「認められたーい!」承認欲求の仕組みと現実的な活かし方
人は誰でも何かしらの形で認められたいと思っているもの。その気持ちの正体こそ、「承認欲求」です。今回はマズローの欲求五段階説をもとに詳しく説明。うまく活用して人生を楽しむための秘訣を紹介します。
承認欲求とは認められたいという気持ち
「認められたい」これは誰もが当たり前に抱く感情です。その正体である承認欲求とは、人が生まれながらに持つもの。この世界に住んでいるほぼすべての人が、誰かに、何かに認められたいと考えているのです。
誰もが持っているもの
私たちが暮らしている人間社会は国籍の違いこそあれ、人と人とのつながりによって維持されています。人にはそれぞれの個性があり、大勢の中にいるとどうしても自分と誰かを比べたくなってしまうもの。 承認欲求は「誰かから自分を認めてほしいという気持ちと、「人から尊敬される、理想の自分になりたい」という2つの形から成り立っています。
人の本能に刻まれている
そもそも欲求とは生物が持つ本能のことです。生きるために必要な食事、睡眠、排泄という3大欲求は有名です。それは当然、人間の中にも宿っています。ただし、人は高度な社会性を持った結果、これら本能を超えたものを求めるようになりました。承認欲求もその1つです。
幼少期の経験が大きく影響
誰にでもある承認欲求ですが、特に強く感じている人がいます。それは幼少時の環境が影響しており、両親や周囲からきちんと認められた経験がない場合、自分に自信が持てないまま成長してしまうのです。だからこそ、大人になってからも人一倍認められたいという気持ちが強くなります。
マズローの欲求五段階説(自己実現理論)を知ろう
承認欲求についてより詳しく知るためには、マズローの提唱した欲求五段階説(自己実現理論)について理解することが近道です。アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」とし、人間の欲求を5段階で表した理論です。
下位が満たされると上位を求めるようになる
マズローの欲求五段階説にはピラミッド状に5つの階層があります。 下から順に「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5つで構成され、下位の欲求を満たすごとに、上位への欲求が生まれてくるというもの。 最下層の生理的欲求は生物のすべてが持つ原始的欲求に近く、上部の階層に行くほど、人間だけが求める欲求になるわけです。
①生理的欲求
生物が生きるために必要な、食欲、睡眠欲、性欲、排泄などの本能的な欲求です。進化の過程で高度な社会性を身につけた人類は、生きるための苦労が少なくなりました。これにより生理的欲求が満たされたため、より高い次元を求めるようになったのです。
②安全欲求
2階層目は経済的な安定性や健康状態、生活水準などの安定を求める欲求です。社会人として働くようになると自然と満たされるものなので、普段の生活で意識することはほぼありません。ただし、幼児期には危険や恐怖に対する経験がないため、強く求めてしまいます。
③社会的欲求
生理的欲求と社会的欲求が満たされると、3番目の階層に進みます。自分が社会の中で認められたいという気持ちであり、何らかの役割を任されることを望むようになります。死の恐怖から解き放たれたからこそ、自分の立場や愛情を求めるようになるのです。 人同士の繋がりという、高度な社会システムを持つ人間だからこそたどり着いた欲求といえます。
④承認欲求
そして、4階層目にあるのが承認欲求です。社会の中での立ち位置が明確になると、次は「自分が価値のある存在だと認められたい!」という、欲求が生まれます。認められ、尊敬される立場になりたいと考えるのは、誰もが通る道なのです。
⑤自己実現欲求
承認欲求までの4つ全てが満たされると、人はより高い次元を目指そうとします。向上心によって自分の可能性を発揮しようとするのです。それは圧倒的な知性と他者への寛容さに繋がっています。 ここまで来れば、誰からも一目置かれ、尊敬の眼差しを送られる人間になっているでしょう。
現代社会における承認欲求のカタチ
マズローの欲求五段階説、非常に興味深いものでしたね。あなたはどの階層まで進んでいたでしょうか。おそらく、ほとんどの人が大4階層の承認欲求まで来ているはずです。 人から認められたいという気持ちは、正直であり自然なもの。それは現代社会においてどのようなカタチで表れているかを見ていきましょう。自分の周りやニュースを見ていると、人々の取っている行動が目に付くはずです。
個性を重視する教育の結果
ゆとり教育などに代表される、個性重視の教育方針。これも現代における承認欲求の形成に大きく関わっています。個性を重視して育ってきた結果、人と違う自分の良さを認めてほしいと感じる人が増えたのでしょう。今の若者は昔ほどお金や出世に興味を持たなくなったのも、個人としての魅力を認めてほしいという気持ちの現れかもしれません。
SNSでのリア充アピール
FacebookやツイッターなどのSNS。若年層だけでなく中高年の間でもブームになっています。自分が食べた料理や旅行先の写真をアップし、周囲からの共感を得る。これこそ承認欲求そのものです。「自分の行動を誰かに見ていてほしい」「他の人との違いを知ってほしい」というシンプルな欲求は、リア充アピールという形で世に浸透しています。
ゲームへの重課金
いつでもどこでもスマホで遊べるソーシャルゲーム。年代を問わす幅広いユーザー層から支持されています。基本は無料でプレイできますが、それでは先に進むのが難しく、課金して強いアイテムを購入する必要が出てきます。 そこで、大金をかけてゲームを進めるタイプの人の根底にも、承認欲求があるのではないでしょうか。中には月10万円以上課金しているユーザーもいるのだとか。ゲームのランキング上位に自分の名前が表示されると、優越感に浸ることができます。
組織内で評価されたい
所属する組織内で評価されたいのも、承認欲求の本質といえます。社会人なら会社、学生なら学校やサークルなど、自分の居場所の中でいかに活躍して認められるかが重要です。結果を出して褒められるのは誰でも嬉しくなります。そうやって承認欲求を満たすために、人は頑張っているのです。
常に自分を誰かと比較しがちに
「人は人、自分は自分」よく聞く言葉ですが、実に都合のよい理論だと思いませんか。自分が優位に立っている条件では、非常に大人っぽくてカッコよく聞こえます。しかし、自分が他人より劣っているときには、ごまかしにしか聞こえません。 無意識の中で、人と比較して負けた場合でも傷つかないように防御策を貼っているのです。これも承認欲求の一部と言えなくもありません。
承認欲求を開放すれば道が開ける
誰もが通る道である承認欲求。うまく利用すれば実生活を充実させられます。自分が認められたいという気持ちは、向上心に繋がります。さあ、今こそ欲求を開放し、新たな道を切り開いていきましょう。
常に仕事へ全力投球
承認欲求を満たす際に、最も影響を受けやすいのは仕事でしょう。「出世して部下を持ちたい」「大きなプロジェクトを任されたい」というのも、人から認められなくてはできないことです。 そのためにも、欲求を開放して仕事に全力投球してみてください。ただし、ガツガツし過ぎて周囲から引かれないように注意です。
積極的になって交友関係が広がる
認められたいという気持ちは職場だけにとどまりません。日常生活においても十分に力を発揮します。プライベートでも積極的に人と関わっていくことで、自分という存在を認めてもらえるかもしれません。そこで広がった人脈は、仕事にも活かせるかもしれませんよ。うまく相乗効果を出せるよう頑張ってみてください。
生きているって素晴らしいと感じられる
周囲から認められ、尊敬されるようになると、人は生きる喜びを感じます。自分の存在そのものに意味を見出せるからです。まさに人生はバラ色、「生きているって素晴らしい♪」と感じられるようになるでしょう。
認められないと大ダメージ
うまく活かせば人生を豊かにできる承認欲求。しかし、失敗すれば人生はつらく険しいものに。人から認められないことが続けば、次第に自信を失っていき、心と体に大ダメージを受けてしまいます。
完全に自信を失ってしまう
自分ではかなり頑張ったのに、誰からも評価されないという状況はつらいですよね。「何がいけなかったのか?なぜ認められないのか」という、悲観的な気持ちだけが心を支配してしまいます。落ち込むだけならよいものの、人によっては自分の存在意義すら曖昧になってしまうかもしれません。
自分の無力さに縛られ続ける
一度でも認められない経験をしてしまうと、後々までずっと尾を引いてしまいます。失敗体験により、何かにチャレンジすることが怖くなってしまうのです。その結果として孤立した人生を送るかもしれません。誰からも認められなかった事実に縛られ続けるのです。
人生の有休消化期間に突入
こうなればもう、何もする気が起きないでしょう。まさに人生の有休消化期間といっていいほど、残りの人生を何事もなく無難に過ごすはめになります。 元々は第4階層の承認欲求。第3階層までの社会欲求さえ満たされていれば、最低限人は生きていけます。セーフティーネットの発達した現代社会なら、何とかなるものです。
承認欲求を超えた「自己実現欲求」に到達しよう
自分を活かすも殺すも承認欲求の使い方次第。自分がどのように世の中と向き合うかによって、求める結果も変わってきます。頑張った結果として自分が求めるだけの承認を得られた場合、次の欲求階層へ進むことが可能になります。それは「自己実現欲求」です。
自分の可能性を信じて創造していく
ピラミッドの最上部に位置する自己実現欲求。これは、下の4つの欲求だけでは満たされなかった人がたどり着くものです。自分の可能性を信じ、持てる能力を最大限発揮して成長し続ける。「なりたい自分」になるための欲望なのです。
自己実現者の特徴の一部
• 1.現実世界の本質を見ている
• 2.すべてに寛容になる
• 3.認識力の拡大
•4.器が大きい
•5.創造性のあるユーモアセンス
自己実現欲求まで到達できれば、社会的にも、人間的にも素晴らしい人になれるでしょう。本質を見つめながらも、他社に優しく接することができる。圧倒的な器の大きさです。
究極の「自己超越欲求」までいけば仙人レベル
実は、完璧超人に思えた自己実現欲求にもさらに上があります。それは「自己超越欲求」です。晩年のマズローは、5段階欲求のさらに上にも階層があると発表しました。その欲求までたどり着いた人間はすべてを超えた存在、まさしく超越者です。 超越者のレベルに達した人は、マズローの存命中には人口の2%ほどとされています。この域に到達するには相当な人生経験や、多様な考え方、文化に触れる必要があるでしょう。
自己超越者の特徴の一部
•1. 「在ること」 (Being) の世界を知る
•2.統合された意識を持っている
•3.考え方が瞑想に近い
•4.謙虚で聡明
•5.でも外見はいたって普通
無理のない範囲で承認欲求を満たしていこう
自己実現欲求までは満たせても、自己超越欲求の域まで到達する人はほんの一握りだけです。だからこそ、無理をして高次の欲求に進もうとせず、まずは承認欲求をきちんと満たす努力をした方がいいです。 人がまだ洞窟で暮らしていた頃は生きるだけで精いっぱいでした。それが今、生きる以外の喜びまで感じられるようになったのです。それだけでも十分幸せな気がしてきます。
誰にでもある承認欲求をうまく活かせば人生バラ色で最終的に超越者になれるかも
承認欲求は誰もが持っている普通のことです。だからこそ、無理のない範囲で認められる努力をしてみてください。評価されずに見下されることがあっても、落ち込む必要はありません。時間をかけて、自分なりの方法で認められる場所や生き方を見つけてください。 超越者になれば、世界のすべてを見通せるようになるかもしれません。しかし、今の日本では、そこまで到達しなくても楽しく生きていけます。まずは、自分が楽しいと思えるように、他者と認め合えるようになるべきでしょう。
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