労災で請求可能な通院費の内容と申請するときの注意点
労災で請求可能な通院費①:適切な距離内での交通費
労災で請求可能な通院費とは、「労働者の居住地または勤務地から、原則として片道2km以上4km以内の通院であること」と「同一市町村内の適切な医療機関へ通院した場合であること」の2つの要件を満たしている場合です。なので、たとえば「名医を求め越県通院をしたい」や「市外の実家で療養したいから、実家近くの病院に通いたい」というような場合では、労災で通院費の請求はできません。
適切な病院が無い場合は相談を
ただし、居住地や勤務地のある市町村内に適切な医療機関がない場合には、同一市町村外の医療機関への通院費が認められることがあります。また、2008年の見直しにより、「4km以内」という要件が緩和されたので、最近では4km以上離れている病院への通院費も請求できるようになりました。それでも通院費を請求できるかが心配な方は、労働基準監督署に問い合わせてみるとよいです。通院費請求が認められた場合は、通院にかかった費用の実費相当額が支給されます。また、転院や自宅から医療機関への移送にかかった通院費用も請求ができます。
労災で請求可能な通院費②:公共交通機関が利用困難な場合の交通費
労災で請求できる通院費は、「鉄道やバスなどの公共交通機関を利用した場合の費用」が原則です。ただし、必要と認められる場合には、通院費用としてタクシー代も請求することができます。タクシー代を請求するには、「医師から公共交通機関の利用が困難であるという診断書が出ること」や「タクシー以外の適当な公共交通機関がないこと」などの条件を満たす必要があります。なお、医師の診断書が必要な場合は、早めに依頼することをおすすめします。
4kmを超えていても最寄りならタクシー代請求は可能
また、診療に適した医療機関が自宅から4kmの範囲内にない場合でも、最寄りの医療機関であればタクシー代を通院費として請求可能です。このとき、労災では「必要と認められる限度で通院費を支給」しますとされており、「必要と認められる限度で」ということなので全額支給されるとは限りません。
タクシー代は領収書が必要
労災でタクシー代を請求するときには領収書の添付が必要です。領収書の添付が必要なのはタクシーのみで、鉄道やバスなどの公共交通機関では必要ありません。タクシー代を通院費として請求するときは、忘れずに領収書をもらい、領収書をなくさないように気を付けましょう。
通院費を請求する際は時効に注意
労災で通院費を請求する際の注意点として、「時効」が挙げられます。労災の通院費請求権には時効があるので、時効が切れるまでに請求する必要があります。通院費の請求権は「療養の費用を支出した日ごとに発生」し、時効は「その翌日から2年」とされています。
早めの手続きを心がけましょう
また、労災の通院費請求の手続きは本人が労働基準監督署に請求書を提出して行う必要があります。なるべく早めに手続きをするようにしましょう。ちなみに、これは「通院費請求の時効」であり、労災の「療養給付申請の時効」ではありません。混同しないようにしてください。
各条件を満たせば離れた病院への通院費も労災で請求可能
労災で請求可能な通院費の内容は、さまざまな条件を満たすことで可能になります。労災で通院費を請求できるかどうかは、基本的には自宅や勤務地と病院との距離がカギとなりますので、ぜひ覚えておきましょう。また、労働基準監督署に問い合わせると管轄内で通院費が支給される病院のリストを教えてもらえるので、病院を決める際には相談してみましょう。
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