退職のタイミングを考える10のポイント〜上司に伝えるタイミングやボーナス・税金を考えた適切な時期・有休消化のコツ〜
- 1. 退職のタイミングを考える10のポイント
- 2. ①退職を【考える】タイミング
- 3. ②退職を【する】タイミング~転職活動後か前か~
- 4. ③退職を【する】タイミング~結婚・妊娠~
- 5. ④退職を【する】タイミング~緊急事態~
- 6. ⑤得する退職のタイミング~ボーナス後~
- 7. ⑥お得なタイミング~税金・社会保険(月末・年末等)~
- 8. ⑦お得なタイミング~有給消化~
- 9. ⑧退職を【切り出す】タイミング~法律・規則上の期限~
- 10. ⑨退職を【切り出す】タイミング~報告相手と理由が大事~
- 11. ⑩退職を【切り出す】タイミング~退職願・退職届の提出~
- 12. 退職の最適なタイミングが分からない場合は?
- 13. 最適なタイミングで退職するために10のポイントを押さえておこう
退職のタイミングを考える10のポイント
「退職したいけど、まずは何から始めればいいんだろう?」いつかは退職したいと思っていたけれど、毎日の仕事や用事をこなすことで精いっぱいで、退職にするのに必要なことを考えていなかった、というのは良くある話です。この記事では、初めて退職する人も、一度退職で失敗した人も、これから退職で損をしないために、わかりやすく10のポイントでご説明します。
①退職を【考える】タイミング
仕事でつらいことやしんどいことがあると、衝動的に「辞めたい」、と思うことはあるかもしれません。しかし、実際に退職を考えるまではいかないことがほとんどです。退職者が具体的にそれを考え始めるのはいつなのでしょうか。
退職経験者が退職を決めた時期
- 入社して3年経った時
- 仲のよかった同僚が辞めた時
- 上司に理不尽に責められた時
- 結婚した時
- スキルアップしたいと思った時
人それぞれのきっかけがありますが、退職を【考える】タイミングで重要なポイントは、退職理由を明確にさせておくことです。
なんとなく退職するのは避ける
安易に「ずっと辞めたかったし、もういいか」と理由が曖昧なまま退職を決めるのは危険です。なぜなら、退職理由が曖昧だと、『良い退職』ができず、後からずるずると「辞めなきゃよかった……」と引きずってしまうからです。まずは冷静に退職する理由を考え、それを踏まえてメリットとデメリットを天秤にかけましょう。
退職のメリット・デメリット
【メリット】
現在の職場での不満点がなくなる
収入やスキル・新しい人間関係が増える
【デメリット】
現在の職場での社内評価がなくなる
転職先によっては引っ越し費用がかかる
新卒でもメリット・デメリットを考えた上なら転職はアリ
新卒で入社したばかりの場合、「辞めたい」と思っても周囲がまだ早いと止めることもあるでしょう。確かに、社会人になってすぐに退職した経歴が残ると、そうでない人に比べその後苦労する可能性があります。しかし、辞めたい理由がはっきりしており、本人が退職のメリット・デメリットを慎重に検討したうえであれば、早めに辞めたほうが良い事もあります。まだ社会人歴が浅い方でも、メリット・デメリットをじっくり考えて決断してください。
②退職を【する】タイミング~転職活動後か前か~
では、退職を決断したら、具体的にいつ行えば良いのでしょうか。再就職が前提の場合、一般的には「転職活動をしてから辞めた方が良い」と言われます。それは何故なのでしょうか。転職活動をしてから退職をする、つまり現職と並行して次の仕事を探し、内定(もしくはその見込み)を得てから退職をする場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。
転職活動後に退職するメリット
- 次の仕事が見つからないかもしれないという不安がない
- 職歴にブランク(空白期間)が生まれないため収入面・経歴面的に良い
- 社会保険等の切り替えがわずらわしくない
- 現職の会社に退職を切り出す際、次の仕事がある、と断りやすい
転職活動後に退職するデメリット
- 現職と並行して次の仕事を探すため、就活に使える時間が少ない
- 退職時の引き留めが予想以上に長引くと、転職先と折り合いがつかなくなる
上手く就職活動ができる自信があれば転職後の退職が◎
一般的に「転職活動をしてから辞めた方が良い」と言われるのは、これらのメリット・デメリットを比較した上で、メリット面の方が大きいからです。とくに、次の仕事が見つからないかもしれない(収入がなくなるかもしれない)という不安がないのは重要でしょう。また、職歴にブランクがないというのは、よりよい仕事へ転職できる要素です。しかし、転職活動の腕によっては、「仕事が忙しくて時間が取れなかったから、とりあえず内定が出た会社に転職を決めたら、前の職場よりもっとひどいところだった」という失敗を招く要因にもなりかねません。今の自分の状況や転職活動への準備具合を考慮して、退職時期を決めましょう。
③退職を【する】タイミング~結婚・妊娠~
結婚や妊娠を期に退職をする場合も、それぞれに注意点があります。突然決まってしまい焦ることもありますが、今後を左右することですので、ゆっくりと考え、良いタイミングを探りましょう。
寿退社のタイミング
近年では結婚=退職とは限りませんが、人によっては結婚と同時に退職をしなければいけない状況になるでしょう。そういった時は、どのような点に気を付けて退社時期を決めればよいのでしょうか。
寿退社するベストタイミング
- とくに理由がなければ、仕事の閑散期や年度の終わりに
- 結婚式や引っ越しより早ければ、ゆっくり準備ができる
差し迫った理由がなければ、お世話になった職場を騒がせないタイミングで退職しましょう。
妊娠時のタイミング
働いている女性が妊娠した場合、最近では多くの人が手当や出産後の収入のことを考えて、産休・育休に入りますが、中には退職を考える人もいますよね。その場合、いつ退職するのがベストなのでしょうか。これについては、体調面・金銭面、と考える基準は複数あるのですが、金銭面的には【出産予定日より42日以内(多胎の場合は98日以内)に退職】するのが良いでしょう。何故なら、この条件を満たしていれば、出産手当金が貰えるからです。本来、出産手当金は、「産休に入っている間の生活を支える為の手当」なので、退職者は貰えないと思われがちなのですが、いくつかの基準を満たしていれば申請することができるのです。
退職者でも出産手当金がもらえる条件
- 社会保険に1年以上継続して勤務している
- 退職日から42日以内に出産予定日がくる
- 退職日に勤務していない(有給消化)
④退職を【する】タイミング~緊急事態~
「退職するつもりなんていなかったのに、しなくてはいけなくなった」という事態があなたにも起こる可能性があります。その場合は、どのように退職する日を決めればいいのでしょうか。
パワハラ・セクハラによる退職の注意点
「職場でパワハラ・セクハラにあった、すぐにでも辞めたい!」そんな緊急事態こそ、慎重に退職のタイミングを検討しなければいけません。まず、会社と退職の相談をする前に押さえておきたい点が、【離職票の退職理由】や【退職金の金額】について、どうしたいか主張内容を決めておくということです。また、退職相談中はこれらの点について、必ず書類などで確認を取りましょう。口約束では信用できません。確認を取れていないままに退職日を決めて、書類を交わしてしまうと、後から自分に不利益が出てきてしまいます。また、雇用形態によっても状況は変わります。
有期契約の場合
期間の定めのある労働契約の場合は、民法第628条で『やむを得ない理由がある場合』は即時に退職ができるとされています。
無期契約の場合
期間の定めのない労働契約の場合は、即時退職を定めた法律上の規定はありません。ただ、民法では『14日前までに退職の意思表示』をすればいいとされていますので、早くて2週間前までに退職したいと伝えれば、最低限の条件は満たしているでしょう。
会社によっては、就業規則として、1ヵ月前までに退職希望を出すように決められているかもしれませんが、パワハラ・セクハラの場合は、即時退職は認められると考えられます。
体調不良による退職の注意点
体調不良の場合も、基本的に民法では『14日前までに退職の意思表示』をすればいいとされていますので、早くて2週間前までに、最低限の条件は満たしているでしょう。ただ、パワハラ・セクハラと違って、自身の管理不足での体調不良で退職するのであれば、会社が定めている就業規則(ほとんどの会社は退職日1ヵ月前まで)を確認し、それに従いましょう。
⑤得する退職のタイミング~ボーナス後~
さて、ここからはほとんどの人に対応する退職時の得するタイミングについてです。いつ辞めるかを会社と相談する時に、あまりこだわりなく進めてしまうと、後からああしていればよかった、と後悔する点がいくつかあります。
6~7月・12月のボーナスの後に辞めるのも1つの方法
他にこだわる点がないのなら、夏は6月、冬は12月のボーナスが出る月以降がお得でしょう。また、ボーナスの査定を上長や人事が毎年細かく調整する会社であれば、退職を申し出るのもボーナス後の方がよいかもしれません。退職する時にボーナスのことなんて、と思うかもしれませんが、これまで働いてきた成果を査定されて出る賞与ですので、あなたには貰う権利があります。
⑥お得なタイミング~税金・社会保険(月末・年末等)~
税金や社会保険関係のタイミングも、できればうまく調整したいものです。知らないことで損をすると、少額でも悔しいものですが、意外にも退職のタイミングで変わる税金や保険の金額は小さくないといえます。
住民税は1月~5月退社の場合最後の給与から一括天引き
企業に勤めている間、所得税と住民税は給与から天引きになっています。また、住民税は前年の1月から12月までの所得に対し、次の6月から翌年の5月までの間、天引きされるという仕組みになっています。そのため、退職した月により税の収め方が変わるのです。
【1~5月退職】最後の給料から一括で天引き(5月ならいつもとほぼ同じ額)
【6~12月退職】未払いの住民税を退職時の給料から一気に天引きしてもらう
または自分で市区町村の納入通知書に従って分割支払い
どの月で払うことになるか、なので、結局納めなければいけない金額は変わりませんが、何かとお金が飛んでいく退職時に、税金が数か月分まとめて引かれていると予定が狂うこともありますので、知っておきましょう。
保険料を考えると月末退社がおすすめ
もし、退職後すぐに企業へ勤めない場合は、社会保険を抜けて、国民年金保険や国民健康保険に入ることになります。社会保険の保険料は企業との折半ですが、国民健康保険は全額自己負担となるため、個人の負担額が増えます。また、健康保険の支払いは一月毎で、月末加入していた方の保険料を支払うことになりますので、月末退社で月の最後の日まで社会保険に加入していた方が、お得という事になります。
年末までに転職すると次の職場に年末調整をお願いできる
年末調整とは、一年の所得にもとづいて支払う所得税の金額を、年末になって過不足調整することですが、転職者は、年末調整時期より先に新しい会社へ転職できていれば、そちらにに年末調整をお願いできます。もし時期を逃すと、自分で確定申告しなければならなくなり、とても面倒な作業に追われてしまいます。
⑦お得なタイミング~有給消化~
溜まった有給を消化するタイミングについては2つのパターンがあります。
・有給消化を行った後、最終出勤=退職日となるパターン
・最終出勤をした後、有給消化をするパターン
有給消化の日数が数週間に及ぶ場合は、後者のパターンが多いでしょう。また、いずれのパターンにせよ、しっかりと業務の引継ぎ期間を取ってから消化する形で申請をしましょう。引継ぎの期間や計画が足りていない状態で、有給消化を申請すると、会社ともめてしまう事が多く、結果として有給消化できる日数が減ってしまうことがあります。
有給消化ができなければ買い上げという方法もある
また、次の仕事の開始日などの都合でどうしても有給消化できない場合は、買い上げを交渉するという手もあります。ただし、有給休暇の買取りは、労働基準法では原則的に禁止されており、退職時に消化しきれない時にのみ例外として認められているため、会社の義務ではありません。つまり、有給を買い上げるかどうかは会社の規則によって違うため、事前によく確認しておきましょう。
⑧退職を【切り出す】タイミング~法律・規則上の期限~
少し先にもお話しした内容ですが、退職を企業に【切り出す】タイミングは、民法では『14日前』までとなっています。逆に、会社側が労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前に予告をしなければならないと法律上決まっています。
退職を伝えるタイミングは就業規則を確認
しかし、企業の就業規則では退職を申し出る日は『退職の1ヵ月前』となっていることが多く、時にはそれより前などとしている規則の会社もありますので、事前の確認が必要です。また、規則の上では1ヵ月前であっても、あなたの代わりの人員を見つけたり、あなたの仕事を引き継いだリするのにそれ以上かかるような場合もありますので、できれば3ヵ月前ぐらいには相談できていた方がいいでしょう。とくに、有給が数週間分も溜まっている状況であれば、早めに相談をしたほうが消化がしやすくなります。
⑨退職を【切り出す】タイミング~報告相手と理由が大事~
また、退職を切り出す際に誰に相談するかですが、これはまず、日頃あなたに指導をしている直属の上司に伝えましょう。人間関係の問題があって、上司に直接伝えられない場合は、もう一つ上の上長に相談する方法もあります。しかし、上司の考え方によっては、それによってさらに関係が悪化する可能性もありますので、慎重に考えましょう。間違っても他の同僚や、人事部などに伝えてはいけません。
なぜ退職なのか理由で引き止めを防ぐ
また、退職を伝える前に、引き止められたときにどのように返答するかを考えておいた方がよいでしょう。効力があるのは、「次の仕事が決まっているので」「引っ越しがあるので」など具体的な退職後の予定がある内容です。また、ここで会社側にうまく説明することによって、有給消化や退職日、退職金などの交渉ができますので、相手を刺激するような理由を伝えるのはおすすめできません。
⑩退職を【切り出す】タイミング~退職願・退職届の提出~
退職願と退職届、よく似た二つですが、出す際の書類の意味合いが違っている点に注意しましょう。
・退職願:退職を願い出る書類、つまり「退職したいです」の意思表示
・退職届:退職を届け出る書類、つまり「退職します」の意思表示
退職届はすでに退職することを言い切っていますので、撤回することができません。後から撤回もしくは調整する可能性があるときは、退職願を用意しましょう。
退職願・退職届を出すタイミング
退職願は、退職の相談を行うものですので、上司に退職のことを申し出るタイミングで用意します。しかし、絶対に必要という訳ではありません。法律上では、労働者が「辞めます」と言えば、書類などがなくても正式な退職の申し出となります。書類を用意するのは、口頭で伝えづらかったり、丁寧さを伝えたり、決意を表したりするときなどに有効なためです。また、退職届については、社内で退職処理をするときなどに確かな意思確認の書類があった方が良いため、退職が正式決定した後に提出することが多いのです。
退職の最適なタイミングが分からない場合は?
退職の最適なタイミングが分からない場合は、転職エージェントに相談してみるといいかもしれません。転職のプロがあなたに最適な退職時期をアドバイスをしてくれる上に、転職活動そのものをトータルでサポートしてくれますよ。
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最適なタイミングで退職するために10のポイントを押さえておこう
『良い退職』を行うためには、何よりも計画が大切です。この10個のポイントを参考に、あなたの考え方や今後の方針に沿った良い計画を立ててください。『良い退職』を行うことで、新しいステージでも良いスタートを切ることができますので、前向きな気持ちで取り組みましょう。
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