「持っていく」という敬語を使う際の注意点
「持っていく」の敬語は3段階ある
敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語があります。そして、「持っていく」は「持つ+行く」の組み合わせです。そんな「持っていく」を尊敬語にすると、「お持ちになる」「持っていかれる」になり、謙譲語ですと「お持ちする」「持って参る」等になります。丁寧語の場合は、「~です」が名詞で「~ます」が動詞につきますので、「持っていく」という言葉の場合だと「持っていきます」となるでしょう。
正しい敬語別「持っていく」の例
敬語を使った「持っていく」の正しい例文を挙げます。まず、相手が持っていく尊敬表現だと「印鑑をお持ちになってください」「もう少し持っていかれますか?」「傘を持っていらっしゃってください」です。続けて、自分が持っていく謙譲表現なら「コーヒーをお持ちします」「資料を持って参ります」「書類は持参いたします」となります。そして、丁寧語のみですと「すぐに持っていきます」という風になるのです。
間違いやすい「持っていく」の敬語例
間違いやすい「持っていく」の敬語例を挙げます。まず、目上の人に何かを持ってきてもらう場合、「お持ちしていただく」「ご持参いただく」はどちらも間違いとなります。「お持ちする」も「持参する」も謙譲語ですので、自分が持っていく場合にのみ使われるのです。この場合は、どちらも「お持ちになっていただく」という言い方が正解となります。「○○をお持ちして」「○○をお持ちになって」の使い分けは、大変間違いやすいので、注意が必要です。前者は目上の人に持っていく場合、後者は目上の人が持っていく場合となります。
「お持ちになられる」は「持っていく」の二重敬語
「持っていく」の敬語として、「お持ちになられる」は間違っています。「お~になる」という敬語の形に、さらに「~られる」という敬語の形がついた「二重敬語」になるのです。二重敬語は、ビジネスシーンや接客の場面で、間違って使われやすい敬語となります。他にも「お帰りになられる」「おっしゃられる」なども間違いです。「お召し上がりになる」「お亡くなりになる」も二重敬語ですが、例外的にOKとする考え方もあります。
「お持ちします」は目上の人への敬語なので自分には使わない
「只今、契約書をお持ちします」などの「○○をお持ちします」という言い方は、目上の人に対して「○○を差し上げる」「相手のための○○を持っていく」などの状況で使われます。自分の所有物で相手に関係のないものを持っていく際の敬語では「持って参ります」を使いましょう。例えば、自分で使う筆記用具を忘れたなら「私の筆記用具を忘れたので持って参ります」と言い、「私の筆記用具を忘れたのでお持ちします」とは言いません。
正しい敬語でもややこしいと不適切な場合がある
「お持ちして差し上げる」という敬語は、間違ってはいませんが、少々くどい言い回しです。シンプルに「お持ちする」と言っても、充分伝わります。 また「明日は○○を持ってきてください」と言いたい時に「恐れ入りますが、○○をお持ちいただけないでしょうか」と言うのも、やや遠回しで謙遜しすぎる印象を与える敬語です。相手との関係にもよりますが「お手数ですが、○○をお持ちいただけませんか」という敬語でも、不自然ではありません。どちらの言い方が適切か、状況を見ながら判断しましょう。
3段階の言い方がある「持っていく」という言葉では二重敬語に気を付けて使う相手に注意しよう
「持っていく」の言葉は、日常でもビジネスでも使用頻度が高く、うっかり間違えやすい表現も多いです。ですので、敬語の違いなどをしっかりと覚えておくと便利でしょう。また、正しい敬語を使おうとするあまり、肝心な内容を伝えられなくなるのも困ります。無理に背伸びして難しい言葉を使おうとせず、知識として身につけておいて、徐々に慣れるのが確実です。
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