損か得か…早期退職で失敗しない完全マニュアル【全年代】

2017年7月12日早期退職

早期退職とは一体何だろう?

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早期退職と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?文字通り「早く退職すること」と捉える人もいれば、「クビなんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんね。実は、早期退職が意味することは複数あるのです。

早期退職=早期優遇退職制度

早期退職といったときは、『早期優遇退職制度』を指すのが一般的です。常時行っているケース、業績悪化に伴って行なわれるケースがあります。 一定以上の年齢の従業員を対象にしている制度は、「自主的に辞めてくれる人を募集する制度」ともいえますが、単に「辞める人を募集します」といっても希望者は出てきませんよね。そこで、企業側は、応募者に対して退職金の割増しなど、いくつかの"優遇措置"をとるのです。 なお、臨時に早期優遇退職を実施する”リストラ”の場合は、ある程度流れが決まっています。

早期優遇退職はリストラの第一段階

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リストラには複数の段階があります。

■リストラ第一段階:希望退職の募集

これがまさに” 早期優遇退職制度”で、退職者に有利な条件があります。なお退職希望者が予定数に達すると、そこで募集は終了します。ほぼ全社員に告知をするため、誰が辞める(応募する)か分からないのが企業側にとってのネックです。

■リストラ第二段階:退職勧奨

肩叩きとも呼ばれる段階で、対象社員と個別面談をし、退職を促す(勧奨する)ものです。あくまでも決定権は社員側にあるとはいえ、承諾すれば自己都合退職になってしまうリスクも。

■リストラ第三段階:整理解雇

こちらは”解雇”の一種に該当するため、基本的に拒否できません。整理解雇をするために、会社側に必要とされる条件は以下の四点です。

注目ポイント!

整理解雇に必要な条件

・第一に、リストラ(人員削減)に必要性がある

・経営者が解雇を回避するために努力をした過程がある

・リストラの手続きに妥当性・合理性がある

・労働者への説明および協議をした事実がある

以上の4つの条件がそろわないと、従業員側からリストラが「不当な解雇」や「無効」とされ、裁判に発展するケースもあるのです。

早期"離職"を早期退職と呼ぶ場合も

単に早い段階で会社を辞めてしまうことを、早期離職と呼びます。本来は早期退職は早期離職を指していませんでしたが、20代の場合、早期離職のことを早期退職と呼ぶ人も多いようです。実際、新卒社員が3年で3割辞めるともいわれ、第二新卒の転職は大きな注目を集めていますよね。

会社都合?自己都合?

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会社を辞めるとなると、退職理由が「自己都合」か「会社都合」かは非常に気になりますよね。雇用保険(失業保険)の給付制限にも関わってくる大事な問題です。 労働者からの"自発的"な申し込みは自己都合退職として扱われます。早期退職優遇制度が常時設置されているのであれば、こちらのケースに該当。 一方、リストラ目的であるならば「解雇等による退職」になりますから、会社都合退職に。 このように、早期退職は会社都合退職になるのが"原則"です。とはいえ、なかには無理やり自己都合退職で丸めこもうとする会社もありますので、油断はできません。口頭・書面で担当者にヒアリングするのがベストです。

公務員にも早期退職募集制度がある

早期退職と聞くと、一般企業での出来事のように感じるかもしれませんが、公務員にも「早期退職募集制度」というものがあります。以前は肩たたきや勇退と呼ばれていたものですが、正式に早期退職募集がされるようになりました。退職金減額に伴い、地方公務員の退職が増加傾向にあります。

早期退職のメリット・デメリット

退職金の割増しは嬉しいメリット

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最大のメリットとして、割増退職金が支給されることが挙げられます。通常は、会社在籍期間分の退職金しか出ないものですが、優遇措置を受けると、1年分の給料などが加算されて支給されるのです。そのお金を使って、会社を辞めた後に自営業をする人もいるみたいですね。

でも生涯賃金は減ってしまう?

退職金が多いからメリットばかりかと言えば、そんなことはありません。退職金を多めにもらったとしても、生涯賃金が減ってしまう可能性があります。というのも早期退職をすると、たいてい年金受給額が減ってしまうから。 退職後に就職しない場合は、厚生年金には加入できませんよね。会社勤めであれば国民年金と厚生年金の”2階分”もらえるのに対し、就職していない期間は国民年金のみの加入になってしまいます。 退職金が増えたとしても、定年まで働いた場合の全収入より少ないのであれば、当然生涯賃金は減りますよね。

貯金を切り崩しながらの転職

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新しい職場が早々に見つかるラッキーな場合をのぞき、貯金を切り崩しながら転職活動をする人がとても多いです。退職金を多めにもらっても、転職活動で出費がかさむと割増し分はどんどん減っていきます。

再就職がなかなか決まらないケース多数

たとえ会社都合であっても、早期退職をすると「何か問題を起こしたのかな」「本人にも非があるのかもしれない」など、ネガティブな見方をされるリスクがあります。そのため、再就職先が見つかるまでに、思いのほか時間がかかるという点をおさえておかなければなりせん。

早期退職の事例

ルネサスエレクトロニクス

ルネサスエレクトロニクスは、三菱電機と日立製作所から分社化したルネサステクノロジと、NECから分社化したNECエレクトロニクスの経営統合によって生まれた大手半導体メーカーです。 市場変化の激しさもあり、複数回にわたりリストラを敢行してきました。会社を去った社員が派遣会社に再就職したあと、派遣社員として再雇用されていることがしばしば問題視されています。

シャープ

大手電機メーカーのシャープは経営不振が続き、2012年に3,000人、2015年に3,200人の人員削減をしてきました。2016年に台湾の鴻海精密工業による買収が決まった後も、人員削減方針が発表されています。

ソニー

ソニーは、2010年代に入ってからリストラを繰り返しています。2015年にも、モバイル分野で2,100名の人員を削減することが発表されていました。 創業者の盛田昭夫氏は社員への思いやりに満ちていたことで有名で、「社員をレイオフしてはいけない」と述べていたそうですが、今日では、終身雇用を維持することがかなり難しくなっていることがうかがえます。

割増退職金の相場

応募するかどうかは割増退職金はどれくらい支給されるのでしょうか?以下、口コミを基にした割増退職金の額です。 【3社の割増退職金】 ルネサス:581万円 シャープ:750万円 ソニー:2,500万円 口コミを見てみると、企業ごとに大きな開きがあるようですね。大手企業であれば1,000万円台に乗る可能性も考えられますが、経営が弱っている中小企業の場合、400万円~600万円が相場といえるかもしれません。

50代の早期退職とその後の対策

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50代になると、半数以上の人が「社内で早期退職者募集が実施されたことがある」そう。それだけ、早期退職は身近で起こっているという証拠ですね。 ただ50代の場合、再就職の必要がない場合があります。住宅ローン返済の目途が立っている人は、「働かなくてもいいかな」と感じるのではないでしょうか?

再就職の必要があるかを慎重に判断

再就職の必要性がある人は、あまりのんきなことを言っていられません。もしも再就職の必要性を感じるなら、これまでのキャリアに関係なく年収が下がるリスクを想定しましょう。元の70%程度まで収入が落ち込むのはざらで、なかには50%になってしまったなんて人も。 「もう働かなくてもいいや」という人は早期退職してしまってもいいかもしれませんが、「まだまだ住宅ローンが……」という人は、慎重に再就職先を探してください。

40代の早期退職とその後の対策

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50代と異なり、40代で早期退職した場合は転職が必要不可欠です。にもかかわらず、年収が下がるリスクがある点は50代と同じ。見切り発車で退職を決めず、早期退職する前に入念な転職準備から始めましょう。

多めにもらった退職金を上手に運用

退職金を上手に運用すれば、年収がダウンした分をカバーできるかもしれません。低い利益率でも、定年退職する60歳~65歳まで運用を継続すれば、年収ダウン分を補える可能性があります。 50代に比べて再就職後の時間が長いからこそ、そのメリットを十分に活かして資産運用してみてください。

30代の早期退職とその後の対策

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30代の場合は、転職でキャリアアップを果たす人が多いようです。仮に年収を下げたとしても、長期的に見れば元の年収より上がるチャンスの方が大きいでしょう。早期退職をどれだけ前向きに捉えられるかがカギになります。

経験を活かす方法を論理的に説明する

注意すべきなのは、やりたいことがないのに希望退職してしまった場合です。未経験の仕事にチャレンジすることも可能ですが、これまでの経験をどうやって活かすのかを論理的に説明できないと内定は貰えません。

20代の早期退職とその後の対策

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一般的に、早期退職(リストラ)の対象になるのは中高年の社員です。ところが、今後は20代が早期退職せざるを得ない状況が増えると考えられます。 ベンチャー企業をはじめ、20代30代だけで構成される会社が増えたことも一つの原因です。

熱意と潜在能力をアピールして転職

また、冒頭でお伝えしたように「早期離職(早く辞めてしまうこと)」を早期退職と呼ぶケースも増えてきています。あなたの周りにも、20代ですぐに会社を辞めてしまった人はいませんか?20代で会社を辞める人は今後も減らないだろうと推測できます。 とはいえ、何もスキルを身に付けず職を転々とできすほど現実は甘くありません。第二新卒の転職では、熱意と潜在能力が求められます。

このままじゃ年収が下がると思ったら

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20代や30代の転職であれば、一度年収が下がっても取り戻せばいいやと開き直れるかもしれませんね。しかし40代50代ともなると、そう簡単には収入ダウンを受け入れられないのでは?「このままじゃ年収が下がる」と思った時の対処法をご紹介します。

エージェント利用はマスト

特別な人脈やコネがないなら、自分一人の力に頼らず転職エージェントを使うのが賢明でしょう。年収が下がるリスクを最小限にとどめ、これまでのキャリアから導き出される最善の職場が見つかります。 また、これまでのキャリアに誇りを持っているから大丈夫!という人ほど、実は要注意です。中高年の転職に限らず、オーバースペックな人材は採用されにくいという現実があるからです。

各年代別の悩みに対応してくれる

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サイトを使えば求人を見つけられますが、年齢で落とされてしまうことも珍しくありません。大手転職エージェントであれば、各年代に最適な求人紹介、面接対策を実施してくれます。CMなどの広告はたいてい若年層向けに作られていますが、実際の利用者の中には40代50代の人もたくさんいるみたいです。

最後に注意点!早期退職は慎重に

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退職勧奨を拒否する方法

退職勧奨を受けたくなければ、拒否することができます。あまりにもしつこい場合は、会社へ通知書を提出するのもアリです。裁判になった際にも証拠として残るように、コピーを取っておきましょう。 またなかには、退職金の水準を引き上げてもらうように交渉し、納得いく金額が提示されたら辞めるという人もいるようです。

希望退職を会社に拒否されることも

実は、会社側は希望退職の申し出を拒否することができます。会社側が「優秀な人材には辞めてほしくない」と願うのは、当然ともいえますね。 拒否された場合は、正規の退職金が支払われるものの、割増し分は受け取れないので注意が必要です。お金欲しさで早期退職するよりかは、慎重に検討した方がずっといい将来が待っているでしょう。

早期退職はお金と再就職の悩み解消がカギ

以前は40代以降の人にしか関心を持たれなかった早期退職も、今後は20代にとっても無視できない問題になるでしょう。リストラの一環として実施される早期退職に限らず、第二新卒をはじめとした”早期離職”にも大きな注目が寄せられていますよね。 今後いつどこの会社で、誰が早期退職せざるを得ない状況になるか分かりません。これまで順調にキャリアを積んできた人も、お金と再就職で思わぬ壁にぶつかる可能性も……。慎重に、かつ早め早めに対策を取ることで、早期退職による失敗リスクを減らしてください。退職後も、納得のいく道を歩めることを心から応援しています。

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2017年7月12日転職

Posted by BiZPARK