「頂戴いたします」という敬語を使うときのポイント
「頂戴いたします」は二重敬語
「頂戴いたします」という言葉は、二重敬語です。そもそも「頂戴する」という言葉自体が「もらう」という言葉の謙譲語、つまり敬語です。そして、「いたします」も敬語になるため、それを組み合わせた「頂戴いたします」は、敬語を2つ使った表現になります。敬語の使い方に厳しい相手であれば、二重敬語に不快感を示す場合があります。
二重敬語はかつて天皇や皇族などに用いられていた
では、なぜ「頂戴いたします」などの二重敬語を使ってはいけないのでしょうか。それは、日本における敬語の歴史が起因しています。かつて、日本語において最上級の敬意を表す言葉として、最高敬語というものがありました。天皇・皇族などに用いる表現の一つが、二重敬語だったのです。現代では、ごく限られた場面でしか二重敬語は使われなくなっています。また、二重敬語は丁寧すぎて耳障りであるという理由もあるようです。
「頂戴いたします」は「頂戴します」に言い換えるべき
本来は二重敬語となるため、あまり使われるべきでないですが、ビジネスの様々な場面で「頂戴いたします」という表現は使われています。その多くは、「頂戴します」と言い換えるべきです。しかしながら、「頂戴いたします」の方が正しい表現だと捉えられている傾向もあります。例えば、「お客様」も厳密には二重敬語ですが、多くのビジネスシーンで使われているのと同様なのでしょう。
ビジネスでは「名刺を頂戴いたします」という表現がよく使われる
ビジネスでよく使われる例として、「名刺を頂戴いたします」という表現があります。おそらく、ほとんどの人が二重敬語であると意識せずに使っているでしょう。ただし、名刺交換の場合は、言葉遣いの他にも、立ち位置や名刺の高さ、礼などのマナーの方が重視されるので、あまり気にしなくても良いかもしれません。その時に、「お名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」と言うのは避け、「お聞かせ下さい」と言い換えましょう。
シーンに応じて敬語を使い分ける
ここまで見てきたように、「頂戴いたします」という言葉は、本来は二重敬語でありながら、ビジネスシーンで普通に用いられる表現になっています。そのため、あまり正しい使い方にこだわらなくても良いかもしれません。ただし、フォーマルな場では、できるだけ正しい敬語を使う方が良い場合もあります。例えば、お茶会に出席する場合は「お茶を頂戴いたします」ではなく、「お茶を頂戴します」と言うべきです。
トラブルやクレーム対応で用いるのは有効
本来は、「頂戴いたします」よりも「頂戴します」の方が正しい敬語です。そのため、できる限り言い換えた方がビジネスマナー上は良いでしょう。ただし、例外もあります。例えば、顧客とのトラブルや、クレーム処理に対応する場面です。こちらに非があるような時は、本来の敬語の使い方にとらわれず、できる限り丁寧な表現を使った方が上手くいきやすいです。意図的に「頂戴いたします」などの表現を使った方が、相手の怒りを抑えられるでしょう。
「頂戴いたします」は二重敬語だがクレーム対応などのできる限り丁寧な表現が求められる場面では有効
いかがでしたか。「頂戴いたします」という言葉は、二重敬語です。ですが、「お客様」のようにかなり定着している二重敬語もありますし。また、会社の中で「頂戴いたします」という表現が普及している中で、「頂戴します」と言うとかえって違和感を覚えられるかもしれません。そのため、場面によって「頂戴いたします」と「頂戴します」を使い分けられると一番良いでしょう。
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