法律上はOK?会社と雇用契約書を交わしていない際のリスク
雇用契約書を交わしていないことは法律上問題がある?
皆さんが会社へ入社し会社員としてスタートを切る上で、必ず交わすと言って良いのが「雇用契約」です。雇用契約は皆さんと会社側がどのような条件で働くか、また会社が皆さんをその会社の社員として正式に認めた証ともなり、法律上も大切な契約だといえます。
ところが、入社したにも関わらず「雇用契約書を交わしていない」といった社員の方もいるのですが、これは大きな問題のように思えるでしょう。
法律的に問題がある場合とない場合が存在する
実際に雇用契約書を交わしていない状況だと言う方は、不安も感じているでしょう。一つだけ結論を先に言えば、法律的見地からは問題がある場合とない場合の二つに分けて考えることができます。
そこで、雇用契約書を交わしていないという状況が法律的な見地からみてどのようなことがいえるのか、問題がある場合とない場合のポイントとなる点等をわかりやすく紹介してきましょう。
法律の義務ではないので雇用契約書を交わしていない場合でも問題ない
「雇用契約書を交わしていない」場合でも問題がないパターンから説明します。
まず雇用契約書を締結することは、法律上義務にはなっていません。従って、雇用契約書を交わしていないから直ちに法律上の問題があるという訳ではないのです。また雇用契約書ではなく「雇用契約」は「口頭」でも法律上「有効」となります。雇用契約書がなくとも口頭で「社員として採用する」と明示されたら、法律上皆さんと会社の雇用契約関係は成立していることになると考えてください。
ただし雇用契約を口頭で行う際は労働条件通知書が必要
雇用契約は口頭でよくとも、どのような条件で労働するのかを明示した「労働条件通知書」は書類で労働者側に明示する法律的義務が雇用者側にあります。雇用契約は口頭で許されても「労働条件通知書は口頭では許されない」ということです。
つまり、雇用契約書の代わりに「労働条件通知書が文書で提示されている場合には法律上直ちに問題ではない」と言えるでしょう。
雇用契約書を交わしていない時に問題になるパターンは?
「雇用契約書を交わしていない」ときに、法律上問題がないのはちゃんと労働条件通知書を書類が通知された場合であるという点を紹介しました。
裏を返すならば「労働条件通知書に該当する書類がなく、雇用契約書もない」といった状況下では法律上かなり問題があるのです。それに加えて、雇用契約のトラブルがあった際に雇用契約書をかわしていないと厄介な事態が考えられます。
雇用契約のトラブルになった場合の証拠がないので問題になる
口頭であっても雇用契約は有効であると言うのは間違いありませんが、万一雇用契約を巡って会社側と法廷で争うような事態になった場合、会社側が「口頭でそうした約束をした覚えが無い」と主張すれば、例えば口頭での約束があったことを立証する必要が生じます。
その際、録音テープ等でもなければ立証することは難しいため、最悪そうした主張が認められないおそれがあるのです。こういったことを避けるためにも、できれば雇用契約書を交わしておきたいところでしょう。
以上のようなことから、雇用契約書を交わしていなくとも口頭で雇用契約が締結されたことを証明できる代わりとなるものがあり、尚且つ労働条件通知書を受け取っていれば法律的な問題はありません。しかし、それがなければ問題だとも言えるということを覚えておきましょう。
法律上はOKだが会社と雇用契約書を交わしていないとトラブルのリスクが高い
内定通知書や労働条件通知書に該当する書類を受け取っているなら、雇用契約書を交わしていないという状況でもそれほど深刻に考える必要はありません。しかし、より法律的に守られる立場を強固にする意味では雇用契約書を交わしていないという状況はできるだけ解消した方が望ましいといえるでしょう。
「雇用契約書を交わしていない」なら会社側に確認した上で、「争う」のではなく「希望」として雇用契約書の締結を会社側に働きかけることが適切な対応です。
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