自責・他責とは?デキる社員とダメ社員の決定的な違い
ビジネスシーンで使われる「自責思考」「他責思考」
ビジネスの場において、自責・他責という言葉が使われることがあります。自責思考、他責思考といった使われ方も一般的です。この自責・他責にはどのような意味があるでしょうか。
また一般的に、ビジネスシーンでは他責よりも自責が求められます。自責思考か他責思考かが、デキる社員とダメ社員を分けるのです。
自責の意味と例
まずは、自責の意味から見ていきましょう。「自責の念」といった表現で目にしたことはあるかもしれません。ビジネスシーンでは、どのように使われるのでしょうか。例と共にご紹介します。
「自責」の意味:自分の問題として考える
仕事で何か問題が起こったとき、その原因が自分にあるとして捉えるのが自責思考です。辞書的な意味では、「自分を責めること」が中心になりますが、ビジネスの場では、問題に対して当事者意識を持って取り組むポジティブな使われ方をします。
自責思考の例
◆仕事でミスをしたとき
→確認を怠った自分が悪い
→正しいやり方を身につけられていない自分が悪い
◆チームが目標を達成できなかったとき
(自分の個人目標は達成している)
→自分が新人のため、先輩にフォローの時間を多く使わせてしまった
→新人メンバーのフォローが不十分だった
他責の意味と例
次に、他責思考についてです。「他責」そのものは聞き慣れない言葉かもしれませんが、「自責」と逆の意味だと捉えれば理解しやすいでしょう。
「他責」の意味:問題を他者のせいにする
つまり他責思考とは、職場で起きた問題を、それが自分の仕事のミスであったとしても他者のせいにするという態度です。他責的な人は自責的な人と違い、当事者意識がなく自分で問題を解決しようとしません。デキる社員は自責的、ダメ社員は他責的と言われるのはこのためです。
他責思考の例
◆仕事でミスをしたとき
→サポートを怠った上司や先輩が悪い
→業務マニュアルが整備されていない環境が悪い
◆自分の個人目標も達成できなかったとき
→新人だからできなくて当然(新人という環境のせい)
→話を理解しようとしなかったクライアントが悪い
ダメ社員は他責思考の傾向アリ
それでは、ダメ社員に多い他責思考には、どのような欠点があるのでしょうか。自分の問題を他人のせいにする、それだけで印象は悪いですが、仕事の問題として捉えると、より具体的に他責には大きな欠点があることがわかります。
他責思考では問題を解決できない
他責思考の問題点は、「問題の原因は自分の手の届く範囲にない」と考えてしまうところです。つまりこの考えは、「自分には問題解決のためにできる行動はない」という思いに結びつき、本人は何も行動を起こしません。そのため、他責では問題が解決されないのです。
行動の結果が見えにくいのが原因
なぜ、このような他責思考のダメ社員が生まれてしまうのでしょうか。それは、仕事において様々な場面で、「行動」が「結果」にあらわれるまでに時間がかかるのが一因です。つまり、自分の行動が悪い結果につながったのだと自覚しにくい環境では、他責思考になってしまいがちです。そういった他責思考のダメ社員をデキる社員に成長させるには、問題が起こるフローを図示するなどして、行動→結果の流れを見えやすくする必要があります。
デキる社員は自責思考で考える
自責思考が身についている、デキる社員の場合はどうでしょうか。自責思考の社員は、どんな問題も自分のせいと捉える姿勢です。この場合、仕事においてどのような良い影響があるかは想像しやすいでしょう。
自分の行動はすぐに変えられる
他責思考の社員と違い、デキる社員は問題の原因が自分にあると考えます。つまり、「自分の手の届く範囲内」ですよね。そのため、問題を解決するために積極的に考え、行動に移します。自分の行動はすぐに変えられるため、問題解決への注力も早く、実際に事態が解決に向かうのです。
成長につながる
さらに、積極的に考え、行動するこのタイプの社員は、それだけ多くの経験を積みますから成長もします。自責思考の社員がデキる社員というよりは、自責思考であれば自然とデキる社員に成長していける、ということかもしれませんね。
自責・他責は組織レベルにも影響する
これまでは、社員個人レベルの自責思考・他責思考について見てきましたが、仕事とはチームでおこなうケースも多いものです。チームに属するメンバーが自責思考か他責思考かは、チームの成功・失敗に直接的に関わります。
自責思考のメンバーのチームは成長する
もし、メンバー全員が自責思考のチームがいたら、と想像してみてください。ある問題に関して、全員が自分のせいだと考え、解決のための行動を模索し、実行に移していくとしたら、それは理想のチームですよね。自責思考のデキる社員が集まったチームは成長するのです。逆に他責的な考え方の人ばかりのチームでは、責任のなすりつけ合いと犯人探しに終始してしまい、問題が解決しません。
自責思考に対する批判
このように、ビジネスシーンで重要とされる自責思考ですが、実は自責思考に対しては批判の意見もありません。もしかしたら、これまでの例などを読んできて感じた人もいるかもしれません。その批判について見てみましょう。
自己満足や独りよがりにすぎないのでは?
自責思考を極端に捉えると、「起きた問題はすべて自分の責任」「他人は何も悪くない」といった考え方になります。それは自分の責任の範囲を過剰に見た自己満足だったり、他人に何も期待しない、上から目線の独りよがりな態度なのではないか、という意見もあります。
自責思考は問題を複雑化してしまう
また、自責思考は他人の不注意のミスさえも自分のせいだと考えます。本来、ミスをした人に一言注意すればいいだけの問題であっても、自分の行動からその原因を無理やり考えてしまうような自責に走ってしまうと、それは問題を複雑化しているだけといえるかもしれません。
柔軟な解決策が生まれなくなる
自分の直面している問題に対して、すべてを自分の責任だと感じ、自分の力で解決しようとする姿勢では、生まれる解決策の幅も狭くなってしまうでしょう。自分で背負いこむような自責思考をしてしまうと、柔軟な解決策が生まれなくなるのです。
ストレスが溜まってしまう
そしてこれらの考え方は、ストレスを避けようとする他責とは真逆の、自分にストレスをかける考え方でもあります。自責の念に追われて精神を病んでしまうリスクもあります。
理想の自責思考とは?
上記のような問題点があるとはいえ、先述の通り他責思考では問題の改善や成長は見込めません。肝心なのは、自責思考を上手に利用することです。仕事における理想の自責思考とは、どのようなものでしょうか。
NGなのは行き過ぎた自責思考
上記の問題点をみると、間違っているのは行き過ぎた自責思考だとわかります。あらゆる事柄がすべて自分の責任で、自分の行動一つで解決できると信じるのは、他責思考と同じように、一種の思考停止でしかありません。
周囲を巻き込む自責思考が理想
理想の自責思考とは、周囲を巻き込んで問題解決に当たろうとする姿勢です。自分ですべてを背負い込もうとする姿勢ではうまくいきません。例えば、職場の誰かがミスをしたのならば、その問題に対して、あくまで自分がするべき範囲でアプローチします。それはミスをした仲間への助言などの形になるでしょう。その人の仕事を取り上げて、全部自分でやってしまうのはNGです。
有効な自責思考はチームに広がる
また、有効な自責思考はチームに広がるものです。ある仕事に対してあなたが自責思考で取り組み、完璧な仕事をしたとすれば、他者はあなたに責任転嫁する、つまり他責思考ができません。その結果、自責で考えざるを得ないのです。このようにして、チーム内部が少しずつデキる社員へと変わっていくのです。
他責思考ではなく、周囲を巻き込む自責思考でチームとともに成長しよう
自責、他責とはなにか、そして理想の自責思考の形についてご紹介しました。他者のせいにする他責思考ではダメ社員になってしまいます。そのため、問題を自分のものとして考える自責思考がよく求められますが、過剰な自責思考は逆効果でストレスにもなってしまいます。すべてを背負いこむ自責思考ではなく、周囲も巻き込む適切な自責思考を身につけているのが、デキる社員なのです。
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