雇用契約書を試用期間中に書くときの注意点
「試み」と「試用期間」で解雇条件は別
労働者を本採用する前に「試用期間」を設けて、雇用契約書を交わすケースは少なくありません。
この「試用期間」は、労働者にとっては不安定な時期なので、いろいろと心配することもあるでしょう。まずは「試みの試用期間」と「試用期間」の違いについて知っておきましょう。
試用期間:30日前の解雇予告が必要
まず「試用期間」ですが、30日間の解雇予告が必要なので「明日から来なくていいから」と言われて食いっぱぐれるという話にはなりません。30日前の解雇予告か、30日分の予告手当を支払う必要があります。
ただし次に述べる、「試みの試用期間」中は別なので気を付けましょう。
試みの試用期間:14日以内なら解雇OK
「試用期間」中は即時解雇できず、一定期間設ける必要がありましたが、「試みの試用期間」に関して、14日以内であれば予告期間を設けず解雇できるので、労働者の方は気を付けましょう。
雇用契約書を締結する際は、解雇や退職の項目をチェックしてくださいね。そして、自分が該当しそうな項目はないか、また試用期間中に気を付けるべきポイントは何かきちんと把握しておきましょう。
雇用契約書の注意点①:試用期間中の賃金は本採用時より少ない
試用期間中の賃金についても誤解に基づいて不満を溜め込んだり、正当な権利が認められていない状況に甘んじてしまうことのないように、基礎的なポイントだけは押さえておきましょう。
試用期間中の賃金は当事者同士で決める
試用期間中の賃金は当事者間で決めることになるので、本採用後の給料よりも低いケースも少なくありません。そのため、本採用後の賃金よりも低く設定されていても違法とは言い切れませんので、試用期間中の賃金については注意しておきましょう。
最低賃金など労働者の権利は法律で認められている!
しかし試用期間中であっても、「最低賃金」や「時間外労働・深夜労働・休日労働の割増賃金」は法律で保障されています。
「最低賃金を下回ってないか?」や「割増賃金が支払われているか?」は、しっかりとチェックしておくべきです。
雇用契約書の注意点②:試用期間満了後の本採用拒否
試用期間が終われば正社員への本採用になるはずです。しかし、試用期間満了後に、本採用を拒否するケースも無いわけではありません。
会社側は本採用しないなら「具体的理由」が求められる
過去の判例を参照する限り、雇用契約書に記載されていても、「具体的な根拠」に基づかなければ本採用しないという決定が認められないケースもあります。
以下で、詳しく説明しますが、要するに「態度が悪い」ならきちんと注意して是正されなかったという、具体的事実が必要で、注意もされず本人として何の自覚も持たない理由で、解雇されることはないです。
何の指摘もなく会社から採用拒否されても無効!
たとえば、「勤務態度が悪い」というだけでの本採用拒否は認められない可能性が、高いと思われます。もし、勤務態度が悪かったのであれば、まずは口頭で注意するなど本人に是正を求めたうえで、それでも改善が見られないような場合には、本採用拒否も認められる可能性が高くなります。
試用期間中に使用者側が、何の指摘等もせずに本採用を拒否するとなると、本採用拒否が無効と判断される可能性が高くなってきます。
雇用契約書の記載を行なう場合は試用期間後の賃金や契約内容を細かくチェック!
試用期間を含む雇用契約書を記載する場合は、解雇条件はきちんとチェックしておきましょう。
雇用契約書に試用期間が含まれていても、労働者の権利は法的に守られています。試用期間は、ミスマッチを避ける制度なので、雇用契約を締結する際には内容をしっかりと吟味したうえで、不明な点は最初に確認しておくことが、後々のトラブルを未然に防ぐことにつながると思います。
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