世界遺産検定を取得するメリットと各級の難易度・勉強法
世界遺産検定とは?
日本でも多くの有名観光地や歴史遺産が登録され、今や旅行の定番となりつつある世界遺産めぐり。そんな注目の世界遺産の知識が試されるのがNPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定」です。世界遺産検定は近年受験者数が増加しており、これまでにのべ12万人が申し込みをしています。受検料の一部は、世界遺産基金に寄付され、世界遺産の保全活動に活用されています。
世界遺産の保全のため、理解を深めることが目的
人類共通の財産であり、未来へ引き継ぐべき世界遺産ですが、人類の手で保護・保全に努められなければ、いずれは失われてしまうものです。そんな世界遺産を保全するための第一歩は、まず世界遺産を学び、理解することであるというのが世界遺産検定の考えであり、目的なのです。
4級~1級+マイスターの計5級
世界遺産検定には、4級~1級と、1級よりも難易度の高い「マイスター」という計5つの級が用意されています。受検の目安として以下のような指標が示されています。
4級:~高校生
3級:~大学3年生,社会人
2級:~大学4年生,社会人
1級、マイスター:~社会人
このうち、2級と3級、あるいは3級と4級には併願が可能です。
各級の合格率
続いて、それぞれの級とマイスターの合格率(認定率)を見ていきましょう。合格率から、各級の難易度を推し量ることが可能です。以下の表をご覧ください。2015年12月におこなわれた、第22回検定の受検者数、合格者数、合格率をまとめたものです。
この表を見ると、2級、および1級で急激に難易度が上がることが分かります。また、マイスターは合格率こそ50%近いですが、これはそもそも受検者数が少ないためあまり参考にはなりません。後述でご紹介しますが、マイスターの検定は非常に難易度の高いものとなっています。
公式テキストが販売されている
世界遺産検定は、各級(マイスター以外)に対応した公式テキストを販売しており、問題の多くもその範囲から出題されます。勉強する際は、そちらを利用しましょう。なお、テキストが最新のものかどうか(改訂版が出ていないかどうか)をしっかり確認してください。
世界遺産検定【4級】の難易度と勉強法
まずは、世界遺産検定4級の難易度と勉強法について見ていきましょう。世界遺産検定が示す受検の目安を見ると、高校生までを主に対象とした検定となっています。
基本情報
マークシート形式
問題数:50問
試験時間:50分
認定基準:100点満点中、60点以上で合格
4級は、日本の全世界遺産と、主要な世界の遺産27件が出題範囲になります。また、世界遺産に関する基礎知識も問われます。難易度はあまり高くありません。先ほどの表でご紹介した通り、合格率は高いです。例えば2014年7月の検定では、受験者の平均点が認定点を超えていたようです。勉強すればちゃんと結果がついてくるでしょう。
4級の勉強法
勉強の際は、公式テキストで赤字、太字で書かれている単語に注目しましょう。赤字、太字のところから多く問題が出題されますので、その言葉の意味や周辺情報を覚えましょう。特定の世界遺産に関する問題では、その遺産とよく似た遺産の項目からも出題されます。その遺産の名前や国名、赤字で書かれた説明に注目してください。また、テキストの資料のページや時事問題からも出題されます。「世界遺産を多く持つ国」「特徴的な危機遺産」などに注目しましょう。時事問題としては、「日本から推薦された遺産」「登録された遺産」「世界遺産委員会開催地」などが出題される可能性があります。
そのほか、写真を見て解答する問題もありますから、公式テキストの写真にも注目しておきましょう。
世界遺産検定【3級】の難易度と勉強法
続いて、世界遺産検定3級の難易度と勉強法をご紹介します。こちらは、大学3年生までを主な目安となっています。
基本情報
マークシート形式
問題数:60問
試験時間:50分
認定基準:100点満点中、60点以上で合格
(合格者が60%に満たない場合、上位60%が認定となるよう認定基準を調整)
世界遺産検定3級では、世界遺産の基礎知識のほか、日本の全世界遺産と、主要な世界の遺産100件が出題範囲となっています。4級と比べて、世界の遺産からの出題範囲が73件増え、問題数も10問増えています。とはいえ、合格率は高いですから、難易度が急に上がるわけではないと考えられます。
3級の勉強法
3級の勉強は、世界遺産の基礎知識から学習を始めるとよいでしょう。3級も公式テキストがありますので、そちらを利用しましょう。このテキストから役9割の問題が出題されます。3級の勉強法としても、公式テキストの赤字、太字はやはり見逃せません。その他、日本の全遺産がどこに位置しているか、時事問題として世界遺産委員会の開催国、審議された日本の遺産についても理解を深めておきましょう。
世界遺産検定【2級】の難易度と勉強法
次に、世界遺産検定2級の難易度と勉強法を見ていきましょう。2級は、大学4年生程度までが受験の目安となっています。
基本情報
マークシート形式
問題数:60問
試験時間:60分
認定基準:100点満点中、60点以上で合格
(合格者が40%に満たない場合、上位40%が認定となるよう認定基準を調整)
世界遺産検定2級では、世界遺産の基礎知識と、日本の全遺産、主要な世界の遺産300件が出題範囲になります。3級の100件から大幅に増加し、合格率も一気に下がる、つまり難易度が上がるといえます。日本の世界遺産については、その登録基準もしっかり勉強しておくと良いでしょう。
2級の勉強法
2級でも世界遺産の基礎知識は問われます。公式テキストを見ると、世界遺産の基礎知識について書かれたページはあまり多くないことが分かりますが、そこからは確実に一定割合の問題が出題されますので、勉強しておくと効率よく点数が稼げるでしょう。2級では、日本の世界遺産についてかなり詳しく問われます。テキストの赤字、黒字以外からも出題されますし、公式テキストの「暫定リスト」のページからも出題されます。日本の世界遺産については、細かな理解が必要です。世界の遺産については、300件ともなるとすべてを網羅するのは難しいでしょう。目次や索引を利用して、自分の興味のある遺産を確実に押さえ、それに紐づけて関連遺産を勉強していくと、頭に入りやすいです。
時事問題の対策は、公式テキストだけではできません。そこで、世界遺産検定のツイッターやフェイスブックをフォローし、情報を逃さないようにしましょう。
世界遺産検定【1級】の難易度と勉強法
続いて、世界遺産検定1級の難易度と勉強法についてです。社会人を対象とした検定であり、2級に合格していなければ受験できません。
基本情報
マークシート形式
問題数:90問
試験時間:90分
認定基準:200点満点中、140点以上で合格
(合格者が20%に満たない場合、上位42%が認定となるよう認定基準を調整)
問題数、総得点、試験時間のすべてが大きく増え、60%だった認定基準が70%に引き上げられています。難易度はかなり高くなるでしょう。1級では、世界遺産に関する知識と、すべての世界遺産が出題範囲です。
1級の勉強法
1級ではまず、90分という時間を対策しなければなりません。この時間をどう使って90問を解くのか、過去問題集を時間を測って解き、時間配分を練習しましょう。内容ですが、1級では世界の全遺産が対象ですから、世界の遺産についての問題は難易度が非常に高くなります。そこで、世界遺産の基礎知識、日本の遺産、時事問題をまず確実に固めましょう。どれもかなり深い内容が出題されますが、ここである程度の得点が取れなければ、合格は難しいです。
世界の遺産については、個々の遺産だけであく、遺産同士の横のつながりをしっかり覚えるのが重要になります。ある遺産とある遺産にはどんな関係があるのか、地域、宗教、建築様式など様々な軸に注目しましょう。遺産同士で共通するキーワードがあれば、それをしっかりまとめておきましょう。
世界遺産検定【マイスター】の難易度と勉強法
最後に、世界遺産検定、マイスターの難易度と勉強法です。言うまでもなく難易度は非常に高く、1級に合格していなければ受験できません。
基本情報
論述形式
問題数:3問
試験時間:120分
認定基準:非公開
唯一の論述形式であるマイスター試験に合格するためには、 世界遺産に関する知識を丸暗記するのではなく、自分の言葉で説明できるようにならねばなりません。そもそも、マイスターには公式テキストがないのです。世界遺産について、広く理解を深めるとともに、最新の情報にも常にアンテナを立てておく必要があります。
各問題の傾向と対策
近年の問題を見ると、その問題形式は一定です。3つの問題について、それぞれの傾向と対策を見ていきましょう。
◆問1
提示される3つの語句について、それぞれ簡潔に説明することが求められます。簡潔に説明するためには、それぞれの語句について、何が必須の情報かを押さえていなければなりません。その語句を説明するために何が必要か、情報を吟味しましょう。
◆問2
世界遺産条約について、提示される4つのキーワードをすべて利用して400字以内で説明することが求められます。提示されるキーワードは回ごとに違います。つまり、同じ世界遺産条約についての説明でも、そのキーワードによって求められている解答が違うのです。キーワードを見て、どんな解答が求められているかを考えましょう。
◆問3
世界遺産に関するテーマが提示され、1,200字以内での論述が求められます。ある世界遺産に関連付けた説明が求められる場合もあります。またこの問3は「あなたの考えを述べなさい」というニュアンスで、答えが一つには定まりません。世界遺産と時事問題について、日頃から興味を持ってよく知っていることが求められます。
理性的・論理的に根拠を示すのが重要
とくに問3に挑戦するにあたって忘れてはならないのは「自分の考えを述べる」からといって、感情論で語ってはならないということです。なぜそういう考えになるのか、事実に基づいた論理的な根拠を示さなければなりません。
世界遺産検定の認定を受けるメリット
最後に、世界遺産検定の認定を受けると、どんなメリットがあるかをご紹介します。世界遺産検定の勉強に取り組み、世界遺産への理解を深めるだけでも、旅行などが楽しくなり、社会問題にも通じられる素晴らしいことですが、その他にもいくつかのメリットがあります。
受験時優遇する大学も
これは高校生にとってのメリットになりますが、世界遺産検定を取得していると、大学受験時優遇される場合があります。もちろん、世界遺産に関する勉強は歴史の理解を深めることにも役立つでしょう。
旅行業界への就職に有利
近く就職活動を控えている大学生にとっても、世界遺産検定は見逃せません。世界遺産検定は、3級からエントリーシートに記載でき、とくに旅行業界では就職に有利になるでしょう。
すでに社会人になっている人のキャリアアップにも
もちろん、すでに旅行・観光業界で働いている社会人にとっても、世界遺産検定は有効です。お客様により充実した旅を楽しんでいただくために、企画としてもガイドとしても、世界遺産の知識は役立つでしょう。
世界遺産検定1級以上は取得難易度が高いので各級に合った勉強法で対策をしよう
世界遺産検定の難易度と勉強方法についてご紹介しました。世界遺産検定は、1級以上では一気に取得難易度が上がります。個々の世界遺産だけでなく、世界遺産の基礎知識や、世界遺産同士の横のつながりについてもしっかり理解しておく必要があります。 世界遺産検定のページでは、基本情報だけでなく、受検者への様々なサポートが用意されていますので、ぜひ利用しましょう。
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