遺族年金は課税の対象?親族を扶養にする際の所得税と健康保険の扱い
遺族年金とは亡くなった被保険者の家族が受け取る給付金
遺族年金とは、被保険者が傷病により亡くなったとき、残された家族に対して支払われる給付金のことです。受給額は加入している保険、納付額などによって異なります。この対象となるのは被保険者の配偶者や子どもです。18歳以上の子どもがいる際は適用されません。家計を支えるために重要な給付金ですが、この遺族年金を受給していると親族の扶養に入れないケースがあります。それはどんなケースなのでしょうか?
遺族年金をもらう母親が働く娘の扶養に入れないケースもある
例えば、遺族年金を受給している母親と働く娘がいるとしましょう。入社する際の事務手続きで、扶養家族の申し出をします。母親を扶養家族に入れられるかどうかという問題で、遺族年金を受給しているかが大きく関わってくるのです。遺族年金の支給額によって異なりますが、娘の扶養に入れないケースがあります。なぜなのでしょうか?これは母親が受け取る遺族年金が「所得」とみなされるかどうかで変わってきます。
遺族年金が所得とみなされるかで所得税と健康保険の扱いが異なる
上述したように、遺族年金を受け取る母親が娘の扶養に入れないのは、「所得」とみなされるか否かが関係しています。遺族年金が所得としてみなされると、「所得税」と「健康保険」上の扱いが異なるのです。したがって、所得税上は扶養にできるが、健康保険ではできないといった事態になるのです。では、どういった基準で遺族年金が「所得」となり、所得税や健康保険の扱いが異なるのでしょうか?
所得税法上は遺族年金以外の収入が38万円以下だと扶養の対象
所得税法上の扶養親族と健康保険法上の被扶養者では、対象となる親族の範囲や年収などの基準が微妙に異なることがあります。通常なら遺族年金を受け取っていたとしても、所得税法上も健康保険法上も扶養の対象です。しかし、所得税法上は合計所得金額が38万円を超えると、扶養の対象外となってしまいます。遺族年金は非課税所得ですが、それ以外にパートなどの収入があると所得税がかかるのです。遺族年金しか収入が無い人は所得税が0円と計算され、扶養に入れます。
遺族年金が年に130万円以上・年収の半分以上だと健康保険の扶養外
一方、健康保険法上の年収には遺族年金も含まれます。この点が大きな違いです。遺族年金が年に130万円以上、または被保険者本人の年収の2分の1以上なら、年収基準がオーバーし、被扶養者にはなりません。遺族年金を年収とみなすか否かが所得税法と健康保険法では異なるため、所得税は扶養になるものの、健康保険では扶養にならないのです。
こういった仕組みがあるため、上述したような例があります。遺族年金の額が多い方は特に注意しましょう。
公的保証の遺族年金なら所得税は非課税
厚生年金や国民年金などの公的年金の被保険者だった人が死亡した場合には、遺族に対して遺族年金が支払われます。遺族が受け取る、遺族年金は相続税も所得税も課税されません。このように、公的保証の遺族年金は非課税となるのです。そのため、所得税法上、遺族年金しか収入が無い人の所得は0円と計算されます。
民間の保険なら所得税の課税対象となるので注意
しかし、同じように「年金」といっても、全ての保険が非課税となるわけではありません。公的保証の遺族年金ではなく、個人年金の場合は所得税が課税されます。これは相続によって受給権を取得したものとみなされるからです。さらに、この場合は、遺族が毎年受け取る年金に対して公的年金以外の雑所得として、所得税の課税対象となります。「年金」と名前がつくものは、すべて所得税非課税というわけではないので、注意が必要です。
遺族年金の受給者は所得税と健康保険で扱いが異なり一定の年収があると扶養には入れない
遺族年金は所得税法上非課税とされます。そのため、それ以外に収入が無い方を扶養に入れることはできます。しかし、遺族年金は健康保険法では年収とみなされます。そのため、受給している金額が基準をオーバーした場合は、健康保険の扶養には入れられないということが生じます。また、所得税法上も民間の年金の場合は、雑所得とみなされます。課税対象となりますので、注意が必要です。
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