雇用保険料の端数処理と支払いにおける事業主の関係について
雇用保険料は事業主と従業員で負担を分担する
雇用保険は労働保険の一部として事業主が年度初めに納付します。労働保険は雇用保険と労災保険からなっており、労災保険は事業主負担、雇用保険は事業主と労働者で分担して負担しますが、納付は事業主が行います。事業主は年度初めに今年分の概算保険料を納付、翌年度初めに確定申告をして精算することになります。
事業主の負担分は分割支払いにするのもできる
この方法で納付すると、雇用保険料の納付は今年度の概算保険料と、前年度の精算された保険料の未納分を納付することになります。前年度の精算分は前年度の概算分との差額でたいしたことはありませんが、今年度の概算分は1年間の保険料になり事業主にとっても一括納付は負担になります。その場合一定条件さえ満たしていれば3回に分けて納付することができる仕組みになっていて、事業主の負担を減らす仕組みになっています。
雇用保険料の負担額は事業の種類によって違う
労働保険のうち労災保険料は事業主負担ですが、雇用保険料は事業主と労働者が分担します。雇用保険料は労働者の賃金総額に保険率を乗じた金額で、その保険率を分担します。それぞれの分担の割合は決まっていますが、事業の種類により若干差異が生じます。事業の種類は農林水産清酒製造の事業、建設の事業、一般の事業と分かれますが、離職率の多少が影響しています。
【農林・水産・清酒製造】【建設】【一般事業】で計算が違うので注意
事業の種類による雇用保険率は一般の事業が13.5/1000農林水産清酒製造の事業が15.5/1000、建設の事業が16.5/1000になります。これを事業主と労働者で分割しますが、一般の事業だと事業主対労働者が8.5対5となり農林水産清酒製造の事業9.5対6、建設の事業10.5対6となります。労働者の賃金が1年間400万円だとすれば、一般事業では雇用保険料54,000円、事業主負担34,000円労働者負担20,000円となりますが、建設業では雇用保険料66,000円、事業主負担42,000円労働者負担24,000円となります。
雇用保険料の端数処理は「50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げ」
雇用保険料は労働者の年間賃金に雇用保険率を掛けて算出します。年間賃金には賞与や通勤手当、家族手当などの諸手当が含まれるため切りのいい数字にはならず端数処理の必要があります。一般事業の場合雇用保険料の労働者負担分は年間賃金の5/1000ですから、大抵の場合1円未満の端数が出てきます。この端数処理は支払い賃金側で50銭未満切り捨て、50銭以上切り上げで行われる為、雇用保険料側から見れば50銭以下切り下げ、50.1銭以上切り上げになります。
事業主と労働者の間で慣習的な取り決めがあればいつもの端数処理で問題ない
1円未満の端数処理50銭未満切り下げ、50銭以上切り上げは「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に基づいた処理の方法です。もし事業主と労働者の間で慣習的な取り決めがあれば、従来通りの方法で端数処理しても問題ありません。雇用保険料の労働者負担額は事業主が賃金を支払う度その賃金の負担分を控除することができます。
雇用保険料の端数処理は「50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げ」で事業主と労働者が分割負担
雇用保険料端数処理は事業主が労働者に賃金を支払う都度端数が出れば端数処理が行われます。従来からの取り決めどうりにせよ、法律に基づいた雇用保険料端数処理にしろ正しく行われていれば問題ありません。端数処理は一件毎の金額が小さいのであまり影響もないのですが、月給制の場合だと年間で12回行われ、事業主は賃金から控除できます。それが人数分ですからちりも積もれば山でしょうか。
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