ボトムアップ処理とトップダウン処理の心理学での違いと意味
ボトムアップ処理ではパーツを組み合わせて全体を構成する
心理学におけるボトムアップ処理とトップダウン処理の意味を見ていく前に、まずは「ボトムアップ処理」をみていきましょう。この「ボトムアップ処理」は、それぞれのパーツを組み合わせて全体を構成するような情報処理を指します。見ているもの、聞いている音や、読んでいる文などについて、これらそれぞれを構成する要素を分析して、分析された特徴から認識を成立させる方式を、「ボトムアップ処理」または「データ駆動型処理」といいます。
心理学でのボトムアップ処理では注視する部分によって違うものに見える
心理学におけるボトムアップ処理とトップダウン処理の意味を見ていますが、そのうちの「ボトムアップ処理」の具体例をあげます。ボトムアップ処理を具体的に言うと、例えば顔を見るにしても、目や口といったパーツをいくつも組み合わせていった結果が顔になり、その顔を見ている、という感じです。顔の例で表現しましたが、たとえば「ルビンの壺」という多義図形を見た経験あるでしょうか。注視する部分がちょっと違うと、同じ絵であったとしても、向かい合う人に見えたり、また、壺に見えたりします。心理学的なやり取りをする際にも応用できそうですね。
トップダウン処理では先に全体が何なのか知識や経験を元に考える
先程は、心理学におけるボトムアップ処理とトップダウン処理の意味を見ていく前に、「ボトムアップ処理」を見ていきました。続いて、「トップダウン処理」について見ていきましょう。トップダウン処理は、先程のボトムアップ処理とは対照的に、まず全体がなんであるのか、また事前に人間が持っている知識や経験などを元に、情報処理を行っていく方法です。
心理学でのトップダウン処理では元の素材から掘り出すイメージ
心理学におけるボトムアップ処理とトップダウン処理のうち、「トップダウン処理」の具体例を説明します。復習ですが、それぞれの部品があったとして、それを組み合わせて全体を作っているのがボトムアップ処理です。対して、逆に丸太から仏像などを彫刻等で掘り出すようなイメージを持ってみてください。このようなイメージが、「トップダウン処理」となります。
心理学でのボトムアップ処理・トップダウン処理は情報処理アプローチ
では、心理学におけるボトムアップ処理・トップダウン処理の意味はどのようなものでしょう。これらは、認知心理学における情報処理アプローチです。ノーマンという人によって提唱された「人間の能動的な情報処理」の対極的ともいえる2種類の仕組みです。「トップダウン処理」は、別名で「概念駆動処理」と言い、英語で「conceptually driven processing」とも呼ばれています。
両方の仕組みにおいてやり取りする空間的な場の存在が想定できる
これに対して、心理学における「ボトムアップ処理」は、別名で「データ駆動処理」とも言われています。英語では、「data driven processing」です。ボトムアップ処理は、感覚入力のデータ群によって駆動されます。そして、それを扱い処理するスキーマを見出して、データはより上位の概念や枠組に取り込まれていくのです。少し難しい説明になってしまいましたが、これらの両方の仕組みにおいて、人間の知識や記憶の構造体である「スキーマ群」、そして、感覚情報からの「データ群」らが、相互にやりとりする空間的な場の存在が想定できるのです。
ボトムアップ処理とトップダウン処理の違いは視点にあり認知心理学における情報処理アプローチを意味する
本ページでは、ボトムアップ処理とトップダウン処理の、心理学での違いと意味を見ていきました。これらは相互の間で、比較や照合、そして検証などがなされ、情報処理されるのが前提となっているようです。心理学の知識がない方にとっては、少しややこしいかもしれません。しかし、このボトムアップ処理とトップダウン処理が上手に使えれば、仕事などでもうまく生かせるでしょう。
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