カルテル・トラスト・コンツェルンの違いと具体例

2016年11月29日カルテル, コンツェルン, トラスト

カルテルとは企業間の協定を意味する

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カルテルとは、企業間が協定を結び、市場における生産数や販売価格を高く維持することです。市場において正当な競争が行われている場合、価格競争が発生し価格は下落します。もし、企業が裏で協定を結び、最低価格を設定したり生産数を調整したりすると、価格の下落圧力がなくなり、本来下がるはずの商品価格が下がらず企業の利益が大きくなるでしょう。このような、消費者に不当な損害を発生させるような協定をカルテルと呼びます。

カルテルの罰金は巨額

カルテルの具体例としては、鉄鋼における価格カルテルが有名です。鉄鋼は需要により価格が大きく変動しますが、大手鉄鋼会社が価格カルテルを結び、鉄鋼価格を高い水準で維持し不当に大きな利益を得るという事例がありました。鉄鋼カルテルはEUが摘発に積極的で罰金も巨額です。具体例としては、2010年に鉄鋼世界最大手企業に対し、約560億円の制裁金が課された事例が知られています。

トラストは企業合併による市場独占

カルテルは協定を結ぶ企業間に資本関係などはありませんが、企業同士が合併して市場を独占するのがトラストです。トラストとは、同じ業種の企業同士が株式買収や資本提携などで事実上ひとつの企業になり、市場を独占もしくは寡占状態にして支配します。トラストは必ずしも違法ではありません。規模や合併による影響により適法性の判断が行われます。トラストは対等な合併が基本であり、支配的な形態はコンツェルンに分類されるでしょう。具体例にはどのようなものがあげられるのでしょうか。

トラストの具体例として有名なのがUSスチール

トラストの具体例として有名なのはUSスチールです。USスチールは、アメリカの複数の大富豪が所有していた鉄鋼外車が合併して誕生した大手鉄鋼会社で、最盛期にはアメリカの鉄鋼生産量の7割を締めていた大企業です。鉄鋼価格がUSスチールによって決まるほどの影響力を持ったために、反トラスト法の適用対象になりかけました。最終的にトラスト認定されなかったのですが、新たな買収はトラストを進めるとして政府に認められませんでした。スタンダード石油などもトラストの具体例としてあげられますが、近年も市場を独占する規模の企業合併は相次いでおり、トラストに近い形で市場を実効支配している企業は少なくありません。

企業の集合体を意味するコンツェルン

カルテルやトラストが数社程度の少数の企業によるものであるのに対し、多くの企業を支配するのがコンツェルンです。コンツェルンは日本語で財閥という意味で、独立した企業を子会社として持株会社が支配する企業形態です。コンツェルンは独占禁止法に違反するものとして日本では長く認められていなかったのですが、1997年の独占禁止法改正により持株会社が解禁され、コンツェルンに対する規制は緩くなっています。具体例を見ていきましょう。

グループ企業として成立しているコンツェルン

コンツェルンはグループ企業で多く見られる独占形態です。コンツェルンは単一業種の市場ではなく、一国の経済における支配力によって規定されているため、多用な企業によって成り立ちます。具体例として有名なのは西武グループや芙蓉グループ、読売新聞グループなどがあるでしょう。具体例としてあげた企業は持株会社をトップにさまざまな企業が集合しており、株式による支配によってコンツェルンを形成しています。

カルテルは企業間の協定・トラストは企業合併による市場独占・コンツェルンは企業の集合体であり具体例を参考にすると良い

カルテル・トラスト・コンツェルンの違いと具体例について見ていきました。カルテル、トラスト、コンツェルンは定義だけ聞くとイメージしにくい部分があるので、具体例を参考に理解しましょう。カルテル、トラスト、コンツェルンは市場の独占に当たるため法律により禁止されていますが、定義が曖昧な部分も多く、実質的に独占状態にあっても合法とされているケースが少なくありません。具体例は数多くありますが、グローバル化により日本だけでなく世界市場を独占する企業も誕生しているので、世界シェアに注目して探すとよりわかりやすい具体例が見つかるでしょう。

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2016年11月29日転職

Posted by BiZPARK