円満退職するための「引き継ぎ」のポイント5つ
退職前の引き継ぎをしないと、どうなる?
退職するときは、引き継ぎをするのがビジネスマナーとも言われますよね。誰もができれば円満に退職したいと思うものですが、引き継ぎが上手くいかない時もあるかもしれません。
退職前の引き継ぎが上手くいかない場合、どんな事態が起こるのでしょうか。実際にそんな場面に遭遇する前に、知っておきましょう。
気まずい雰囲気の中の退職になる
退職前の引き継ぎができなかった場合、気まずい雰囲気の中で退職する羽目になることがまず予想されます。円満退職とは程遠い雰囲気になるでしょう。
また、例えこちらに落ち度がなかったとしても、後任の人が不満を持っていれば、社内では「きちんと引き継ぎもせずに退職した人」扱いされる恐れもあります。引き継ぎの準備は万全に整えておく必要があるのです。
損害賠償を請求されるかも……
もし、会社の就業規則に退職の際は業務の引き継ぎを行う旨が書いてあるなら、注意しなくてはなりません。とくに、会社が引き継ぎの後任を用意して、きちんとした引き継ぎ体制を整えているのにも関わらず、業務の引き継ぎや残務処理ができていない場合は、こちらに落ち度があるとされてしまうのです。
そのまま退職すると、会社から退職金の減額や損害賠償請求をされる可能性もあるのです。また、そのような状況で退職して、その会社が次の転職先の取引先になった場合などは、非常にやりにくいですよね。
そもそも後任がいない!この場合は退職できる?
上記で、引き継ぎをきちんとしなかった場合は、気まずい中での退職や損害賠償を請求される恐れがあるとお伝えしました。しかし、中には引き継ぎをしたくても、「そもそも後任の人がいない!」と言うケースもありますよね。
きちんと2週間以上前に退職届を出したのに、会社が後任を用意しない場合、退職を許されなかったり、損害賠償を請求されてしまったりするのでしょうか?退職日が刻一刻と近づいているのに何もなければ不安ですよね。
後任を用意しない”会社”に責任があるので「退職はできる」
結論から言うと、後任がいなくて引き継ぎができない場合でも退職はできます。規定通りに退職届を提出していて、引き継ぎ資料を作成していれば、引き継ぐ後任がいなくても退職日を引き延ばされることはありません。
むしろ、きちんとした手順で退職の手続きを踏んでいるのに、退職日を引き延ばす行為は、労働基準法に違反します。引き継ぐ後任者がいない場合は、引き継ぎ資料だけ作成しておきましょう。
損害賠償も請求されない
後任者がいないのに退職日が迫ってきていることの焦りには、「そのまま退職すれば損害賠償を請求されるかもしれない」という心配があると思います。
しかし、そもそも後任者がいない場合は、会社が引き継ぎ体制を整えなかったことが問題であり、退職者には何の関係もありません。そのため、会社側としても、満足な証拠をそろえるのは難しいので、損害賠償を請求されるということはないはずです。
円満退職するための引き継ぎの仕方のポイント5つ
後任者がいない場合は引き継ぎができなくても退職して良いとお伝えしましたが、それでも常識的に引き継ぎマニュアルは作っておく必要があります。自分が退職後に突然後任を指名されるかもしれない人も救われるはずです。
今回は、円満退職するために必要な引き継ぎの仕方のポイント5つをまとめました。これらのことをしっかり行っておけば、引き継ぎで「こちらに落ち度があるという扱いを受ける事はそうないはずです。しっかり引き継ぎを完了させて、円満に退職しましょう。
ポイント①:引き継ぎスケジュールの作成
まずは退職日までの日数から逆算して、引き継ぎで行うべきことをリスト化してみます。1日の仕事量から、引き継ぎ資料をまとめるのにかかる時間や、残務処理と後任への引き継ぎにかかる時間を割り出します。
その後は、何から行うべきか優先順位を付けていきます。引き継ぎは計画通りにいくとは限りません。重要なものから引き継げるように決めていきましょう。
最後にスケジュール組みを行います。退職日の3日前には終わるように、余裕を持ったスケジュールにするのがおすすめです。アクシデントがあって、上手く進まなかったとしても、スケジュールに世用鵜があれば柔軟に対応できます。
ポイント②:引き継ぎマニュアルの作成
引き継ぎは後任者と行うのが一番ですが、「後任者がいない」「後任者が辞めそう」「複数の人で分担して引き継ぐ」というケースでは、引き継ぎマニュアルを作っておくことをおすすめします。仮に、後任者に引き継ぎを直接行う場合でも、引き継ぎマニュアルがあれば後任者としても安心です。
引き継ぎマニュアルは「年間・月間・日々」という3つの時系列順に作っておきましょう。1年間のマニュアルを漏れなく記載して下さい。とくに1年の中では、イレギュラーな事態が発生することもありますから、それへの対処も書いておきます。
具体的には以下の事は最低でも書いておくようにしましょう。
・担当業務の目的
・業務全体の流れや守備範囲
・具体的な作業手順
・優先順位
・注意点
・顧客企業・担当窓口の情報
・過去の受発注履歴、入金などの取引履歴
・過去のトラブルやイレギュラー対応
・社内の関係部署
・関係者
また、マニュアルには実際の体験も記載しておくと分かりやすいです。仕事の目的、成果への繋がり、失敗しやすい点、克服・改善の仕方など、実際に仕事をする上で必要なことを入れておきましょう。とくに、後任がいない場合は重宝されるはずです。
ポイント③:後任への引き継ぎ
続いて後任への引き継ぎです。実際に後任の人に引き継ぐ際には、あらかじめ作っておいた引き継ぎマニュアルを有効活用しましょう。マニュアルをみながら、口頭で後任者へ説明していきます。
また、日程に余裕があるようなら、実際に業務を一緒に行ってみるのがおすすめです。一緒に実際の業務を行いながら説明することで、伝え忘れていた事実に気付く事もありますし、後任もどこが分からないか分かるので、質問もしやすいでしょう。
何より、しっかり引き継ぎをして実際の業務に問題がないようであれば、心置きなく退職できます。この後、お世話になった取引先やお得意先にあいさつ回りをするときにも、自信をもって後任を紹介することができるでしょう。
ポイント④:挨拶状・メールの作成
退職するときに欠かせないのが、取引先やお得意先に退職の挨拶状や挨拶メールを送ることです。ただ、会社によっては、従業員の退職を伝えない方針の企業もあります。挨拶状や挨拶メールを作成する前に、会社の方針を確認するのを忘れないようにして下さい。
まずは挨拶状の例文から見ていきます。挨拶状の作成で悩んでいる方は、こちらの例文を参考にして作成すると、スムーズに書けると思います。
【挨拶状の例文①】
拝啓 時下ますますご健勝にお過ごしのこととお慶び申し上げます
私 △△△△(氏名)
このたび ○○○○(会社名)を退職いたしました
長い歳月大儀なく大過なく勤めさせていただきましたことはひとえに
皆様のご厚情の賜と深く感謝いたしております
今後とも何とぞ変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもって お礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
○○年○○月
【挨拶状の例文②】
拝啓 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
さて 私こと△△ △△(氏名)は
このたび○○○○○○(会社名)を退職いたしました
○年の長きにわたり勤めさせていただくことができましたのも
皆様方のご厚誼とご指導の賜物と只々感謝の気持ちで一杯でございます
心から厚く御礼申し上げます
皆様方のおかげで大過なく勤めさせていただき大変喜んでおります
今後とも何とぞ変わらぬご厚誼をお願い申し上げます
まずは書中をもってお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
○○年○○月
【挨拶状の例文③】
私△△ △△(氏名)
一身上の都合により、本日付で退職することになりました
〇年前に入社し、それからは、笑いあり、涙ありの会社生活でしたが、大きな失敗もなくこれたのは、一重に、これまでご指導頂いた、上司・先輩方、助けて頂いた同僚の皆様のお陰だと思っています
今後、私の業務は、△△さんに引継いでいただくことになっています
どうぞよろしくお願いいたします。
本日をもちまして○○社を退社いたしますが、どうぞ今後とも変わらぬお付き合いをお願いいたします
以上で退職の挨拶とさせていただきます
敬具
○○年○○月
次に挨拶メールの例文を見ていきます。退職の挨拶メールの例文でお困りの方は、こちらの例文を参考にして書いてみると良いでしょう。
【挨拶メールの例文】
件名:退社のご挨拶
○○株式会社
営業部 ○○様
いつも大変お世話になっております。
株式会社○○・営業部のXXです。
さて、私事で恐縮ではございますが、
○月末日にて、退職することとなりました。
○○様には何かとお力添えをいただき
心より感謝しております。
尚、後任には同じ課の引き継ぎ花子があたる予定ですので
私同様、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、
何卒よろしくお願いいたします。
今後についてはまだ決まっておりませんが、
新しい職場が決まりましたら、
改めてご挨拶にお伺いしたいと思っております。
本来ならば、直接ご挨拶へ伺うべきところですが、取り急ぎ、メールにて失礼いたします。
ポイント⑤:後任と挨拶回り
退職するので仕事を後任に引き継ぐという場合には、後任者と一緒にお世話になった取引先やお得意先に挨拶に行くのがビジネスマナーです。その時は自分の話は最小限におさえて、後任が主役というつもりで挨拶するように注意して下さい。
具体的な挨拶の内容ですが、「報告→お礼→後任紹介」という流れが適切です。この時は、「私よりもしっかりしています」など、取引先を安心させる一言を添えると、後任と取引先の今後の関係性もスムーズに運ぶでしょう。
引き継ぎでは5つのポイントを守って円満に退職しよう!
円満に退職するための引き継ぎのポイント5つを紹介しましたが、いかがでしたか?円満に退職する上ではきちんとした引き継ぎは欠かせません。また、後任がいない場合でも、引き継ぎマニュアルは作成しておくようにしましょう。
引き継ぎでは「①スケジュールの作成②マニュアルの作成③後任への引き継ぎ④挨拶状・メールの作成⑤後任との挨拶回り」、以上5つのポイントを完璧に行ってください。きちんとした引き継ぎをすれば、円満に退職できるはずです。
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