「見る」の正しい敬語は?【尊敬語・謙譲語・丁寧語】
「見る」の敬語の基本変換
「見る」という言葉は日常生活だけでなく、仕事をしていてもよく使う言葉ですよね。しかし、ビジネスメールなどでは適切な敬語に変換して使う必要があります。「見る」を敬語に変換すると、以下のようになります。
尊敬語:ご覧になる、見られる
謙譲語:拝見する、見せていただく
丁寧語:見ます
様々な例外や、間違えてしまいがちな誤用に注意
上記にご紹介したものが基本の変換方法ですが、文脈による例外や、ついついやってしまいがちな誤用があります。以下では、「見る」の尊敬語、謙譲語、丁寧語について、それぞれをピックアップしてご紹介してきますので、ぜひ参考にしてみてください。
「見る」の尊敬語:ご覧になる、見られる
「見る」の尊敬語は、「ご覧になる」「見られる」といった表現になります。「ご覧になる」の方が、より丁寧な表現だと言えます。
相手が「見る」ときは尊敬語を使う
尊敬語は、相手の動作を立てて相手に敬意を示す敬語です。ですから、相手が「見る」動作の主体であるときに「ご覧になる」「見られる」といった表現を使います。
「ご覧」を変化させると良い
「ご覧になる」という言葉でご紹介していますが、この「ご覧」を応用させると様々な文脈で使える形なります。
【例】
・ご覧になりましたか?
・ご覧ください
・ご覧いただきありがとうございます
「ご覧になる」「見られる」を使った例文
「ご覧になる」や「見られる」といった尊敬語は、以下のように使うことができます。
【例】
・先生、昨日の花火は見られましたか?
・お手すきの際にご覧いただければと存じます。
「見られる」も正しい敬語表現
「見られる」は、受け身としても使う表現ですよね。そのため、尊敬語としての「見られる」には違和感があるかもしれませんが、こちらも正しい敬語表現なので自信を持って使って大丈夫です。
ただ、より丁寧な表現をしたいときは「ご覧になる」を使うのがおすすめです。
「見る」の謙譲語:拝見する、見せていただく
続いて「見る」の謙譲語、「拝見する」「見せていただく」です。「拝見する」は使いやすい表現ですから、覚えておくと便利です。
自分が「見る」ときは謙譲語を使う
謙譲語は、自分の動作についてへりくだった表現をすることで、間接的に相手を立てる表現です。そのため「拝見する」や「見せていただく」は自分が「見る」ときに使います。
謙譲語を尊敬語と混同してしまうケースは多いようです。「拝見する」は丁寧な印象がありますが、あくまで謙譲語なので、自分が「見る」ときに使いましょう。
「拝見する」「見せていただく」を使った例文
「拝見する」「見せていただく」は以下のような使い方をします。
【例】
恐れ入ります。拝見致します。
昨日の内に見せていただきました。
「見る」の丁寧語:見ます
次に「見る」の丁寧語「見ます」についてです。
丁寧語は、「です」「ます」や、より丁寧な「ございます」を使って、文字通り丁寧に表現しようとする敬語です。「見る」の場合は「見ます」という形になります。
丁寧語は様々な場面で使える
尊敬語や謙譲語は、目上の相手に対して敬意を明確に示す表現でしたが、丁寧語はもっと広範囲に、様々な場面で使用されます。仲の良い先輩やご近所さんなど、尊敬語や謙譲語を使うのは逆に不自然と思われるような仲の相手に対して、丁寧語は非常に使いやすい敬語です。
丁寧語は、尊敬語・謙譲語と組み合わせても使われる
また、丁寧語は尊敬語や謙譲語と組み合わせても使われます。たとえば、「見る」の謙譲語として「拝見する」をご紹介しましたが、もし、丁寧語を使わずにこの言葉を使ったとしたら、「ありがとう。拝見する」などといった表現になってしまいます。とても敬意は伝わりません。
「ありがとうございます。拝見します」といったように、謙譲語+丁寧語といった使い方をすることで、敬意が伝わる表現になるのです。
「見る」の敬語を使う際の注意点
「見る」の尊敬語、謙譲語、丁寧語についてご紹介してきました。最後に、これらの敬語表現を使う際に注意したいポイントをいくつかご紹介します。敬語は、丁寧にしようと思うあまり、逆に誤った使い方をしてしまうケースがよくあるので注意しましょう。
「ご覧になられる」は間違い
まず、「見る」の尊敬語の「ご覧になる」ですが、これをより丁寧にしようとして「ご覧になられる」というのは間違った使い方になります。敬語には二重敬語というNGルールがあり、同じ言葉に同じ種類の敬語を2度使うのは誤りとされています。
この場合「ご覧になる」で一つの言葉といえますが、これがすでに尊敬語になっています。この上で、さらに「なる」を「なられる」にするのは二重敬語なのです。
二重敬語と敬語連結
二重敬語と混同しがちな敬語表現として「敬語連結」というものがあります。
たとえば「社長がお話しになっていらっしゃる」という文ですが、一見、二重敬語に見えます。しかしこれは「社長が話す」+「いる」をそれぞれ敬語にした「社長がお話しになる」+「いらっしゃる」であり、一つの言葉に二度敬語が使われているわけではないのです。これを敬語連結といい、誤用ではありません。
逆に、「社長がお話しになられる」と言うと「話す」に二度敬語が使われているので、二重敬語になります。
「拝見させていただく」は微妙な表現
「拝見させていただく」という表現は、よく二重敬語で誤りであるとされますが、これは敬語連結であり、状況によってOKであるという声もあるため、微妙です。
過剰な敬語表現は避けるのがベター
しかし、過剰な敬語表現はときに人に違和感を与えてしまいます。「お話になっていらっしゃる」に違和感がある方も多いのではないでしょうか。また、「させていただく」の濫用も敬語としてどうなのか、という声もあります。
ですから、たとえ正しい表現だとしても、相手に違和感を与えるような表現は避け、「拝見致します」「お話しになっている」といったすっきりした敬語を使いたいものです。
自然な言い換えができる場合も!
また、敬語は別の表現に言い換えればより自然に言い表せる場合もあります。「見る」の言い換え表現としては、以下のような言葉遣いはいかがでしょうか?
◆会議までに、相手に書類をチェックしておいて欲しいとき
→事前にお目通しいただければ幸いです。
◆メールに添付したファイルを確認して欲しいとき
→添付ファイルにて、次回会議のアジェンダをお送りしております。ご査収のほど、よろしくお願い致します。
より丁寧な表現もある
また、「見る」の敬語に関しては、より丁寧な表現もあります。その例をご紹介します。
◆高覧(こうらん)
他人が見ることの尊敬語。
→資料をお送り致しますので、ご高覧ください。
◆笑覧(しょうらん)
他人に見てもらうことの謙譲語。「笑いながら見る程度のものです」という謙遜の表現。
→お立ち寄りの際は、ぜひご笑覧ください。
「見る」の敬語は【尊敬語=ご覧になる|謙譲語=拝見する|丁寧語=見ます】
「見る」の敬語について、尊敬語、謙譲語、丁寧語のそれぞれをご紹介しました。尊敬語は「ご覧になる、見られる」、謙譲語は「拝見する、見せていただく」、丁寧語は「見ます」という形になります。
正しい敬語、誤った敬語など、突き詰めていくと複雑な敬語ですが、大切なのは相手に敬意を伝え、不快感や違和感を与えないことです。一つの表現にこだわらず、すっきりした言い方ができないかも考えてみましょう。
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