「ご要望」と「ご所望」の違いと正しい使い方
「ご要望」と「ご所望」の意味に明確な違いはない
「ご要望」と「ご所望」には、どちらも「望む」という意味が含まれています。誰かが何かを望んでいるという部分では違いはありません。「ご」が言葉の前についているので、敬語に属し、丁寧な表現が必要になる相手に対して使います。また、読み方は「ご要望」は(ごようぼう)ですが、「ご所望」は(ごしょもう)となるので、違いと一緒に覚えておきましょう。
言葉が指す対象に微妙な違いがある
「ご要望」と「ご所望」の違いは大変微妙なものですが、対象の具体性に注目するとわかりやすくなるでしょう。「ご要望」を使う際は、相手が望まれている全体的な部分が含まれています。一方、比較的使用頻度の少ない「ご所望」ですが、使う際には「ご要望」とは違い、対象のものがあったり、絞られた領域であったり、ピンポイントな望みについて話したり、聞いたりするときに使われるのです。したがって、2つの違いは言葉の指す対象にあると理解しておきましょう。
「ご要望」は方法や手段を望む場合に使う
「ご要望」と「ご所望」の違いを深めるために、言葉の使用例を紹介しましょう。「ご要望をお伺いします」「ご要望を承りました」などで使われる要望の中身は、こちらからの行動での対応や処理が望みを叶えるのに必要になる場合が多いです。「ご要望」は方法や手段を望む場合によく使われます。この方法ですと「ご要望に沿った内容に近づくことが可能かと存じます」などとして使えるでしょう。
抽象的で複数を指す場合がある
「ご要望にお応えできるよう尽力いたします」とする場合、その望みを叶える方法や手段がひとつとは限らない場合もあります。「ご要望がありましたら何でもおっしゃってください」「ご要望をお聞かせください」と言って受ける「ご要望」は、抽象的であったり、複数であったりする場合も考えられるでしょう。これもまた、「ご要望」と「ご所望」の違いでもあります。
「ご所望」はピンポイントで使われる
では、「ご所望」の使用例も「ご要望」との違いを理解するのに見ておきましょう。「ご所望」は、「ご要望」とは違い、望まれたものに対してピンポイントで使われるのが特徴です。「お客様ご所望のパンフレットをお持ちしました」「どのようなタイプのお召し物をご所望されていますか?」「どの部分の変更をご所望されていますか?」「一席の飽きがございますのでご所望の方がおられましたらご連絡ください」などの使い方をします。
物質的なものを望む場合にも使われる
このように、ある特定のものを指して、相手の望みを表現するのが「ご所望」です。また、「ご要望」との違いとして「物質的なものを欲する」場合に使われるのも、「ご所望」の使い方の特徴でしょう。「お水をご所望ですか?」「ご所望の品をお持ちいたしました」「その曲をご所望でしたら演奏させていただきます」などのように使うと、自然な丁寧語になるでしょう。
「ご要望」は方法や手段を望む場合・「ご所望」は望む物にピンポイントで使う違いがある
「ご要望」と「ご所望」の違いについて、使い方から見ていきました。ビジネスのシーンでは、比較的ご要望を使う頻度が高い傾向にあるようですが、特定の物質的なものについてご所望を使えるようになると、敬語や丁寧語をワンランクアップさせられます。「ご要望」と「ご所望」の違いを把握しておけば、ビジネスシーンの会話やメールなどでも使えるでしょう。くれぐれも自分の要望や所望するものについて、「ご」をつけてしまうことのないよう気を付けてください。
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