若者が使う言葉の乱れからみる時代の変化
実は昔からあった若者の言葉の乱れ
この、現代社会の若者の言葉の乱れは、実は現代だけではなく、昔のわが国日本でもたびたび同様の問題として登場しています。兼好法師が「何事も、古き世のみぞ慕はしき。今様は、無下にいやしくこそ成りゆくめれ」と彼の書で語っています。「昔の言葉は良かったが、最近の言葉遣いの有様はとても下品になってしまっている」というものです。このように日本の歴史を見ても、昔から若者たちの使う新しい言葉がそれまでのものよりかけ離れ、ひいては崩れ変化していくことに対し、違和感を覚えてしまう人々はたくさんいたのです。
若者の言葉の乱れ「ら抜き」「語尾上げ」
ら抜き言葉の代表的なものとして
・「食べられる」→「食べれる」
・「見られる」→「見れる」
のようなものがあります。これらは、昨今簡略化され省略された言葉遣いたちの総称です。きちんとした場で「見れる」という表現はいまだにタブーとされています。しかし今では、時代の変化によって普遍的に浸透してしまっているものも多くあり、このら抜き言葉、地方で生まれた言葉遣いが都心部に浸透した結果定着していくようになったのだといいます。近代の言葉の変化の一部として捉えてもいいのかもしれません。もうひとつ「語尾上げ言葉」これは話し方の問題で、「わたし○○だからぁ〜↑」というように語尾を延ばしてけだるく話す若者の言葉の乱れの中でも最もイメージしやすい1つだと思います。このようにさまざまな変化があります。
若者が使う言葉の乱れにおける代表的なもの
時代の変化による若者の言葉の乱れのなかでも、印象的なその代表格を紹介していきたいと思います。
・ヤバい/(すばらしい、危険だなどの感動表現全般)
・とりま/(とりあえず、まあの略)
・disる/(disrespectの頭文字をとったもので誹謗中傷すること)
・あーね/(あーそうね)
・それな/(そうだよね)
など、少しピックアップしただけでも、知らない言葉たちが並んでいるという人も多いのではないでしょうか。若者が使う言葉の乱れは話し方だけでなく、文章にも変化が見られることが分かりますね。
「やばい」という言葉が日常に浸透してきている
若者の言葉の乱れの中でも代表といえる変化の例に、「やばい」という表現があります。これは、犯罪者などが身の危険を感じたときに「やばい、どうしよう」などと言葉を使い表現していたことが始まりです。警察に捕まる犯罪者が身を案じ「危険だ、悪い予感がして仕方が無い」などの意味で用いられることが多かったこの言葉が、いつしか「この商品やばくない?」「すごいやばい作品だった〜!」というように、若者たちの間では「すごい!素敵!」というような評価される、むしろ肯定されるための言葉に変化していきました。いくら変化したとはいえ、この言葉に対する「やばいだけでは、出来事の説明が不十分」という意見も多くあります。
時代の変化による若者の言葉の乱れはイントネーションにも表れている
若者の言葉の乱れはイントネーションや言葉の節々で表れることもあります。たとえば女性の会話1つ取ってみても、「今日こんな場所にいったらね?景色がね?とっても素敵だったんだけどね?そしたらね?」というように話す若者もいるのです。語尾上げ言葉も併用しながら一つ一つの単語や会話の節々で明確に話しを区切り疑問形にすることで、相手に同意(共感、うなずき)や反応を促し、相手との距離感を測るために、元々あった日本語をくずして相手との積極的な交流のために簡略化、短い時間で会話ができるように変化させていったものもあるのです。このようにさまざまな箇所を取ってみても詳細な変化があることに気付くはずです。
メディアからの影響もあった若者の言葉の乱れ
広告をはじめ、多くのメディアでこれら若者の言葉の乱れが問題となっている昨今、そのメディア自身にも多く普遍性を持って使われることが多いのはどの媒体を見ても明白です。2000年代前半一躍人気となった「おっは〜!(おはようございます)」という流行語や、いまや死語となった「ちょべりば(超ベリーバッドの略)」など、テレビやラジオ、芸能人などメディアを通して広まっていった若者言葉も数多くあります。メディアで問題視されるだけでなく、世の中のムーブメントと連動し広まっていった言葉の乱れもたくさんあるのではないでしょうか。
時代の変化そのものが若者の言葉の乱れとなって現れている
このようにたくさんの事例から見ても、会話中のさまざまな箇所を取ってみても昔からある日本語たちを一部修正した若者独自の表現はたくさんあります。フランクな流用、元々使われていた美しい原形から大幅に変化してしまったものまで、幅広いものがあることに気付きます。若者の言葉の乱れを嘆く、世の大人の方々の意見も多数あると思います。その半面で、時代時代によって言葉の使われ方からイントネーションまで、多くの変遷を辿って変化してきた結果、現在があるというのも事実です。世相や流行、若者たちを取り巻く社会環境などとともに、これからの時代も若者の言葉の乱れは、ますます変化をみせていくものだと思われます。
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