年金生活者の実態と今どきの老後の生活の平均支出
統計からみる今の年金生活者の実態と老後
平成25年度の厚生労働省の統計によると、公的年金の加入者数は6718万人となっており、前年比で18万人減少しています。一方で、受給者数はのべ6800万人にのぼり、こちらは前年比で179万人増加しています。加入状況などによって受給額に個人差はあるものの、平均受給額もまた年々減少しており、年金受給者のお財布事情にも変化が起きてきています。
理想的なモデルケースの場合の老後の月額収入は約22万円
によれば、「夫が厚生年金に40年間加入し、専業主婦の妻が第3号被保険者を含めて国民年金を40年間納めた世帯」をモデル世帯とした時、平成26年度の老後の月額収入は合計で22万6千円と試算されています。この金額は総務省の統計「家計調査」の、70歳以上の世帯の平均支出額、月額20万487円を上回っています。
今の年金生活者の実態はモデル世帯よりさらに低くなる
しかし実際の日本年金機構の統計による年金受給額の月額平均は、同じような世帯構成であってもこの額よりも数万円少ないことが分かっています。また基礎年金は65歳になるまでは受け取れないため、60歳定年後の平均受給額はモデル世帯の額よりもさらに低くなります。さらにマクロ経済スライドによって平成27年までに年金の給付水準が2.5パーセント引き下げられるなど、今の年金生活者の実態は公的機関がモデルケースと考える老後の設定とはかなりかけ離れたものであることが分かります。
老後に退職金や貯蓄をバックアップとして使っているというのが今の年金生活者の実態
総務省の統計によれば、年金生活者全体の月額平均支出額は22万8千円、これを受給世帯の実収入の平均額から引いた差額=赤字は、約8万円となっています。収入が定年前に比べて減っているのに対して支出にあまり減少がみられず、それまでの生活スタイルやレベルを下方修正するのが難しい今の年金生活者の実態を物語っています。大抵の受給者は退職金やそれまでの貯蓄をバックアップとして老後の赤字の補てんをしているケースが殆どです。
それまでの職場で働く場合が多い今の年金生活者の実態
高年齢者雇用安定法によって厚生年金支給開始年齢まではそれまでの職場で働くことができるため、定年後に再雇用を希望する退職者は多いようです。またそれ以外の60歳以上も年金の赤字分を補てんするためには勤労収入を得るしかなく、これが今の年金生活者の実態と言えそうです。基礎年金は年金以外の収入がいくらあっても減額されませんが、厚生年金は受給額とそれ以外の収入の合計額によって支給がカットされることがあります。
今後定年を迎える世代は現在の年金生活者の実態を踏まえ準備を行う必要がある
60歳で定年してあとは悠々自適な老後を、というのは既に過去のものとなっており、今後定年を迎える世代はいまの年金生活者の実態を踏まえ、しっかりとした老後の準備を行う必要があります。病気やケガ、子供の結婚費用やその他経済的な支援など、老後は思わぬ出費が貯蓄を想定以上に削ってしまう例も多いため、働ける健康と職場があるうちは働いて収入を得ると共に、任意保険の加入や老後資金を作っておくことが現実的な備えになりそうです。
今の年金生活者の実態として平均支出は22万8千円であり退職金等で赤字の補てんをしているケースが多い
今の年金生活者の実態はこの数十年で劇的に変化し、年金だけで老後を暮らせる時代は終わったと言えます。総務省の統計によれば、年金生活者全体の月額平均支出額は22万8千円、これを受給世帯の実収入の平均額から引いた差額=赤字は、約8万円となっています。大抵の受給者は退職金やそれまでの貯蓄をバックアップとして老後の赤字の補てんをしているケースが殆どです。今後定年を迎える世代は今の年金生活者の実態を踏まえ、しっかりとした老後の準備を行う必要があります。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません