産業医報酬における源泉徴収と消費税
産業医報酬を確認するには契約について知る必要がある
労働安全衛生法では常に50人以上の労働者がいる場合、そこの事業主は産業医を選任する義務があります。産業医とは事業において労働者の健康面などを管理・サポートする医師のことです。当然契約時には契約書を用意するのですがその時になって、これは雇用契約なのかそれとも委任契約なのか、委託契約になるのなら産業医報酬に源泉徴収は不必要なのか、税理士のように源泉徴収するべきなのか等悩むことがあるでしょう。
専属産業医は通常の雇用契約と同じになる
契約形態ですが専属産業医なら話は早いでしょう。通常の雇用契約と同じなので、産業医報酬も源泉徴収と同じ対応をすればよいだけです。しかし委任契約となると、給与となるのか委託料となるのか、その場合源泉徴収や消費税はどのようにすればよいのかわからなくなることもあるでしょうが、これには簡単なルールがあります。
個人での開業だと産業医報酬に源泉徴収が発生する
産業医報酬に源泉徴収が必要になるかどうかは、対象となる産業医が個人で開業しているか、それとも法人もしくは医療法人に属しているかによってかわってきます。基本的には個人で開業されている場合、委託料ではなく給与扱いとなります。よって源泉徴収は発生します。もちろん相応の理由があれば給与扱いではなくすることも可能なのですが、国税庁の質疑応答を確認すると原則給与扱いとするとの見解ですので、財務調査時には説明の必要があるでしょう。
医療法人の場合は源泉徴収が必要ない
医療法人の場合、医療法人の医業収入の一部として扱われることになり、そちらの方で課税対象となります。なので源泉徴収は不用となります。ちなみに個人事業ではなく法人化されている場合、これも給与扱いにはなりませんので源泉徴収は不必要です。このように産業医がどの事業に属しているのかによって産業医報酬の形が変わってきますので、源泉徴収の必要不必要が変わってくることになります。
産業医の契約によって消費税も変化する
産業医が個人開業しているのか、法人化しているのか、医療法人に属しているのかによって産業医報酬の源泉徴収の必要不必要が変わってきますが、その他に変わるものはないのかというと、これはあります。それは消費税に対する課税です。産業医報酬が給与となるとこれにはもちろん一般的な給与と同じと考えてよいので消費税は不課税となります。よって個人開業されている方は、消費税が非課税です。
委託料扱いになると消費税が課税される
しかし委託料扱いになると消費税が課税される必要が出てきます。つまり法人や医療法人に属している場合、消費税は課税となります。源泉徴収の場合と全く逆のパターンとなってしまうので間違えないように注意してください。従業員がみな健康で安心して働くことができれば、従業員だけでなく、事業主にももちろん多くのメリットがあります。有効に活用するようにしましょう。
産業医報酬は契約によって源泉徴収と消費税が変化する
産業医が個人で開業しているか、法人か、医療法人に属しているかで産業医報酬に対する源泉徴収・消費税は全く逆となってしまいます。個人で開業されている場合、産業医報酬は原則給与となりますので、源泉徴収は必要、消費税は課税ありません。法人・医療法人に属している場合、産業医報酬は給与とはなりませんので、源泉徴収は不必要、消費税は課税対象となります。従業員の安全と安心のため、産業医は有効に活用するようにしましょう。
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