医療事務資格は1つではない!その選び方と難易度
医療事務の資格は1つではない
医療事務の資格について第一に知っておかなければならないのは、医療事務の資格は1つだけではないという点です。「医療事務の資格」と聞くと、医療事務の仕事をするための、ただ1つの資格をイメージしてしまいますが、そういうわけではありません。
80種類以上の資格がある
実は、医療事務資格と言えるものは80種類以上が存在しています。これだけの数があると、一体どれを取得すればよいのかわからなくなってしまいますね。
国家資格はない
なぜ、医療事務の仕事だけでこれだけたくさんの種類があるのかというと、それは医療事務に国家資格がないからです。80以上の資格は、すべて民間資格となっており、様々な民間機関がそれぞれに検定を実施しているのです。
難易度も様々
もちろん、それだけの種類がありますから、ひとくちに医療事務資格の難易度といっても非常に様々です。そのため、医療事務の資格を取得する際は、自分が目指す資格をしっかりと見定め、その難易度を把握しておきたいものです。
ほぼ確実に取得できるものも
民間団体は検定とあわせて講座なども実施し、その受講料などで収益を得ているところもあります。ですから、講座を受けて何度か試験に挑戦すれば、ほぼ確実に取得できるといえる資格もあるのです。
医療事務は就職に役立つ?
非常に取得難易度が低いものもあるという、このような医療事務の現実を知ると、本当に医療事務という資格は就職に役立つのかと思われるでしょう。事実、医療事務の資格が就職に有利になるのか、疑問といえる点があります。
病院側が全資格を把握しているわけではない
そもそも、これだけたくさんの種類があり、その名前もよく似ている各医療事務の資格について、採用する側、つまり病院などの機関がその名前や内容の違い、取得難易度を把握してはいないということです。
「この資格を取っているのか!」と評価されるのではなく、「どうやらこういう資格があって、この人はそれを取得しているんだな」程度の見方になる場合が多いでしょう。
重要なのは資格よりも経験
実際、医療事務を雇おうと考える病院側からすれば、重要なのは資格よりも実務経験になります。ですから、医療事務資格を何か取得したとしても、それだけで採用が決まる資格ではありません。正社員を目指すまでに、派遣社員やアルバイトなどとして経験を積む期間が必要になるかもしれません。
取得しないと働けないという資格ではない
また、医療事務の資格は、取得しなければ働けないという資格ではありません。たとえば医師は、医師国家資格を取得する必要がありますが、医療事務はそうではないのです。
医療事務資格を取得するメリット
では、医療事務資格は全く取得する意味がないのかというと、もちろんそういうわけではありません。就職に直結こそしにくいですが、医療事務という専門的な分野で仕事をしようとするのであれば、資格という指標は確実に役に立ちます。
基礎知識の習得
医療事務の資格を取得するために勉強する内容は、医療事務の仕事をする上では基礎となる知識になります。採用する側も、資格のある人とない人ではある人に目を向けるでしょうから、ライバルに遅れを取らないためにも、資格取得は有効です。
やる気のアピール
しかし、資格以上にやる気や人間性を重視する採用担当者もいるかもしれません。資格がなくても、やる気をアピールできれば採用される可能性はあります。
とはいえ、そのやる気は具体的にどのようにアピールするのでしょうか?資格取得は、そのやる気のアピールとして説得力がある方法だといえます。
医療事務資格3例とその難易度
それでは、どのような医療事務資格を取得すればよいでしょうか。数多くある医療事務資格の中から、3つの例とその合格率、難易度をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
資格①:診療報酬請求事務能力認定試験
1つ目は、財団法人日本医療保険事務協会主催の、「診療報酬請求事務能力認定試験」です。
医療事務の代表的な仕事の一つに、レセプト(診療報酬明細書)を作成する業務があります。これは医療費の点数や健康保険から、患者や、国・保険者が負担する医療費などを計算する業務で、医療事務の中でも専門性の高い業務となります。
レセプト業務に特化した試験
診療報酬請求事務能力検定試験は、このレセプト業務に特化した試験です。この試験さえ押さえれば、レセプト業務についての実力を示せると言えます。
医療事務資格の中では高めの難易度
診療報酬請求事務能力認定試験には、医科と歯科の2つがあります。その合格率は以下のようになっています。
医科:約29%
歯科:約39%
これは、他の医療事務資格と比べて、高い難易度となっています。
もっとも信頼性のある医療事務資格
そしてこの資格は、医療事務資格の中では知名度も高く、信頼性のある資格です。この資格取得が、そもそも採用条件になっている病院もあるようです。
ですから、医療事務の資格取得を目指すときは、他の資格を勉強して基礎知識を付けるとしても、最終的にはこの診療報酬請求事務能力認定試験の、とくに「医科」の合格を目指すとよいでしょう。
資格②:医療事務管理士技能認定試験
続いて、技能認定振興協会が主催する、医療事務管理士技能認定試験です。
この試験では、医療保険制度や後期高齢者医療制度、公費負担制度などの法規の問題や、診療報酬点数の算定方法、診療報酬明細書の作成、医療用語についてなどの、医学一般、保険請求事務の問題が出題されます。
取得難易度はあまり高くない
この資格にも医科と歯科があります。合格率は以下のようになっています。
医科:約57%
歯科:約69%
合格率は6割程度の、取得難易度はあまり高くない医療事務資格だといえます。
資格③:メディカルクラーク検定(医療事務技能審査試験)
3つ目は、財団法人日本医療教育財団が主催するメディカルクラーク検定(医療事務技能審査試験)です。
この試験は、医療事務知識に関する学科試験と、患者接遇、および診療報酬請求事務に関する実技試験からなります。
取得難易度はそれなりの高さ
このメディカルクラーク検定にも医科と歯科があります。合格率は50~60%と、取得難易度としてはそれなりの高さだといえるでしょう。
多種多様な医療事務資格
医療事務の資格として3つの例をご紹介しましたが、もちろんこの他にも医療事務資格はたくさんあります。1つだけ目指すとすれば一番目に紹介した診療報酬請求事務能力認定試験がおすすめですが、それでは他の医療事務資格はどのように扱えばよいでしょうか。
各専門分野の仕事は難易度が高い
医療事務資格は、医療事務に関する一般的な知識を問われるものから、各専門分野に特化した内容まで様々あります。そして、専門分野に特化していくほど、その取得難易度は高くなるようです。
専門分野の資格は、働き始めてから取得してもOK
とはいえそういったすべての資格を、就職前に取る必要はありません。むしろ、自分の仕事にマッチした知識を確実に勉強できるよう、働き始めてからキャリアアップのために取得する、という形が良いかもしれません。
医療事務資格を取得するかどうか
それでは最後に、そもそも医療事務資格を取得するかどうか、迷っている場合の考え方を見ていきましょう。医療事務資格を検討している人は、医療事務として働くことを考えているのではないでしょうか。
難易度だけでなく、仕事概要を調べて決めよう
ゴールは医療事務としての就職なのですから、医療事務資格を目指すかどうか決める時は、資格そのものの難易度だけでなく、医療事務という仕事についても調べておくべきです。その仕事内容やライフスタイルなどを見てみましょう。
医療事務の仕事内容
医療事務は、その名の通り医療に関わる事務作業をおこなう仕事です。医療事務の仕事として代表的なものは「受付窓口業務」と「レセプト作成業務」があります。レセプト作成業務については先にご紹介した通りです。
受付窓口業務はその名の通り、病院の窓口で患者の対応をする仕事です。単なる事務だけでなく、薬についての知識や、コミュニケーション能力も問われる仕事になります。また、入院患者と医師や看護師との橋渡し役になることもあります。小さな病院では広範囲の仕事、大きな病院では専門的な仕事を任されるケースが多いようです。
医療事務の平均年収
それでは、医療事務として働く場合、収入はどれくらいになるでしょうか。医療事務の月収は、病院の規模によっても異なりますが、大体20万円前後です。年収としては、初年度で250万円前後、医療事務として働いている人全体で300~400万円ほどになるようです。
医療事務の魅力①:家庭と仕事の両立
では、医療事務の魅力はどのような点にあるでしょうか。その一つは、家庭と仕事の両立にあります。契約社員やアルバイトとして働く場合、医療事務は勤務日数や勤務時間を調整しやすい仕事であり、家庭と仕事を両立しやすいのです。
医療事務の魅力②:需要がある堅い仕事
また、医療の需要は尽きることがありません。事務仕事もIT化が進み、事務作業自体の需要が減っている予想もできますが、同時に少子高齢化によって、医療機関の数そのものが増えていくことも事実です。そのような中で、医療事務という職を手に付け経験を積めば、就職先が見つかりやすい堅い仕事となるでしょう。
そのため、出産などの理由で一度退職してから復職口を探しやすいというメリットもあります。
医療事務資格は80以上あり難易度も様々!よく検討して受験しよう
医療事務資格の内容と、その難易度についてご紹介しました。医療事務に国家資格はなく、80以上の民間資格があり難易度も様々です。ですから、どれか1つ資格を取得すれば就職できる、という仕事ではありません。あくまでアピールの一つ、そして医療事務に関する基礎知識の勉強として捉えるとよいでしょう。
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