商法と会社法の内容と両社の分かりやすい違い
会社法は会社組織と会社の法律関係をまとめたもの
会社法は平成17年公布され翌年に施行された、わりと新しい法律です。会社法の内容としては、会社の組織と会社の法律関係に関することを定めた私法になります。私法とは、社会的生活関係を規律する法律を指します。民法や商法もまた、私法です。私法の対立的な用語として、公法があります。公法とは憲法や行政法を指し、国家権力と一般人との間の権利利益に関することを定めた法律の総称をいいます。
会社法は会社経営者や上層部が知っておくべき内容
会社法は1,000条近くまであり、また各項目が非常に長文である場合が多いためボリュームが多いのが特徴です。戦前に成立した民法や商法と比べると、非常に内容が整理されています。会社の設立や登記に関する細かな事項が記されている法律で、法律家ではなくても会社の経営者や上層部は会社運営上知っておくべき内容が多くあります。会社法は民法の特別法に当たるため、民法よりも優先して会社法が適用されることになります。
商法は会社に限らず個人の商事に関する基本的な法律
商法の成立は、会社法と違ってかなり昔の明治時代です。会社法と同様に、商法もまた私法です。平成17年に大改正が行われ、その際に条文もわかりやすいひらがなの口語体に改められました。会社法がその名の通り会社に関する法律であるのと違い、商法は会社に限らず、個人の商人や商号、商業行為といった商事に関する基本的な法律です。
会社法は商法から会社に関する内容を切り離したもの
平成17年の商法大改正の際、商法の一部が削除され、会社法の中身となりました。会社法は、商法第2編の会社に関する内容と有限会社法、株式会社の監査などに関する商法特例法などを統合・再編して一つの法律にまとめられたのです。つまり、会社法と商法の違いという観点からすると、会社法は会社に関することが書かれた内容を商法から切り離して、現代の様々な状況に合うように改良して表現もわかりやすくした法律なのです。
会社法・商法・民法という順番で適用する
会社法が商法の特別法に当たります。そのため、会社に関する法律は基本的に特別法である会社法を適用し、会社法に規定がない場合は商法を適用し、商法にも規定されていないことは民法の定めに従うという優先順位になります。
商法も会社法も商売をしやすくするための法律
商法と会社法は、どちらも商売に関することを定めた法律です。どちらも民法の特別法で、民法に優先されて適用されます。この理由は、企業間での取引は反復して継続的に行われることが多く、一般人同士の個人的な取引とは性質が異なるためです。より商売をしやすくするための法律ともいえます。
商法と会社法の一番の違いは当事者に会社が含まれるかどうか
商法と会社法の一番の違いは、当事者に会社が含まれるか否かです。会社法と名のつくように、会社法は会社の設立から訴訟や株主総会、解散に至るまで詳細な内容が取り決められています。一方、商法の場合は条文も短く、内容的に実務上はあまり用いることのない条文も多くあります。これは、2つの法律の成立が100年近く異なることも影響しています。
実務上多く用いられるのは会社法
会社法は、法律の専門家に限らず、会社を起こそうとする人や、株を持っていて株主の権利について知りたい人に必要な情報が定められていて、一般人にも関わりの深い法律です。ボリュームのある会社法の中心となる内容は、株式会社の設立や組織など株式会社に関する内容です。会社が解散(倒産)するときに適用される法律の条文も多く、一従業員や一株主であるときに知っておくべき内容も意外と多いのです。商法との違いは、法律が適用される人の規模であるともいえます。
会社法は会社が当事者に含まれる点が商法と違い優先して適用される
商法と会社法の違いをご紹介しました。憲法や行政法といった国と一般人との間の関わりについての法律である公法と違い、私法である会社法や商法は一般人同士の紛争や権利などに関する事項が定められています。会社法はわりと新しい法律で、明治時代に成立した商法の一部分から独立して、より現代の実態に適用させてわかりやすくした法律です。会社法は商法の特別法なので、商法よりも優先して会社法が適用されます。会社法と商法の最も大きな違いは、会社が当事者となる法律であるか否かの違いです。
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