気質タイプの人とうまく付き合うための心得をお教えします。
得意分野ごとに仕事を振ろう
仕事をお願いした後も、作業内容は注意して見ておく必要があります。出来上がりの内容と作業中の状況を踏まえたうえで、どういう仕事を任せれば一番力を発揮できるのかを知るべきです。適材適所ともいうべき、仕事に合わせて依頼する職人タイプを選べるようになるのが理想形といえるでしょう。
足りないものを補い合う関係が理想
自分にない専門的な高い技術を持つ職人タイプ。対して、彼らにも足りないものがあります。それは時間の管理や自分をプロデュースする能力です。いい意味で職人肌なので、仕事一直線になりがちな彼らの短所を補っていきましょう。 納期の管理や他部署との連絡など、職人気質タイプが苦手とする部分を請け負うことで、仕事をうまく回していくのです。非常に効率的な関係を築いていければ、理想的なパートナーになれます。
結局は信頼関係が大事
異なるタイプ同士でうまくやっていくには、協調性だけでなく相手を思いやる気持ちも必要です。仕事のために利用するという考え方では、いつか関係性が崩壊してしまうでしょう。職人気質な人はとても繊細だからです。 だからこそ、お互いに信頼を持って仕事をしていくスタイルを確立できれば、何倍もの成果を出していけるでしょう。仕事以外でも少しずつ理解し、仲良くなっていけると素敵です。
職人気質な人の特徴を理解してうまく付き合えば良きビジネスパートナーになれる
頑固で面倒だと思っていた職人気質タイプ。実は常にまっすぐで繊細な一面がありました。仕事への熱意をうまくサポートし、お互いの弱点をかばい合える関係になるのが、職人気質な人とうまくやっていくコツになります。 気難しいけれど、どこかにくめない人たちの取扱説明書を読んで、考えた方や流儀を理解してみてください。素敵なビジネスパートナーになれるかもしれません。
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