「できかねます」の敬語の意味と代わりに使うべき言葉【致しかねます】
「できかねます」は固い表現に聞こえる
コールセンターに電話をしたときに、オペレーターから次のような言葉を聞くことがあります。
「誠に申し訳ございませんが、お客様のご要望は弊社としては出来かねます」
敬語を使っているのですが、言葉の響きとして少し硬い拒絶にも聞こえます。では、もう少し柔らかい言い方に変えればいいのでしょうか。
「いたしかねます」の方が柔ない表現にはなる
「できかねます」は硬い感じがするので、「いたしかねます」の方が良いと考える人がいます。「いたしかねます」の方が柔らかい女性らしい響きに聞こえる気はします。さらに「承りかねます」の方がより丁寧でより響きは柔らかく聞こえる気がします。しかし、言葉の意味としてはどうなのでしょうか。「できかねます」「いたしかねます」「承りかねます」には全て「~かねます」という文字が含まれています。「~かねます」とはそもそもどのような意味なのでしょうか。
「~かねます」の意味
「できかねます」「いたしかねます」「承りかねます」の敬語に含まれている「~かねます」という言葉には「~することができない」「することが難しい」という意味があります。
「~かねます」は可能性のある敬語なのか?
「~かねます」という言葉を聞いた場合、「可能性があるのかな?」と相手に思わせることになるかもしれません。
「お客様のご要望は弊社としては出来かねます。」→「お客様のご要望は弊社としては出来るかもしれませんが、難しいかもしれません」
この場合は「出来るかもしれないし、難しいかもしれないなら、やってみなければわからないだろ?やってみれば出来るのではないのか?」という意味で相手に伝わる可能性があります。
そうすると話がまとまらなくなってしまいますよね。オペレーターは「出来ない」ということを相手に伝えたいと思っていますが、相手は可能性を追い求めるようになってしまいます。
もし相手が意味を捉えることができず混乱している様であれば?
「できかねます」「いたしかねます」「承りかねます」に含まれている「~かねます」という敬語の意味が相手を混乱させる可能性があるのならば、この言い回しにあまり慣れていない方の可能性もあります。
その場合は「お受けできません」ということを正確に伝えるのが良い
「お客様のご要望は弊社としては出来かねます」
「お客様のご要望は弊社としてはいたしかねます」
「お客様のご要望は弊社としては承りかねます」
これらの例は「かねます」という可能性を含む意味がある敬語で、相手に誤解を与える場合があります。
「お客様のご要望は弊社としてはお受けできません」としっかり断ってしまうのがいいでしょう。
誤解を与える「できかねます」「いたしかねます」「承りかねます」はやめて、「お受けできません」と伝えた方が相手に自分の意図は通りやすくなります。「~かねます」の言葉に誤解を与える意味が含まれる敬語ならば、利用は極力控えておいたほうが賢明でしょう。
ディスカッション
コメント一覧
個人的な感覚なんですが、「できかねます」には、できることが難しいという感じがします つまり、わずかながらできる可能性を残している感じがするんです
それが0.1%とかであっても
双方の人間関係にもよりますが、「できません」と言ってもらった方がすっきりするような気がします
ただ、多くの人が「できかねます」をできる可能性0%として使っているようですね
しかも婉曲的で角が立たない表現だと思っておられるようですので、自分の中の違和感は飲み込んで従うしかなさそうです
ついでといってはなんですが、「ご連絡させていただく場合がございます」と文書にありました これって文字通り受け取れば、連絡がある場合もない場合もあるということだと思うのですが、一般常識(多数派)としては、ご連絡させていただきますでは表現がきついからそうしただけで、実際は必ず連絡するという意味なのでしょうか