諭旨退職とは?意味と諭旨解雇・懲戒解雇の違い
諭旨退職とは労働者に対して行われる懲戒処分のひとつ
諭旨退職とは、一言でいえば懲戒解雇よりも軽い退職処分のひとつ。そのほかにも、諭旨解雇という処分もありますが、こちらともまた意味や扱いが異なります。まずは、諭旨退職とはどんな処分かについて、お伝えします。
自己都合退職と同等扱いのため失業保険も退職金も支給される
使用者が労働者に対して行う懲戒処分のひとつが諭旨退職です。懲戒解雇と同等の重大な事由がありながらも、本人の反省具合や会社の配慮により、処分を若干軽くした解雇になります。労働者の責任によって生じた業務上の支障や損害に対して一方的に解雇するのではなく、双方で話し合い、お互いが納得したうえで解雇処分を受け入れる考え方です。
失業保険については、3ヶ月間の期間は必要ですが、きちんと支給してもらえます。また、退職金についても通常の自己都合退職と同等扱いのため、支給されます。
諭旨退職では「退職願」や「退職届」が必要
諭旨退職は解雇される形をとるのではなく、処分を労働者が受け入れる形のため、退職願もしくは退職届の提出が必要。そのようにして、依願退職の形をとるのが諭旨退職です。基本的には、離職票にも、「自己都合退職」と書かれるはずなので、転職に大きな影響が出ることは考えにくいでしょう。
諭旨退職・諭旨解雇・懲戒解雇の違い
諭旨退職の意味や扱いについて解説してきましたが、そのほかの処分として諭旨解雇という処分があります。また、懲戒解雇との意味や扱い方の違いについても、改めて確認しましょう。
もっとも罪が重いのが懲戒解雇
諭旨退職・諭旨解雇・懲戒解雇のなかでもっとも罪が重いのが懲戒解雇です。金銭の横領や犯罪など、取り返しのつかないような重大な過失を起こした場合にこの処分が下されます。懲戒解雇の場合、退職金は1円も支払われずに解雇予告もなしに即日解雇され、当然、再就職は相当厳しい状況になってきます。退職金は支給されませんが、失業保険に関しては「自己都合」と同じ扱いで、約3ヶ月後に支給されます。
対して、懲戒解雇に相当する事由だが、それよりもやや軽い解雇とすることを諭旨解雇と言います。諭旨解雇の場合は、原則として退職金が支給されませんが、会社への貢献度などによって、一部または全部が支払われるケースもあるようです。失業保険については、会社都合扱いになり、3ヶ月の期間を待たずに7日で支給されます。
諭旨解雇は、諭旨退職とは異なりキャリアに傷がつき、転職が厳しくなる可能性も十分考えられます。厳しい処分であるがゆえに、諭旨解雇を行う場合は下記2点の要件が必要です。
・あらかじめ就業規則に諭旨解雇の事由が明記されていること
・本人に弁明の機会が与えられること
諭旨解雇よりも軽い処分が諭旨退職
最後に改めて意味をご説明すると、懲戒解雇よりも軽い諭旨解雇よりも、さらに軽い処分が諭旨退職となります。諭旨退職は、懲戒解雇や諭旨解雇に比べると、処分が大幅に緩やかになっていることがわかります。
諭旨退職とは「自己都合退職」と同等扱いの処分
諭旨退職とは、懲戒解雇と同等の過失等がありながらも、本人の反省具合や貢献度などにより、処分を軽くし、「自己都合退職」と変わらない考え方や扱いになります。会社から本人に向けて、理由を諭して退職を促し、本人がそれを受け入れると諭旨退職になるということです。
ただし、そこで本人が拒否すれば諭旨解雇や懲戒解雇となってしまいます。もし、過失等の理由により退職を促された場合、拒否することでより重い解雇処分が下されてしまうため、受け入れたほうが最終的に自分のためになるといえます。
しかし、その過失が解雇処分に当たるものなのか判断できない場合は、一つ返事で受け入れずに、就業規則を見直したり、知識がある人に相談をするべきでしょう。処分方法によって将来のキャリアに大きく関わってきますので、十分確認を重ねたうえで対応してください。
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