工作機械業界の今後と課題|業界研究に使える基本情報からこれからの見通しまでを紹介
就活生が工作機械業界に抱いているイメージとは
キャリアパーク会員の就活生を対象に「工作機械業界に対してどのようなイメージをお持ちですか?」というアンケートを実施しました。まずは回答の一部をご覧ください。
就活生の回答
- 室内環境が悪そう
- 専門知識が多い。
- 安全第一
- 海外進出
- 理系
■調査方法:キャリアパーク会員へのダイレクトメール
■調査日時:2017年3月6日
■調査元:ポート株式会社
■調査対象者:キャリアパーク会員の就活生
■質問内容:「工作機械業界に対してどのようなイメージをお持ちですか?」
工作機械業界に対するイメージとして、専門知識が多く、理系のイメージを持っているという意見が寄せられました。他にも、室内環境が悪そう、仕事中は安全第一などの声が上がっていました。そんな工作機械業界の今後と課題について紹介します。
日本の工作機械業界とは
「ものづくり」の為の機械を作る仕事
工作機械は、金属や木材などを削るなどして有用な形にする機械のことを指します(別名:マザーマシン)。工作機械を開発、生産していくのが工作機械業界の仕事になります。「ものづくり」の為の機械を作る立場として多くのやりがいを感じることができるでしょう。
業界シェアTOP3
1位:ファナック
売上高 6,234億円 シェア 14.2%
2位:マキタ
売上高 4,236億円 シェア 9.6%
3位:安川電機
売上高 4,112億円 シェア 9.4%
工作機械業界の現状と見通し
国内需要は減少傾向
工作機械業界の国内需要は減少傾向にあります。2016年の国内受注実績は5,305億円で、前年度と比べ9.5%のマイナスでした。これは、政府が実施していた「生産向上設備投資促進税制」による優遇措置や補助金によって活発化していた需要が、いったん落ち着いたからです。また、みずほ銀行(pdf/26P)の調べによると、大手企業への税優遇や補助金が打ち切られるため、2017年の国内受注実績は4,800億円に減少するとみられています。
海外需要は回復の見通し
工作機械業界の海外需要は回復の見通しが立っています。2016年は、中国のスマートフォン関連の特需が一巡したことにより、海外受注実績が7,195億円で前年に比べて19.6%のマイナスとなりました。日本経済新聞によると、2017年は、中国の機械投資が復活し、スマートフォンや自動車工場からの受注が増加しています。また、中国以外の地域でも、自動車や航空機メーカーを中心に受注が増加中です。そのため、みずほ銀行(pdf/27P)によると、2017年の海外受注実績は7,400億円になるとの見通しが立っています。
工作機械業界の課題と今後
世界を視野に入れた経営戦略が重要になる
工作機械業界は、経済の動向に影響されやすいため、世界を視野に入れた経営戦略が重要になってきます。日本の工作機械業界は、機能や品質を重視することで市場を切り開いてきました。ただし、このまま品質や性能の高さのみを意識し続けていると、世界市場から取り残されてしまう可能性があるのです。
このまま世界レベルの需要を維持していくためには、新興国への市場の開拓が必要になります。さらに、様々なニーズに合った製品を開発していくことが必要です。経済の動向に影響されやすい工作機械業界にとって、世界を視野に入れた経営戦略はこれからの時代を生き抜くためのカギになります。
IoTやAIを活用して存在感を示していかなければならない
今後の工作機械業界は、IoTやAIを活用した技術発展が求められています。現在、世界中でIoTやAIの活用が進んでおり、この流れをインダストリー4.0(第四次産業革命)と呼んでいます。これらの技術において、日本は遅れを取っています。そのため、新たなシステムを世界にアピールして、存在感を高めていかなければなりません。
国内各社の連携が新たなシステム構築に繋がる
技術向上に伴って必要になるのが、競合他社との連携です。近年ではファナックが、他社の工作機械とネットワークで繋げることが可能になる「フィールドシステム」の実現に向けて動き出しています。他社の工作機械と繋がるには、システムの共有が不可欠です。そのため、大手工作機械メーカーを中心に、工作機械業界全体で協力していかなければなりません。IoTやAIを取り入れた工作機械を国外にアピールするためには、国内各社が知恵を絞っていかなければならないのです。
今後の工作機械業界は世界を視野に入れた経営戦略が鍵になる
日本の工作機械業界は、世界の経済に大きく影響されています。これまでは、品質や機能を売りにして市場を開拓してきました。しかし、このまま世界レベルの需要を維持していくためには、新興国への市場の開拓が必要になってきます。品質重視ではなく、相手国の様々なニーズに合わせた製品開発が求められるのです。さらに、時代に合わせたシステムを組み込んでいくことも課題になります。IoTやAIを活用した技術開発で、日本は後発です。他社の工作機械と繋がることが可能な「フィールドシステム」などは、工作機械業界全体で協力していかなければ完成できません。日本の工作機械業界が、世界で存在感を示していくには、各社の協力とニーズに合わせた製品開発が必要になるのです。
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