懲戒免職になった公務員の退職金はどうなる
民間で使われるのは懲戒免職ではなく懲戒解雇
懲戒免職と懲戒解雇という言葉をよく聞きますが、何が違うのかを確認しておきます。まず懲戒解雇とは、民間企業の労働者が問題行為を起こした場合に、最も重い懲戒処分として解雇されることを言います。職場の金を横領した場合など、会社に損害を与えるようなケースがこれに当たります。
懲戒解雇になった場合の退職金は規定に準じる
この場合、会社に退職金の制度や慣行があり、退職金規程などに支給制限が明記されていて、永年勤続の功労を失わせるほどの不信行為が認められれば、退職金は不支給又は減額になる恐れがあります。
懲戒免職は公務員に使われる言葉
一方懲戒免職とは、国家公務員や地方公務員などが問題行為を起こした場合に、最も重い懲戒処分として職を失わせることを意味します。つまり、懲戒解雇と懲戒免職は、民間企業の労働者か公務員かの違いだけで、問題を起こしたら仕事を失うという点では共通しているのです。
懲戒免職になった場合の退職金は規定に準じる
公務員が懲戒免職になった場合も、法律や条例に基づき退職金は支給が制限されます。国家公務員退職手当法12条1項によれば、在職中の職務とその責任、行った非違行為の内容と程度、それが公務に対する国民の信頼をどの程度損なわせたかなどを考慮し、退職金の全部又は一部を支給しないという処分を下せます。すなわち、懲戒解雇と同様に退職金の不支給又は減額がありうるのです。
退職金の支給制限に不満があれば不服申立ができる
仮に懲戒免職やそれによる退職金の支給制限に不満がある場合は、公務員は「雇用主の行政機関に対し不服申立」をすることができます。仮に、公務員が飲酒運転を理由に懲戒免職と退職金不支給の処分を受けた場合は、裁量権の濫用だとして、市の人事委員会に不服申立することができます。
処分の取消訴訟を提起することもできる
公務員による不服申立が認められなかった場合は、処分の取消訴訟を提起し裁判で争えます。そこで裁量権の濫用と認められれば、違法として公務員の処分が取り消される可能性が高くなります。例えば、事実誤認があった、内部基準より厳しく処分している、他の処分でもよいのに懲戒免職までしているなどの場合は、処分を取り消してもらえる確率が高くなります。
公務員は懲戒免職になっても退職金をもらえる可能性はある
懲戒免職は、公務員が問題を起こした場合に、最も重い懲戒処分として職を失わせることをいいます。民間企業の労働者が受ける懲戒解雇とほぼ同義です。この場合、在職中にどんな仕事をしていて、どんな問題を起こした、それにより国民の信頼をどの程度損なわせたかなどを考慮し、その結果退職金の全部又は一部が支給されなくなる恐れがあります。それでも、雇用主の行政機関に対する不服申立や、処分の取消訴訟を通じて、その結果を覆せる可能性は残されており、その実例もあります。公務員が懲戒免職されても退職金をもらえる可能性はあるので、諦めてはいけません。
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