取引先の名刺は退職時に返却すべき?知っておきたい管理方法
退職時には会社へ返却するものが多くある
会社を退職することが決まった際に、会社に返却するべきものは具体的に何があるのか、意外とみなさんご存知ないと思います。まず最初に退職時に会社に返却するべきものを見ていきましょう。
・健康保険被保険者証
・社員証
・社章、鍵やセキュリティ カード
・定期券
・書類やデータ
・社費で購入した文具類や書籍類
・会社所有のパソコン
・制服
・名刺
自分の名刺だけでなく取引先から貰ったものも返却
上記を見てもお分かりの通り、会社を退職する際に返却するものの中に名刺が入っています。ここで見落としがちな点があります。退職時に返却する名刺は自分のものだけではありません。取引先の名刺も返却しましょう。取引先からもらった名刺は、会社を通して取得したものという扱いになります。取引先は個人であるあなたと取引をしたわけではなく、会社との取引の代表としてあなたに名刺を渡しました。よって取引先の名刺は個人であるあなたの所有物ではなく、会社の所有物とみなされます。退職時には自分の名刺と取引先の名刺、両方を会社に返却しましょう。
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名刺の所有権は会社にある
一般的に名刺の所有権が会社にあることはお分かりいただけたと思います。退職する際には自分の名刺と取引先の名刺、両方を会社に返却するのが望ましいでしょう。また退職の際の手続きの慌ただしさでうっかり名刺の返却を忘れてしまった場合でも、会社側から返却を求められた場合は速やかに返却しましょう。
退職時は上司にいったん返却するのがベスト
取引先の名刺を使って、仕事をしなければならない後継者がいる場合もあるでしょう。そんな時でも、名刺はいったん上司に返却するのがベストといえます。後継者同士で受け渡して、何かの拍子に紛失したり第三者の手に渡ったりすると、思わぬトラブルになってしまうでしょう。そうなるのを防ぐためにも、退職時には上司に返却するのがベストだといえます。
それではもし万が一、退職時に会社に名刺を返却し忘れたり拒否したりした場合は、どうなるのでしょうか。
名刺を返却せずに利用した場合の裁判例
ここでは退職する際に名刺を返却せず、転職先で利用した元社員に対して会社側が損害賠償などを求めた裁判例を見てみます。
2001年に東京地裁は「保管・利用などを制約する労使間の取り決めがない」として名刺を営業秘密とは認めず、名刺は社員が各自で管理することが多く、名刺を営業秘密として会社が管理するのは難しいという判断が下されました。しかしその一方で、職務上知り得た情報を個人情報保護などを理由に労使間で秘密保持契約を結んでいたり、社内の「秘密管理規程」などで定められている場合、会社が名刺などの返却を強制しても問題はないとされます。
名刺は個人情報の塊のため返却すべき
では、なぜそれほどまでに名刺を巡る扱いが難しいとされるのでしょうか。それは「名刺は誰のものか」という一概には解決できない問題と「名刺には極めて個人的な情報が盛り込まれている」という問題があるからです。たった1枚の紙である名刺ですが、そこにはさまざまな「個人情報」が盛り込まれています。氏名、会社名、肩書、会社の所在地や電話連絡先、携帯電話、メールアドレス等、これらは個人を特定できる要素を持っており立派な「個人情報」に該当します。
名刺に盛り込まれている個人情報は膨大
最近の名刺は顔写真やQRコードが入っているものまでありますから、ネットで検索すればすぐにより詳しい個人情報を引き出せる可能性もあるのです。退職する際にうっかり名刺を返却しなかったばかりに、後々面倒なトラブルに巻き込まれる可能性とリスクを避けるためにも、退職時には名刺は返却しておくのが無難といえるでしょう。
名刺は個人情報であり会社の所有物となるため退職時に上司に返却しよう
退職時に返却するべきものの中に名刺が含まれていることはお分かりいただけたでしょうか。名刺はただの紙切れ1枚ではありますが、個人情報に敏感になっている会社が多い昨今では慎重に扱うべき存在でしょう。後々の面倒なトラブルを事前に回避するためにも、また気持ちよく退職するためにも、退職時に返却するべきものは忘れずに速やかに返却しましょう。立つ鳥跡を濁さずというわけです。
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