「賜る(給わる)」の意味と使い方
賜るは「もらう」の謙譲語
賜るは「受け取る」の謙譲語であり、相手の厚意だけでなく物品を受け取る際に使われます。そのため、「ご愛顧を賜る」のように感謝や敬意を込めて使われるケースが多いのです。一方、賜るとは違い、承るは聞くと言う行為の謙譲語であり、要望を承る、依頼を承るなどと言った形で使われます。貴重な意見を聞く等、限られたケースではどちらでも正しくなりますが、「賜る」と「承る」には大きな違いがある点を理解しておく必要があります。
実際に「賜る」を使う機会はかなり少ない
賜るは「受け取る」の謙譲語であり、実際に日常で使ってみると中々使う機会がない事が良く分かります。これは身近な範囲の人間である、親や目上の人から物を受け取る際は「いただく」を使うのが中心であり、賜るは取引先など限られた範囲で使われることが多いからです。また、上司からの指示や命令は「賜る」ではなく、「承る」と表現するのが正しくなります。あくまで外部に向けて使われるのが一般的であることを覚えておくのもポイントになります。「承る」と「賜る」は似ていますが、意味の違いをしっかりと理解して使用しましょう。
「賜る」の乱用は避ける事
賜るは「受け取る」の謙譲語ですが、乱用しすぎるのは問題で、時と場合によって使い分ける知恵も必要です。これは特定の言葉にこだわり過ぎると二重に意味を重ねてしまったり、文脈がおかしくなるなどの弊害がおこりがちだからです。特に、尊敬語と謙譲語の違いを理解せずにバラバラに使ってしまうようだと統一感が失われてしまいます。「賜る」を使うのであれば、自分の立場と相手の立場も含めて正確に把握した上で、文章表現にする国語力が必要になるのです。
普段使われないからこそ「賜る」が光る
「賜る」は、尊敬語である「いただく」と似ている部分があります。ポイントは、尊敬語が相手を高めるために使われるのに対し、謙譲語は自分を下げた立場で使われると言うという違いです。もっとも丁寧な使い方に「下賜」のように、王侯貴族など、それ以上の存在がない相手から品物を受け取った際などの表現に使われることもあります。尊敬語は一般的に目にする機会が多いため、「承る」との違いをしっかり理解して「賜る」をしっかり使えるかどうかだけで相手の見る目が変わるケースがあるのです。
「賜る」を活用できるのはスピーチの場など
「賜る」は来賓などが居る改まった場に馴染みやすい、かなりかしこまった言葉のひとつです。スピーチなどに組み込むのは基本であり、特に相手に最上級の敬意を持ってお礼を言う際などに用いられます。逆に言えばカジュアルな場では馴染まず、どれだけ地位が高い人であっても「賜る」を使うのが間違いの場合もあります。場の厳粛さや個人間の距離感を示すうえでも重要な言葉のため、どのように使うかの意図の面でも重要になってくるのです。
賜るはしっかり使わないとかなり恥ずかしい
「賜る」を使う場合は主に外部への文章になり、違いを理解せずに「承る」と間違い使用してしまうとかなりの恥になってしまいます。日本語力が疑われるのではなく、誤字脱字を外部に出す人間として認識されることもあるため、特に目上の人がふれる文章では使い方の間違いに気を付ける必要があります。不安がある場合は後から読み直した方が良く、特に物以外を受け取っているときは慎重に確認するのがおすすめです。
賜るは「受け取る」・承るは「聞く」の謙譲語なので違いと場をわきまえて使おう
「賜る」と「承る」の違いと使い方を見ていきました。賜るは「受け取る」の謙譲語であり、承るは「聞く」の謙譲語です。そのため、なにか物を受け取った際に「承る」と表現するのは間違いになります。一方で、厚意や助言などを受けと取った場合はどちらでも間違いにならない場合もあります。ポイントは「賜る」を使う場が非常に限られていることです。取引先への挨拶や、来賓がいる場でのスピーチなど、最上級の敬意を込めて使われることが多いからです。そのため、無闇に乱用すると間違いに繋がることもあるため、使う場をわきまえつつ、どのように表現するのか、どのような意図を込めるかが大切になる事も多いのです。「賜る」と「承る」の違いをよく理解した上で使用しましょう。
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