ゆとり世代っていつから? 年齢層と7つの特徴
「最近の若者はゆとり教育世代だから~」などと、年長者の間でよく交わされるこのような会話。みなさんも身に覚えがありませんか? 世間的には「ゆとり世代」という言葉は、あまりよい意味では使われていないのが現状です。
「ゆとり世代」はいつから?その年齢層は
ゆとり教育世代とは、ある一定の期間に当時の国の教育指導要領に基づいて教育された人達をさします。 明確な年齢層のくくりがありますので、注意しましょう。ゆとり教育世代は1987年4月2日生まれ~2004年4月1日生まれの人が該当します。年齢でいうと、2021年度現在は17~34歳がゆとり世代と言われる年齢です。
1987年生まれは「ゆとり第一世代」と呼ばれる
ゆとり世代の中でも、1987年から1988年に生まれた人を「ゆとり第一世代」と呼びます。年号で表すと、62年4月2日から昭和63年3月31日の期間です。ゆとり教育初期の導入期間に位置しており、ぎりぎり昭和生まれであることも、他のゆとり世代とは少し異なる存在であることを示しています。
ゆとり教育が始まった背景
豊かな人間性を育む目的で始まった
学校以外の時間を増やして、豊かな人間性を育むといった目的からスタートした、ゆとり教育。この教育方法が、返って打たれ弱く甘えた人間を多く生み出してしまったのではないかと揶揄される傾向があり、その際に特定の世代を”ゆとり世代”という呼称を使って批判する風潮があります。 ”ゆとり世代”というのは文部科学省が正式に定義した言葉ではなく、各種マスコミが使用する造語であるため報道の際により批判的に見られる傾向があるのかもしれません。
詰め込み型の教育に対するカウンターとして誕生した
60~70年代の教育現場における過度の詰め込み教育、受験戦争の加熱など、さまざまな校内問題を教訓として生まれたのがゆとり教育です。 完全週休2日制や課外活動の奨励など、勉強の成績以外のところに人間性醸成の機会を模索したものの、結果的に学業に対する意識の低さをもたらしてしまったとも言われています。 実際、2016年5月10日に文部科学省の馳浩文部科学相は、「ゆとり教育との決別を明確にしておきたい」と提言しました。(参考:「ゆとり教育と決別」次期指導要領で馳文科相 )これは、ゆとり教育の方針を修正せざるを得ない状況であったと文部科学省が判断したということになります。
ゆとり世代の新入社員の特徴と傾向10選
毎年春になると、ゆとり教育を受けて育った学生たちが、新社会人として次々と世に出てきています。上司や先輩として、ゆとり世代の社員と向き合うにはどうすればいいのでしょうか。 まずは、ゆとり教育世代の新入社員に共通する具体的な特徴を見てみましょう。
ゆとり世代の特徴①手っ取り早く成果をあげたい
ゆとり世代の新入社員は初めからいろんなツールに恵まれ、与えられてきた世代と言われています。それらのツールを利用して手っ取り早く、効率的に、楽をして成果をあげたいと考える傾向が強い特徴があります。
ゆとり世代の特徴②自主性がない指示待ち人間
ゆとり教育世代に限ったことではありませんが、新入社員はお客様意識が強く、仕事においても自分が主体的に動く必要性を感じていないという人も少なからずいるようです。そのため「自分に何かやってもらいたいことがあるなら、先輩・上司の方から自分の元にやってきて頼むべき」と考えているとも言われます。
ゆとり世代の特徴③何よりもプライベート優先
バブルを経験しておらず、景気の良い世の中を経験していないゆとり世代は、会社の未来に希望を持たない人の割合が多いとされています。そうした彼らは、いつなくなるかも分からない職場にはあまり重きを置きません。主にプライベートを重要視しており、家族や友人など、なくならずにいてくれるものを大切にする傾向がある人もいます。 その場合、会社の人間関係は継続性のないものとして切ってしまいがちです。
ゆとり世代の特徴④すぐに結果を求める
幼少期からインターネットがあったこの世代は、「インターネットで検索すれば一瞬で答えが分かる」と考えている人もいるようです。そうした人のなかにはコツコツと努力を積み重ねていった上での成功体験をほとんどしてきていないという人も、少なからずいるかもしれません。 その場合、すぐに成果の出ない仕事を忌避する特徴があるという人も聞かれます。
ゆとり世代の特徴⑤自分の成長につながることしか興味なし
会社や自分の将来に大変な不安感を持っているので、もし会社が潰れても食べていけるように、どこででも通用するスキルを身に着けることに必死な特徴があります。 その弊害として、視野が狭く、自分の成長に無駄だと思うことは不合理に感じ、徹底的に避けようとする傾向があるのです。
ゆとり世代の特徴⑥叱られるとすぐ萎縮
ゆとり教育世代は核家族で育ち、同世代の集団の中で育ってきています。新入社員として会社に入ってきたとき、年上の人間との関わり方がわからず、萎縮してしまうのもゆとり世代の特徴の1つです。 業務上のミスに対して激しく怒ってしまうと、次の日から会社に来なくなるなんてことも……。
ゆとり世代の特徴⑦恋愛に興味が薄い
草食系男子なんて言葉が有名になりましたが、ゆとり世代はまさにその渦中にあります。恋愛に対する興味が薄く、恋人を作ることも煩わしいと感じているほど。 明治安田生活福祉研究所の調査結果によると、恋人がいる20代が異様に少ないこともわかっています。
注意点
◆恋人がいる20代
男性は5人に1人
女性は3人に1人
◆交際経験がない割合
20代未婚男性 3年前30% ⇒ 今回53%
20代未婚女性 3年前28% ⇒ 今回34%
ゆとり世代の特徴⑧会社の飲み会に参加しない
これもゆとり世代に限ったことではありませんが、月イチで開かれる会社の飲み会で費用も会社持ちだというのに、なかなか参加してくれない若手社員もいるようです。先述したように、プライベートな時間を優先したがるため、飲み会ですらも拘束時間だと捉えてしまうのです。なかには、「残業代は出るんですか?」と質問してくる新人もいるのだとか。
ゆとり世代の特徴⑨ギャンブルをしない
パチンコや競馬などのギャンブルに手を出さないのも、ゆとり世代の特徴です。お金の感覚がシビアであり、少しでも損をしそうなことにはお金を掛けません。ある意味では現実主義ですよね。
ゆとり世代の特徴⑩物やお金への執着が薄い
昭和の時代には、家を建てて高級な車に乗ることが、男のステータスとされてきました。女性も3高で男性を選ぶなど、収入や貯金額が重視されていた時代がったのです。しかし、ゆとり世代にその傾向は見られません。お金や物質への執着が非常に薄く、部屋に何も置かずに生活する人もいるほどです。
3高とは
「高学歴」、「高収入」、「高身長」の頭文字のを取った言葉。バブル期の女性が男性を選ぶ際の価値観として用いられました。
将来への希望がないのは不景気の中で生まれたから
ゆとり世代はお金や物への執着が少ない人の割合が多いのが特徴です。その理由として、生まれながらに不景気だった点があげられます。バブル崩壊による不景気によって両親の年収が下がったり、失業したりした現状を目の当たりにした人も多いでしょう。好景気を知らずに育ったことが、消費意欲の減退をもたらしているのです。
リーマンショックを経験した世代とそれ以外でも異なる
そして、ゆとり世代も経験によって2つに分けられます。
リーマンショックを経験した世代
1つ目はリーマンショックによる就職氷河期を経験した世代。
1987年生まれのゆとり第一世代が特に色濃く影響を受けており、生まれた時と就活時の2回にわたって不況を経験しました。
就活が売り手市場だった世代
2つ目は、それ以外のゆとり世代であり、リーマンショックの影響が薄くなってから就活をした年代を指します。
就活が売り手市場だった時期に社会人になったため、第一世代とはやや価値観に違いがあるようです。
変化する時代に翻弄され続けた
生まれながらに不景気で贅沢を知らずに育ったゆとり世代。自分が社会にでるタイミングでもリーマンショックという経済的な災厄に見舞われるなど、時代に翻弄され続けました。 そんな中で育った来たからこそ、お金や地位に執着しない、従来の「飲む打つ買う」のような価値観とは一線を画してしまうのも仕方がないです。
注目ポイント
大酒を飲み、ばくちを打ち、女を買う。男性が行う道楽を指します。
昭和時代には当たり前の価値観でしたが、平成に入って酒を飲めない若者が急増。
ゆとり世代以外でもあまり浸透しない価値観となりました。
ゆとり世代の3年後離職率は30%ほど
また、ゆとり世代も例外なく、入社3年以内の離職率が高い点があげられます。 厚生労働省の「新規学卒者の就職離職状況調査」によると、1987年(昭和62年)以降の大卒者の3年以内離職率は約3割を維持しています。つまり、ゆとり世代だからとすぐに会社を辞めてしまうわけではないのです。 問題は、どのようにしてゆとり世代の部下や後輩と向かい、教育していくかという点にあります。
ゆとり世代の新入社員・部下への教育と対処法
ゆとり教育世代の新入社員が、今の会社のシステムになじみにくい特徴を持っているとしても、彼らが使えない人材というわけではありません。むしろ、ゆとり新入社員は現在の社会変化に、もっとも適応している優秀な人々ともいえるのではないでしょうか。 そんなゆとり新入社員の彼らを育てていくのは、年長者の役目です。ゆとり世代の特徴を把握した上で、どのように向き合っていくかを考えていきましょう。
ゆとり世代は仕事ができないと決めつけない
確かに、ゆとり世代は積極性にかけ、指示待ち人間の割合が多いかもしれません。ただし、それだけで無能と決めつけるのは早計ではないでしょうか?子どものころからゲームに慣れした親しんで来た世代として、現代のPCを用いた業務内容には高い適性があるはずです。 まずは、ゆとり社員とじっくりと向き合うことで、その適正や長所が何かを見極めることから始めてください。
注意する時は声を荒げずに優しく
打たれ弱い彼らは、叱られると自分の全人格を否定されたと勘違いして、すぐに退職を考えてしまいがちです。先輩や上司は、その人の人間性を攻撃しているわけではなく、業務上必要なことだから注意しているのだという姿勢を明確に、そして声を荒げずにソフトに伝えましょう。
仕事の目的と意義を明確に示す
今やっている作業に何の意味があるのか、上司の指示を受けることに何のメリットがあるのか、これらが分からないとやる気をなくし、退職を考えてしまいがち。そのため、自分たちの仕事の目的や意義をはっきりと伝える努力が必要です。
失敗は恥ではないと教える
人からどう思われているかをとても気にするので、失敗やみっともない行動を恐れます。そのため、失敗することは恥ずかしいことではないということは、しつこいほど教える必要があるでしょう。 また、先輩や上司は、彼らが失敗した際の注意の後、きちんとフォローすることも忘れてはいけません。
精神論を押し付けない
ゆとり世代はドライであり、合理的です。そのため、「やればできる!」「なんとかなーる!」などの、精神論を振りかざすのは避けましょう。先輩としての熱意は一瞬にして絶対零度となって伝わります。 無茶な精神論ではなく、論理的に作業を遂行する道筋を説明していきましょう。
自分の尺度で測らず合理的な教育をする
何事も合理的に考えたがるゆとり世代の社員。教える側もなるべくロジックの通った説明を行わなくてはなりません。現在の作業フローに無駄があったとしたら、すぐに取り除きましょう。場合によっては、新人に新しいアイデアを求めてもいいかもしれません。 大切なのは、自分の意見を押し付けるのではなく、相互に理解を深め合うことです。
新入社員の特徴を掴み根気よく指導を
今のゆとり新入社員は、ちょうどゆとり教育世代にあたります。それより上の世代とは意識や考え方が異なり、言われたことしかできなかったり、打たれ弱く根性なしの特徴も持ち合わせているようです。いっぽう、そんな新入社員たちは、大らかで争いを好まず、マジメであるという長所も垣間見えます。 ゆとり世代の新入社員の指導は、骨が折れることも多いでしょう。しかし、新入社員たちの長所を伸ばす教育方法をとり入れたりして、彼らとうまく共存していく道を探してみてください。
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