国家公務員【一般職と総合職のちがい】を解明|仕事の内容や試験内容を紹介
国家公務員【一般職と総合職の仕事内容のちがい】
まずは、国家公務員の一般職と総合職の仕事内容のちがいを見ていきましょう。
【一般職】おもに事務処理などを担当
国家公務員の一般職は、政策の実行や運営を担当し、事務処理などを主に行いますが、一概に同様の事務処理とは限りません。一般職では、試験に合格したのち、以下のような場所での勤務になります。
・財務省…近畿財務局、税関など
・厚生労働相…東京労働局など
・国土交通省…地方整備局など
一般職の仕事内容は、どの省庁・出先機関に入るかで大きく変わってきます。勤務時間は、1日8時間の土日祝日休みの完全週休2日制が基本ですが、最近はフレックスタイム制を採用しているところもあります。そして、とくに本省庁は、残業が多く不定期な勤務時間になることが多いのだとか。
国家公務員の一般職は、最終的に中堅幹部候補としての道を歩むことになります。一般職職員は、法律になった政策を実現するために活躍します。とくに出先機関では、本省庁で企画立案された事項を、現場で実際に行う事務が仕事の中心となります。一般職職員は専門的な仕事をする場合が多く、スペシャリストとなる人が多いのも特徴。といっても、本人の希望や努力次第で、管理職への道も開かれており、ゼネラリストの道に進む人もいます。年収のメドは、260~900万円。
【総合職】将来の幹部候補として職務を担当
中堅幹部候補として活躍する一般職員に対して、将来の幹部候補として活躍することになるのが総合職の職員です。総合職は、政策の企画・立案、法律の制定・改定など重要なポストを担うことになり、いわゆるキャリア官僚と呼ばれます。
キャリアとして、必要な能力を養うため、2~3年の短いサイクルで、原局や官房(総務・人事・会計などの部署)、出先機関を異動しながら、さまざまなポストの経験を積んでいきます。転勤は、全国規模で行われ、場合によっては海外に行くこともあります。そのため、英語力も必要と言えます。
その後は、一気に昇進して重要なポストに就き、国政をリードする役目を担います。管理職になるためには、スペシャリストというよりもゼネラリストとしての資質が求められるため、総合職を希望する人は覚えておきましょう。年収のメドは340~2,900万円。
国家公務員【一般職の試験の種類と内容】
国家公務員の一般職と総合職の仕事のちがいを理解したところで、それぞれの試験の種類と内容を確認しましょう。
一般職の試験は大卒・高卒・社会人試験の3種
一般職の試験でも3種類があります。
① 一般職試験(大卒程度試験)…「行政」区分をはじめとした10の試験区分があります。
② 一般職試験(高卒者程度試験)…その年の4月1日の時点で、高校卒業後2年経過していない者等が受験できます。
③ 一般職試験(社会人試験)…その年の4月1日の時点で、高校卒業後2年が経過している、40歳未満の人が受験できます。
試験内容は「教養」「専門」「論作文」「面接試験」が基本
一般試験の内容は、基本的に「教養択一試験」、「専門択一試験」、「論作文」、「面接試験」が課されるのが基本です。そのなかでも重要なのは、「教養」と「専門」。
教養は「一般知能」と「一般知識」があります。一般知能は、あまりなじみがないような数的推理・判断推理・資料解釈などが出題されます。暗記して覚えられる問題ではないため、コツコツと勉強しなければなりません。一般知識は、中学~高校で学習した科目から、思想・文化史など、公務員試験に特有な科目まで、幅広い知識が必要です。
専門は、大きく分けて法律系・経済系・行政系の3つに分かれます。それぞれの内容は以下のとおり。
法律系…憲法・民法・行政法・刑法・商法・労働法
経済系…経済原論・財政学・経済史・経済事情・経済政策・経営学など
行政系…政治学・行政学・社会学・国際関係・社会政策など
自治体によっては、法律・政治・経済事情・英語などを出題する場合もあります。
国家公務員【総合職の試験の種類と内容】
では、つづいて総合職試験の種類と内容をご紹介します。
総合職の試験は院卒者・大卒程度(それぞれ法務・教養)試験の4種
総合職の試験は4種類あります。
総合職試験(引率者試験)…大学院修士課程又は専門職大学院の課程を修了した者、修了見込みの者等が対象。「行政」区分をはじめとした8の試験区分があります。
総合職試験(大卒程度試験)…「政治・国際」をはじめとした10の試験区分があります。
総合職試験(院卒者試験)法務区分…司法試験合格者等を対象としており、主として法曹に必要な学識及び能力を必要とする業務に従事するための採用試験です。
総合職試験(大卒程度試験)教養区分…既存の試験区分以外の専攻分野の学生や外国の大学卒業者など多様な有為の人材確保に資するよう、企画立案に必要な能力の検証を重視した試験の区分です。
総合職試験は一次と二次で構成されている
総合職の試験は、一次試験と二次試験にて構成されています。大卒程度試験の一次と二次の内容は以下のとおり。
一次試験…基礎能力試験・専門試験
二次試験…専門試験・政策論文試験・人物試験
試験科目などによって区分が分かれています。区分によっては、採用数が少ない職種もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
・法律区分…ほかの区分に比べ、採用数が多く、また採用省庁も多岐に渡ります。専門試験で必須回答なのは、憲法・民法・行政法です。
・経済区分…採用数が多い省庁は、財務省や経済産業省、国土交通省などの省庁。経済理論・財政学などの理論系科目と経済事情や経済史などの知識系科目が必須回答です。
・政治国際区分…難易度はほかに比べやや低めですが、採用数が少なくもっとも厳しい試験とも言われます。試験は必須問題のほかに政治学か行政学から1題、国際関係か国際法から1題の選択となります。
教育区分…2012年秋より新設された、「人物重視」の傾向にのっとった試験種です。総合論文や政策課題討議、小論文などによって評価されます。大学3年生の秋から受験ができるのも特徴的。3年生時に最終合格を獲得していれば、4年生の官庁訪問まで受験の必要がなくなります。
国家公務員試験は一般職と総合職のちがいを明確に理解して受験しよう
国家公務員の試験は、一般職と総合職の2種類があり、そのちがいは明白です。さらには、一般職や総合職のなかにも複数の種類や区分が存在します。それぞれの条件や内容をしっかりと把握して、受験する試験を選択する必要があります。今一度、確認してみましょう。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません