労働組合の書記長に関して知っておきたいその役割
労働組合の目的は所属企業との交渉
労働組合は、「労働者の連帯組織・団体」という特性から、「少なくとも2名以上」の労働者が集結して結成する必要があります。また、労働組合の主な目的は、「交渉力をつけること」なので、できる限り多くの労働者の集結が望ましいでしょう。しかし、たくさんの人が集結すると、それを取りまとめる役割、リーダーのサポートや有事の代行者のほか、連絡事項の伝達など事務仕事など、リーダーの存在だけではなく「事務方」の仕事も重要になります。
労働組合には中央執行役員という名の役職がある
労働組合法に合致する「労働組合」を結成する場合には、かならず、労働組合規約を設定する必要があります。そして、この労働組合規約に役員について、その人数や役割を明記します。企業や住民組織の「役員」と同様のイメージで、当該組織の運営に欠かすことのできない役職です。一般的には「役員」と呼ばれますが、労働組合の世界では「中央執行役員」と呼ばれることが多いです。
労働組合の役員は「執行委員長」「副執行委員長」「書記長」の3つ
労働組合規約において「役員」に関する規定が定められます。組織の規模によりますが、特に主要な役割を担う「執行委員長」「副執行委員長」「書記長」は小さな労働組合の場合にも擁立されることでしょう。そして、労働組合活動を執行する「執行委員会」としての役割を果たします。労働組合において、特に重要な役割を担うこととなる、この3つの役職は「三役」と呼ばれます。執行委員長は、労働組合の長として組合を代表し、組合員を牽引します。副執行委員長は、執行委員長の補佐や有事の代理などつとめます。組合規模によって0~数名と幅があります。そして、このあとは「書記長」について詳しく見てみましょう。
労働組合書記長には事務方トップの役割がある
書記長とは、労働組合の規約などでは、委員長・副委員長に続いて3番手に明記されるケースが多く「組合のNo.3」のようにみえます。しかし任務分掌を確認すると、「事務方のトップ」として、労働組合運営上で発生する事務系業務を取りまとめる役割を果たしているのがわかります。労働組合毎の規約にもよりますが、書記長の任務分掌はおおむね
①労働組合事務局の統括
②労働組合の日常業務の対応
にまとめることができます。たとえば
・通達文の立案・作成
・執行業務の調整(関係各所との日程調整・会議開催調整などを含む)
・議事録の作成
・執行日誌の作成
・重要書類の管理
など、労働組合の運営に関する重要な任務をこなす役割を負います。
労働組合書記長は企画や執行業務調整などの任務がある
労働組合書記長の任務は多岐にわたります。なかでも「通達文の立案(企画)」や「執行業務の調整」は、書記長本人の業務経験はもちろんのこと、労働組合内外の関係者との信頼関係の構築、そして調整(コーディネート)能力が求められます。書記長が果たす任務は、非常に多岐にわたります。そして、組合内部だけではなく、経営陣や外部との調整役として「労働組合の顔」としての任務を果たすこともあります。「労働組合の代表」は執行委員長で、組合規定や名簿の順番では3番手にでてくる「書記長」ですが、その任務と役割は、労働組合全体にとって非常に重要なのです。
労働組合書記長は組合を取り仕切る役割を担っている
労働組合書記長の任務と役割は
・団体交渉のための経営陣との調整
・春闘などの方針の周知
・総会の取り仕切り
など、非常に幅広いものです。大規模な労働組合の場合には、専従労働組合役員や労働組合員によって業務を執り行ったり、複数の書記担当・事務職員が分担して業務に当たります。小規模な労働組合の場合には、1名の書記長がすべてを取り仕切ることもあります。日本の労働組合では「民主的な労働運動」を重視しており、事務方のトップとはいえ、執行三役に「権限」が偏ることはありません。
労働組合の書記長は三役の一人で事務方のトップで組合を取り仕切る役割を担っている
これまでに記したとおり、労働組合の書記長が担うべき任務は幅広く、経験と能力、そして「人からの信頼」も求められる重要な役割です。このことから、在任中の活躍によっては委員長としての道を進むケースがあるようです。労働組合活動というのは「すべての労働者のため」に奉仕・貢献する精神で取り組まれるものであり、「上を目指す」ものではないのですが労働者を代表する立場へのルートのひとつ、と考えることもできます。業務時間外に時には無償で取り組む必要もあり、労働組合執行役員としての責任と任務は重大なものですが、これが労働者全体のために役立つのです。
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