介護保険制度の今後の課題
介護保険制度は高齢者の自立を促せていない
介護保険制度は高齢者が医療的ばかりに頼らず、日常生活を自立して送れる様に介護をする目的で制定されたものです。しかし運用が始まってから課題も多く、多くの問題点が指摘されています。介護保険制度で利用できるサービスの特徴として「居宅サービス」があり、高齢者が自宅で生活が出来る様にサポートするものです。しかし実際には訪問介護士の力を借りても高齢者の自立は難しく、施設入居を希望する高齢者が増加しているのです。つまり介護保険制度は高齢者の自立を促すことはできていないといえます。
家族の負担もなかなか減らない現状も
人手不足による介護する側の質の低下も介護保険制度導入後の大きな課題となっています。介護保険制度で居宅サービスを受けることで本来ならば家族の介護による負担を軽減させられる筈でした。しかし現状では在宅介護スタッフの主力であるホームヘルパーの質の低さや労働条件の悪さにより、在宅で満足な介護を受けられずに自立生活を維持できない高齢者も多いのです。
現在の介護保険制度は重度の要介護の高齢者には対応しきれていない
介護保険制度の課題点としては、介護サービスを利用するのは軽度の要介護・要支援認定者が多いということがあります。ところが利用していくうちにアルツハイマー症が悪化していくことにより、最終的に重度の要介護になったり、施設に入所する必要がでてくるケースが増えています。現在の介護サービスはあくまで現状維持のみに留まっているもので、高齢者の介護をする上で殆どの場合避けられないアルツハイマー症のケアを重要視する必要があります。
重度の要介護高齢者に対する虐待も社会問題化している
高齢者施設において最も大きな課題の一つとして「入所者への虐待」が挙げられます。アルツハイマー症等の重度の要介護高齢者は在宅介護が難しく、家族の負担も限界となり施設入所となるのが殆どです。施設の職員に任せれば安心の筈が、職員による高齢者への虐待は社会問題となっています。介護保険制度の適用範囲だけでは人手不足であると共に、大規模の施設に大勢の高齢者を入所させる現状を改善させる必要があるのです。
介護保険制度料の費用は増加する可能性も
介護保険制度の財源は40歳以上の加入者からの納税金となります。しかし今後介護保険制度の利用が拡大するにつれて、様々な運用に費用がかさむことになります。施設設備の充実や在宅で介護を受ける人が必要とする介護用品の補助に加え、介護スタッフの待遇の向上も重要課題となります。財源確保の為には介護保険制度料の引き上げも視野に入れなければならず、以前社会問題として引き継がれるのです。
保険料は均一だがサービスには地域格差がある
介護保険制度の課題点として、地域密着型サービスの公平性も挙げられます。その地域に住民登録をしている人のみが利用できる介護サービスとして地域密着型サービスがありますが、その地域格差の広がりが問題となっています。同じ日本国内で、介護サービスを受けられる人と受けられない人がいるという現状では、介護保険制度を納めることに対して不公平感が出ることも否めません。現状を改善してからでないと介護保険制度料の引き上げにも対応できないと言えます。
介護保険制度の今後の課題は高齢者の自立を促すための根本的な改善
ここまで、介護保険制度の課題について書いてきましたがいかがでしたでしょうか?介護保険制度の今後の課題は、国の問題、地方自治体の問題だけではなく、介護サービスを受ける側も意識しなければなりません。将来に向けて誰もが安心して老後を過ごせる様になる為には、常に介護保険制度を見直していくことが必要です。介護保険制度を利用する立場としてできることはどんなサービスがあるのかを知り、機会があれば積極的に利用して課題に対して声を上げていく、ということです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません