労働基準法で定められている重量物運搬作業の項目と注意点
労働基準法には重量物運搬の重さ制限が性別や年齢によって決められている
労働基準法には重量物運搬についての規定があります。それによると、機械を使った運搬ではなく、手作業で荷物を運んだり積み込んだりする作業には、女性と子供は持てる重さに制限を設けてあります。積み込み作業など継続して行われる継続作業では、女性と16歳〜18歳男性が20kg、16歳〜18歳女性15kg、16歳以下の男子10kg、女子8kgとなっています。米袋を想像して考えると妥当な重さじゃないでしょうか。
重量物運搬の断続作業は少し重めに設定されている
労働基準法では重量物運搬について定めていますが、断続作業にも重さの決まりがあります。宅急便の配達で、1件運んで移動し、また次の場所で次の荷物を運ぶなど、作業と作業の間に別の作業が入る断続作業の場合には、女性と16歳〜18歳男性が30kg、16歳〜18歳女性25kg、16歳以下の男子15kg、女子12kgとなっています。持ち方や体格にもよりますが、女性で30kgの荷物を持つのは、結構大変な作業であるといえるでしょう。
労働基準法の重量物運搬では成人男性でも55kg以上の荷物は2人で運ぶ事が推奨されている
労働基準法に重量物運搬についての決まりがあると説明しました。それぞれの業界における重量物運搬時の注意点があります。階数の高いお宅やピアノなどはリフトを使って運び上げる方法もありますが、大半は手作業での重量物運搬が基本です。効率から考えて1回に多くの荷物を運びたいところですが、労働基準法によると、成人男性も55kg以上の荷物は、2人以上で運ぶことが奨励されています。1人で持てる重さとしては、概ね体重の40%とされています。腰痛の原因は、筋力のなさや姿勢の悪さ、運び方に問題があり、体を鍛える、腰を伸ばす、体に密着させて持つなどの工夫で改善できます。
建設業では足場の強度や風に煽られないかの注意が必要
労働基準法が定めている重量物運搬作業ですが、建設業界ではどのような点に注意が必要でしょうか。建設業界の特にとび職では、セメント袋や足場など重量物運搬が日常業務です。対策としては引っ越し業と同じような工夫が出来ると思います。最近ではセメント袋の重さも軽くなり、足場も素材が変わり軽量化したようですが、まだ一般に浸透していないようです。労働基準法で定められている重さに対応しているとはいえ、足場の軽量化は強度や風に煽られやすいなどの問題点もあり、改善が求められる所でもあります。
各種製造業では作業場所の改善が大切
労働基準法が定めている重量物運搬作業の製造業ではどうでしょうか。担当する持ち場にもよりますが、材料の運搬や製品の運び出し、倉庫の整理など製造業でも重量物運搬を行う事は多いでしょう。持ち方や運び方などの腰に負担をかけない作業の改善と教育を始め、段差の解消、適切な照度の確保など、作業場所の改善も大切な要素になります。作業面と環境面の両方で、重量物運搬作業を見直していくとよいでしょう。
介護の仕事も重量物運搬と同様に腰痛対策が必要
労働基準法が定めている重量物運搬作業ですが、介護の仕事も視野に入れましょう。重量物の運搬ではありませんが、老人介護施設での介護職は、腰痛が職業病になるくらい腰への負担が大きい職種です。児童の介護と異なり、体重の重い人もいますので、介護中の姿勢や体を支える時の重心の取り方には十分気を付け、機械化できる箇所は機械に任せてしまいましょう。腰痛を軽減させる腰痛体操の実施や、適度な休憩など腰を労わる工夫をしてください。
労働基準法が定める重量物運搬作業は年齢や性別に合わせた重さが規定されていて各業種でケガをしないための対策が大切
労働基準法が定めている重量物運搬作業について説明していきました。労働基準法に、運搬する重さの規定があるのは驚きでしたね。そして、重量物運搬に関係する職種は意外と多いかもしれません。各小売業でも棚卸の作業がありますし、飲食業でもジャガイモや米などの袋を運ばなくてはなりません。農業も収穫物の運搬には力を使います。家業のお手伝いをする事を考えると、労働基準法に16歳以下の子供に持てる重さの制限があるのも頷けます。労働基準法をしっかり確認して、事故やケガを防ぎましょう。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません