「辞職」と「退職」の違いがよく分かる2つのポイントと役職による使い分け
辞職と退職の違い①:意思表明があるか
まず、辞職と退職の基本的な意味の違いを説明します。「辞職」とは自らの意思でやめることです。たとえば、転職や起業、あるいは会社や職場に対する不満などを理由に、自分の意思で会社をやめるときに、「辞職」を使います。
「退職」とは自らの意思や、何らかの理由でやめることです。たとえば、リストラや解雇など会社側の意思でやめさせられるときには、辞職ではなく退職という言葉を使います。
ただ、自分の意思表明に使う「辞職」とは違い、「退職」は自らの意思がどこにあるかは問いません。
「退職」は含みが多い言葉である
つまり、退職は会社をやめるという行為そのものにも使うことができるのです。転職や起業などの自己都合で会社をやめるときにも「退職」という言葉を使うことができます。辞職と比べると、退職という言葉の方が含みの多い言葉なのです。
辞職と退職の違い②:立場による使い分け
続いては、仕事上での両者の使い方の違いについて説明します。まず、会社内の立場の違いによって、「辞職」と「退職」を使い分けることがあります。
辞職とは「労働組合の組合員ではない、課長以上の役職者が会社やその役職を辞めること」です。つまり、会社のトップにいる偉い人が役員同士の経営方針をめぐる戦いに敗れたり、社員の不祥事や業績悪化の責任をとって会社をやめるときには、「退職」ではなく「辞職」を使います。この場合は退職届ではなく「辞表」を提出します。立場によって違いがあるのです。
平社員は「辞表」ではなく「退職届」
一方、退職とは「労働組合員(平社員)が会社をやめること」です。なので、平社員は自分の都合で会社をやめるときにも辞表ではなく退職届を提出します。
辞職には退職とは違い、「役職はやめるが会社をはやめない」というときにも使います。この意味の違いには注意が必要です。
会社都合退職の場合は退職届に「辞職」と書くべきではない!
退職するとき、平社員であれば普通は退職届、または退職願を提出します。このとき、自身の意識としては「辞職」であっても、辞職届ではなく退職届とするのが通例です。辞職という意思を会社にはっきりと示してからやめたいときには、退職届の本文に「○○のために、辞職します」と書きます。
ただ、「退職」は会社をやめるという行為を意味するものですが、「辞職」は退職とは違い、一種の意思表明です。なので、「辞職」と書いてしまった以上、離職票で会社都合退職にすることはできません。
会社への不満や転職などで退職するときにはよいですが、実態は会社都合退職なのに自己都合退職だと思いこみ、退職届に「辞職」と書いてしまうと、後で後悔することになります。
履歴書では「退社」を使う
履歴書の経歴欄は退職届と違い、あなた自身の意思を示す必要はありません。経歴欄はあくまで、あなたの過去にあったこと、その事実のみを淡々と書けばよいのです。そのため辞職であっても「○○会社 退社」と書くのが望ましいでしょう。
一般的に使うのは「退職」!役職者が辞める際には「辞職」または「辞表」という違いがある
「辞職」と「退職」の違いがよく分かる2つのポイントをまとめました。
上記のように、退職届や履歴書では「退職」を使う方が一般的です。特に履歴書で経歴を淡々と説明するためには、「退職」を選んで使いましょう。
自分の「辞める」という意志を明確にしたいときには、「辞職」という言葉を使います。辞職が自らの意思が含まれているとの理解をした上で、適切に使い分けることが必要なのです。
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