「参る」の意味とは?すぐ覚えられる「伺う」との違いとすぐに使える例文
「参る」は漢字とひらがなで意味が違う?
「参る」は、自分が向かう行き先にいる相手を敬う場合に使用します。文中や会話で良く使用される「参る」ですが、文中で扱う場合、ひらがなと漢字で使い方が少々異なります。ひらがなと漢字の「参る」には、どのような差があるのでしょうか。
ひらがなの場合「まいる」は補助動詞として使用する
ひらがなの「まいる」は、文章における補助動詞の役割があります。文中で使用する際には、「これからより一層精進してまいります」「これから目的地を見てまいります」など、補助的な役割で用いる場合が多いです。この場合は、ひらがなの方が自然といえます。
「参る」は尊敬語に分類されない
「参る」は、基本的に自分を下にする場合にのみ使われます。敬語で「参る」を扱う際、「課長がそちらに行く」という情報を伝えたいときは、「課長がそちらに参ります」という表現を使用します。そのため、上司が「行く」という動詞を「参る」とするなら、「参る」は尊敬語に分類されるのでは、と思われがちなのです。しかし、それは大きな間違いといえるでしょう。
性格には謙譲語に分類される
「参る」は、自分の立場を下にして使用する言葉のため、正式には「行く」の謙譲語になります。上司に使用する場合でも、他会社など社外への情報発信時は「参る」を使用するのが、正しいといえるでしょう。対外的なやりとりをする際は、上司であっても謙譲語で表現してください。
【例文】
・14時に参ります。 ・11時に御社まで参ります。 ・ただいま参ります。
・○○は直ちに参りますので、どうぞお掛けになってお待ちください。
・今後も発展のために尽力して参ります。
「参られる」を相手に使わないようにする
「参る」は、「行く」と「来る」2つの意味があります。「来る」を謙譲語の意味で使うと、「参られる」となり相手を低めてしまうので、注意が必要です。あくまでも、相手に使うのは尊敬語ですので、この場合は「いらっしゃる」「おいでになる」を使用しましょう。
【例文】
・専務は今日の19時に参られます。✕
・専務は今日の19時にいらっしゃいます。〇
・専務は今日の19時においえになります。〇
「参る」と「伺う」の違いとは?
「行く」の敬語には、「参る」の他に「伺う」があります。厳密にいうと、「参る」の意味は「行く」や「来る」で、「伺う」は「尋ねる」や「聞く」という意味を持ちます。しかし、どちらも意味合いとしては同じで、「行く」という意味で使う謙譲語として間違っていません。ただ、状況によっては「伺う」が使いにくくなる場合もあるのです。では、「参る」と「伺う」には、どんな違いがあるのでしょうか。
「参る」は謙譲語Ⅱで「伺う」は謙譲語Ⅰに分類される
実は、謙譲語には分類が存在します。謙譲語は主に「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ」に分かれるのです。この場合、「参る」が「謙譲語Ⅱ」に分類され、「伺う」が「謙譲語Ⅰ」に分類されます。。では、「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ」、それぞれの役割は何なのでしょうか。
謙譲語Ⅰ「伺う」は行き先を立てる際に使用する
謙譲語Ⅰは、主に相手を立てるのに使用する言葉です。自分の行動の先を立てるのに使用されます。そのため、「伺う」は自分が起こした行動で自分の立場を下げ、相手を上にあげる際に使用されるでしょう。また、「伺う」には「来る」という意味がなく、基本的に自分から行動する場合のみに使用されます。つまり上司が相手先に出向く場合などは、「上司が伺う」ではなく、「上司が参ります」の方が、自然といえるでしょう。
「行く」先に敬意を払わない場合は使わないよう注意
たとえば、「来週は北海道に伺います」という使い方はしません。「来週は北海道に参ります」はOKです。そして、「来週は北海道の取引先に伺います」は使えます。取引先は目上の人にあたるため、「伺う」が使えるのです。
「参る」は謙譲語Ⅱで「伺う」は謙譲語Ⅰに分類される
謙譲語Ⅱは、相手に対して丁寧に物事を伝えたい時に使用する敬語です。自分を下げる意味合いはなく、相手を敬う接し方を考えた表現といえます。例えば、「Aに行く」という内容をBに話しているとしましょう。その「A」が公園や友人宅の場合、「参る」はあくまで話し相手の「B」を敬う表現になるため、「公園に参りました」「友人の家に参ります」のように使用できます。「向かう先に立場が関係ない」場合に、「参る」を使うことができるのです。このケースでは「伺う」を使用することが難しいので、「参る」を使用するべきといえるでしょう。
「参る」は正しい使い方を!意味を知ってひらがなや「伺う」と差別化しよう
「参る」は謙譲語ですが、表現によって補助動詞として使用されたり、尊敬語にみえたりします。正しい使い方をするためにも、「参る」は謙譲語であり、話す相手を敬う際に使用するということを覚えておきましょう。「伺う」との差別化をしっかりとおこない、誤った使い方をしないようにしましょう。
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