介護保険料を節約するために世帯分離するメリットとデメリット
「世帯分離」の制度を利用し介護保険料の負担を減らす
介護保険は、介護を必要とする高齢者の負担を社会全体で負担するための保険制度であり、40歳を超えた人は加入する義務があります。しかしながら、条件によってはこの介護保険料の負担額が多く、親御さんの多額の介護費用を子供が負担しなければならない現実があるのです。その負担を少しでも減らすのに、世帯分離の制度を利用してみましょう。
世帯分離とは今ある世帯を分割して複数にする制度
世帯分離というのは読んで字の如く今ある世帯を分離することです。介護保険料の給付額は、自分の収入だけではなく、一緒に住んでいる家族の収入の皆無や額も反映されるので、世帯分離の制度を利用しなければ多額の介護保険料を負担し続ける必要があります。あまり知られてはいませんが、世帯分離の申請は、住んでいる地域の役所窓口へ行き異動届を提出するだけです。受理される条件は各地域によって異なりますが、比較的認められるようです。
世帯分離のメリットは何と言っても介護保険料の負担額が減る
世帯分離を行うと、介護保険の負担を減らすことができます。そして、これが一番のメリットでしょう。
介護保険の高額介護サービス費は5段階で分かれており、世帯分離をすることで以下の1~3段階のどれかに当てはまるようになります。
◆第1段階
・【自己負担限度額】1万5,000円
・【条件】世帯主全員が市町村民税非課税で老齢福祉年金受給者、または生活保護者
◆第2段階
・【自己負担限度額】1万5,000円
・【条件】世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下
◆第3段階
・【自己負担限度額】2万4,600円
・【条件】世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円超
◆第4段階
・【自己負担限度額】3万7,200円(2017年8月より4万4000円に変更)
・【条件】市区町村民税課税世帯(第5段階に該当する場合を除く)
◆第5段階
・【自己負担限度額】4万4,400円
・【条件】その者の属する世帯内に課税所得145万円以上の被保険者がおり、かつ、世帯内の第1号被保険者の収入の合計額が520万円(世帯内の第1号被保険者が本人のみの場合は383万円)以上
世帯分離をしても家族と一緒に住むことはできる
世帯分離、という響きから家族が離れ離れになってしまうと、想像してしまう人もいるのではないでしょうか。
実は、そんなことありません。生計が別であれば、同じ住所内で住むことができます。家族が離れ離れになることを危惧している人にも、オススメできる方法なのです。
世帯分離のデメリットは住民税が多く課税される可能性があること
世帯分離によって介護保険料が安くなるというメリットを紹介しましたが、実はデメリットも存在します。住民税にある世帯均等割により、納税額が高くなる可能性があります。世帯分離により、世帯が複数になるからです。しかし、徴収される額は数千円程度なので、メリットの方が高くなると考えた方が良いでしょう。
世帯分離で介護保険料を節約できるのは何時までか分からない
世帯分離の制度は、もともと介護保険料の軽減を目的に作られたものではありません。介護保険料の負担額が2割になったりと目まぐるしく制度が変わる今、制度改革によって介護保険料を節約できなくなる日が来るかもしれません。今は世帯分離で受けられるメリットがデメリットを上回りますが、それに頼って老後の設計を立てずに、頼らなくても良いような老後のプランを立てることが必要です。
介護保険料を世帯分離して節約するメリットは大きいが将来は分からない
今現在、介護保険料を世帯分離することで節約するメリットは大きいです。親御さんの介護保険料を負担するのが難しい場合は、世帯分離が出来るか役所に尋ねてみましょう。しかし、世帯分離制度が介護保険のために作られた制度ではないので、いつ制度改革が行われるか分かりません。そうなった時にデメリットを被らないよう、自分や家族が介護を必要とした際にどうすべきか準備をしていることが大切です。
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