「届く」をビジネスで使う場合の正しい敬語表現
「届く」という言葉は敬語に変換できない?
「届く」を敬語(謙譲語・丁寧語)に変換する場合の使い方についてみていきます。「届く」という言葉はビジネスシーンで使うケースが多いため、なるべく丁寧な言い方に変換したいところです。しかし「届く」には敬語表現がありません。
「届く」のように、言葉そのものに敬語(謙譲語)が無いパターンというのは幾つかあります。ビジネス上で敬語のやりとりができるという事は最低条件になりますので、できる限りしっかり覚えておきましょう。
届くの主語は「物」のため敬語に変換できない
届くの主語は「物」のため敬語に変換できません。敬語に変換すればいいじゃないかという話しですが、そもそも、「届く」の主語は「物」なので「物」に対して敬語を使うことはできません。敬語を使うのは「人」に対してです。つまり、FAX様が届かれました、到着されましたという敬語には変換できないのです。
同じく「ございます」の敬語の使い方にも注意
届く以外に敬語で間違いやすいのは「ございます」と「いらっしゃいます」です。それではどう変換すればいいのでしょうか。
正しい) Aさんはお茶でございますね。
誤り ) Aさんはお茶でいらっしゃいますね。
※お茶などの物に対して尊敬語は使用しません。
「届く」は敬語ではなく丁寧語で使用
先述したように敬語は人に対してしか使えません。人が対象になることがない「届く」という動詞を尊敬語にするのは不可能です。そのため「届きました」「届いております」などが限界です。社内での会話やメールなどでは、丁寧語まで使えれば充分と言えるでしょう。どうしても謙譲語を使う場合は、別の言葉に変換する必要があります。
丁寧語なら「届く」を「届きます」と変換
「届く」は丁寧語を使うのが精一杯で、「届きます」「届きました」と丁寧表現にすることはできます。もしも、どうしても敬語を使いたい場合は別の言葉を使います。「ファックスはお届きになりましたでしょうか?」正しくは「ファックスは届きましたでしょうか?」。物や自然現象について、「お届きになる」など、「お~になる」と尊敬語にする必要はありません。
「届いておりますでしょうか」は間違った丁寧語?
「届く」は敬語ではなく丁寧語で使用する際につい、「届いておりますでしょうか」といいたくなりますが、はたして間違っている敬語でしょうか。ビジネスシーンにおいて、「届いておりますでしょうか」は、荷物やFAXの状況確認で使われます。しかし、本当に「届いておりますでしょうか」を使い続けていいのでしょうか。
使い方としては間違っていない
「届いておりますでしょうか」は敬語の使い方としては間違っていません。「おる」は謙譲語で丁寧語にはならないように思えます。しかし「おる」は謙譲語・丁寧語のどちらでも使えるため、「届いておりますでしょうか」をビジネスシーンで使っても問題はありません。
敬語を使うため「届く」は別の言い方に変換
「届く」を敬語にしたいのなら「届く」というのを別の言い方に変換してみましょう。「配達」という言葉に変える方法もありますし、もし受け取る側なら「受け取る」に変換でもいいでしょう。日本語には同じ意味を持つ表現の言葉が幾つもありますので、自在に使いこなす事が求められます。「届く」「届いた」「届きました」「届ける」など。言い回しを換えるだけで相手の受け取る印象も変わってきますので、文章におこす際などは工夫してみてください。
「届きました」を敬語の「受領・頂戴いたしました」に変換
「届く」は主語が物のため敬語が使用できません。ですので、「届く」という言葉を違う言葉に変換してみましょう。
例:「先ほど資料が届きました」
↓
「先ほど資料を受領いたしました」
「先ほど資料を頂戴いたしました」
しっかりとした敬語に変換できました。
受領をさらに「拝受」と変換
「メールを拝受しました」あまり一般的ではないが、重要な取引先や目上の人に使いたいのが「拝受」です。多用するとただ「うっとうしい」だけなので注意が必要です。ここ一番というときに用いたいです。「拝」にすでに謙譲の意味があるため、シンプルに「拝受しました」と表現しましょう。「拝受いたしました」としないように。
「届く」は敬語に変換できないので違う言葉で代用
今回は届くを敬語(謙譲語・丁寧語)に変換する場合の使い方についてみてきましたが、いかがでしたか。これで「届きました・届いた・届いていない」を使うときは困らないですよね。
「届く」は基本的に敬語に変換できないので、丁寧に言いたいときには到着など別の言葉に置き換えましょう。日本語は難しいですから、そのままの状態では敬語に変換できないものが多々あります。そうした場合は別の言葉に置き換えて、その上で敬語に変換するという方法を覚えておきましょう。
昔は辞書を引いて調べるという方法が一般的でしたが、今はネットですぐに敬語の使い方などを調べる事ができます。解らない時はすぐに調べるというクセをつけるようにしましょう。
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