有給休暇引当金の計算方法と計上する理由
有給休暇引当金とは有給休暇の残りの日数を未払い費用として計上するもの
有給休暇引当金とは何かというと、決算時にその年の労働者に付与されたそれぞれの有給休暇残り日数、日給、過去の取得率を乗じて算出された負債として計上される引当金のことです。有給休暇引当金は、有給休暇の残り日数は未払いの費用とみなされて、いくつかの条件がそろった場合に計上が必要になります。IFRSを採用する会社では、有給休暇引当金の計上をネガティブに捉えられます。しかし、不況などで業績が思わしくない時に有給休暇の取得を促して取得率が上がると、有給休暇引当金の計上がポジティブに捉えられる可能性もあります。
有給休暇引当金を義務付けるIFRSとは国際的な会計基準のこと
有給休暇引当金を義務付けるIFRSとは、アイエフアールエス、アイファース、イファースと呼ばれる国際財務報告基準で、財務表の作成の国際的な会計基準のことです。国際会計基準審議会(IASB)が国際会計基準(ISA)を含めた基準として設定されました。2005年以降、EUの上場企業で義務化され、世界100カ国以上で導入されています。日本の金融庁も2010年以降にIFREの採用を容認しています。
有給休暇引当金の算出方法は「有給休暇残り日数×過去の平均取得率×日給」
有給休暇引当金の算出方法は、有給休暇残り日数×過去の平均取得率×日給となります。過去の平均取得率が計算に入っているのは、有給休暇を取得できない分は切り捨てが前提となるためです。この過去の平均取得率の見積もりは非常に手間となるようです。具体的な例を挙げると、年間の労働日数200日、年俸600万円で、年間有給付与日数が10日の労働者の場合を考えてみましょう。有休取得日数が5日で、有給休暇平均取得率は60%とした時、(10-5日)×60%×600万円÷200日=9万円となります。
有給休暇引当金の根拠は様々議論されている
有給休暇引当金を負債計上する根拠は、日本では様々な意見があるようです。例えば、欧米では有給休暇の取得率が高く、有給休暇が重要視される傾向があるからではないか?有給休暇を取得した労働者が不在の時の穴埋めに経費が発生するのではないか?などあります。また、IFRSは企業の資産負債の評価を目的にしており、手間と時間がかかりますが、ほぼそのまま会社買収の価格査定に使用できるため、買収後に労働者が有休休暇を取得することも負債とする考えもあるようです。
有給休暇引当金を計上する理由は負債も含めて数値化する意味がある
IFRSが有給休暇引当金を計上させる理由としては、企業の価値を評価する上で、できる限り考え得るリスクを潜在的な負債も含めて数値化しようということです。有給休暇引当金は、従業員給付のIAS第19号で規定される事例の一つです。従業員給付は、企業が労働者に与える福利厚生のサービス全般のことで、IFRSはこれをできる限り負債として数値化し、計上し、負担の費用処理するものです。
有給休暇引当金を計上が必要な条件には4つある
有給休暇引当金を計上が必要になる条件はIFRSや米国会計基準などを導入した場合です。さらに、米国会計基準では次の4つの条件に当てはまる場合に計上が必要になります。
・労働条件により有給休暇の取得権利を得ること
・有給休暇の取得権利が確定もしくは累積ができること
・有給休暇を取得した時に、会社が給与の支払いが確実であること
・会社が合理的に有給休暇引当金をの金額を見積もり可能であること
の4つの条件になっています。
有給休暇引当金の計算方法は「有給休暇残り日数×過去の平均取得率×日給」であり計上するのには負債を含めて数値化するという理由がある
有給休暇引当金の計算方法と計上する理由について見てきました。いかがでしたか?有給休暇引当金はIFRSが基準を定めており、計算方法としては「有給休暇残り日数×過去の平均取得率×日給」でした。これを計上することによって、会社の負債を含む未払いの費用を数値化できます。計上するためには、
・労働条件により有給休暇の取得権利を得ること
・有給休暇の取得権利が確定もしくは累積ができること
・有給休暇を取得した時に、会社が給与の支払いが確実であること
・会社が合理的に有給休暇引当金をの金額を見積もり可能であること
という条件が必要になるので覚えておきましょう。
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