シフト制の就業規則を作成する際に知っておきたい時間の規定【ケース別】
労働者との間で起こる問題を解決するためにも就業規則は大事
シフト制で勤務する小売業や工場などの仕事は、就業規則で時間の規定について定めておかなくてはいけません。もし、労働者とトラブルがあった際は就業規則に基づいて問題を整理していきます。労働者と事業主が良好な関係で仕事するためにも、シフト制に対応した就業規則を作っておきましょう。
就業規則では労働にあたる時間を細かく記載する必要がある
就業規則には労働時間を記載しなければいけません。その記載事項は労働基準法で
「始業及び就業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交代に就業させる場合においては就業時転換に関する事項」が定められています。
固定時間制の場合、
『始業は9時00分、就業は18時00分、休憩時間は12時00分から13時00分まで』
と決まっている時間を就業規則に記載すればいいでしょう。しかし、シフト制だと記載例のような書き方はで難しいといえます。労働時間が固定されていない、数種類あるといった場合はどうすればいいのでしょうか?
時間固定のシフト制の記載方法は基本的に固定時間制と同じ
シフト制でも数種類の勤務形態があると思いますが、まずは職種、グループや班別に労働時間(始業及び終業時刻、休憩時間)が固定されている場合は、それぞれの職種、グループや班ごとに始業及び終業時刻、休憩時間を記載しましょう。時間が固定されているので、記載事項は増えますが、固定時間制と基本的には変わりません。
シフト制の場合の就業規則の規定例は、
『始業及び終業時刻、休憩時間は次に記載する時刻を基準として、雇用契約書により個別に定める』
となります。そして、この規定の次にそれぞれの職種やグループ、班別に具体的な始業及び終業時刻、休憩時間を記載します。
労働者にとって個人別シフト制の規則は理解しづらい
シフト制には職種やグループ、班ごとの区別ではなく、個人ごとに労働時間を設定している場合があります。そういう場合、個人ごとの時間設定をすべて就業規則に記載するのも手段の1つですが、時間と手間がかかるだけでなく、就業規則を従業員に周知し理解してもらう際に大変わかりにくくなってしまいます。そのような場合はどうすれば良いのでしょう。
個人別のシフトの場合は複数の勤務例を記載する
個人別のシフト制の場合、労働時間が多岐にわたり、すべてを就業規則に記載するのは現実的ではありません。そのような場合のシフト制の規定としては
『始業時刻、終業時刻、休憩時間は次に記載する時刻及び時間を基準とし、シフト表により個別に定める』
となります。この規定の他に代表的な勤務例の「始業及び終業時刻、休憩時間」の具体的な時間を記載した表を追記すると良いでしょう。勤務例は2~3パターン作るのがオススメです。
繁忙期などの就業規則は勤務時間の代表例を記載しておく
固定時間制もシフト制も、就業規則に労働時間を記載し、通常業務の際は支障なく遂行できます。しかし、繁忙期、棚卸等業務の都合上、やむを得ない事情でシフト等、勤務時間変更しなければ対応できないと予めわかっている際にも、就業規則に記載しましょう。その際には、「代表的な始業及び終業時刻・休憩時間」を記載しておきます。
『※但し、業務の都合により始業及び終業時刻の繰り上げもしくは繰り下げを臨時に行う場合があるものとする』
と規定しておきましょう。
規定のない時間での労働は就業規則違反になるので注意
このように書いていくと、細かすぎると思う方がいるかと思うかもしれません。しかし、シフト制も固定時間制も関係なく、就業規則の規定にない時間帯に労働させることは、就業規則違反となってしまいます。そのため、事前に可能性があるとわかっているものについては、記載をしておきましょう。記載しないままでいて、いざ規定外の時間に勤務せざるを得ない状況ができたとき、残業で対応すると人件費が増えてしまいます。シフト変更の可能性を記載しておけば、勤務時間変更で対応でき、残業代が発生することを防ぐことができます。
シフト制の場合は就業規則に勤務時間のケースによって具体的な例を記載しておこう
このようにシフト制でも、就業規則に労働時間を記載しなければいけませんが、代表的なシフトを就業規則に記載して、規定もしっかりと作っておけば、いざという時にも対応できるようになります。作成のときに気づかなくても、気づいた時に就業規則の変更を行うことで、対応できるのです。日頃からしっかりと就業規則を確認し、対応できるようにしておきましょう。
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