職場環境を徹底的に改善する方法【完全版】
職場環境とはどんなものか
職場環境とは、職場のなかで社員を取り巻く環境を表す言葉になります。例えば、蛍光灯が切れている薄暗いオフィスの中で仕事をすることを想像してみてください。最大限の力が発揮できるとは思いませんよね。そんなところで働いていたら心がどんどんすさんでいき、体調まで悪くなってしまいそうです。仕事の効率は個人の資質だけでは決まりません。安心して働ける職場環境が整っているのかどうかが、社員のパフォーマンスを決めます。
人間関係も含まれる
職場の環境はオフィスの設備だけではありません。上司や同僚との人間関係や、会社の雰囲気も職場環境に含まれます。ではどんな環境だと、職場環境は悪化してしまうのでしょうか。まとめてみたので、見ていきましょう。
職場環境が悪化してしまう実例
- オフィスが不衛生
- 社員同士の仲が悪い
- 高圧的な上司が居る職場
- 上司が無能
- 厳しすぎる規律
- 職場の風通しが悪い
- 職場内で男女間トラブル多発
労働安全衛生法で定められた職場環境
労働安全衛生法では、事業主は職場環境を改善し、労働者にとって働きやすいものとする「配慮義務」を負うと定めています。職場環境が悪化してしまうと、労働者の心身状況が悪化する傾向があり、「風通しの良い職場環境を作る」ことが責務とされています。
労働安全衛生法で定める快適職場指針
・作業環境
不快と感じることがないよう、空気の汚れ、臭気、温度等の作業環境を適切に維持管理すること。
・作業方法
心身の負担を軽減するため、相当の筋力を必要とする作業等について、作業方法を改善すること。
・疲労回復支援施設
疲労やストレスを効果的に癒すことのできる休憩室等を設置・整備すること。
・職場生活支援施設
洗面所、トイレ等職場生活で必要となる施設等を清潔で使いやすい状態にしておくこと。
職場環境チェック
職場に慣れてしまうと、自分の環境が悪いのかなかなかわかりづらくなります。そのため、今回は簡易的な職場環境チェックをご用意しました。この中から5つ以上当てはまると、職場環境が悪いといえます。ぜひ自分の職場を思い出しながら、チェックしてみましょう。
職場環境が悪いとこんなデメリットが・・・
さて、職場環境が悪いといえる条件を紹介してきましたが、環境が悪いと実際にどんなデメリットがあるのでしょうか。代表的な3つを紹介していきますので、確認して行きましょう。
デメリット①病気
まず、職場環境が悪いと社員が病気になりやすくなります。衛生環境が悪い場合は、疾病や感染症にかかるリスクが高まり、オフィスで一人が病気にかかったらあっという間に蔓延してしまうでしょう。 もしパワハラや仲違いなどの人間関係が原因で環境が悪い場合は、社員の心に大きな負担をかけます。最悪うつ病になってしまう人もいるので注意が必要です。
デメリット②仕事の質
先述したとおり、職場環境が悪いと仕事の質が落ちる原因になります。厳しすぎる目標設定は社員の士気を大きく下げ、情報共有がない職場なら突然の変化に社員が対応できなくなるでしょう。 そのようなことにならないためにも、職場環境を整えていき仕事の質を高めていくことが不可欠になります。
デメリット③人員の流失
会社に一人くらいは、優秀な人がいますよね。ですが、優秀な人ほど冷静に周りを見る力を持っています。そんな人が悪い職場環境のところにいつまでも居るはずがありません。職場の環境が悪いと、会社の業績を支えていた優秀な人をどんどん失っていくことになるでしょう。 逆に会社の環境が良いと優秀な人材が流出しにくくなるばかりか、社員が育っていきます。職場環境が悪い会社は今すぐにでも環境改善が必要です。
こんな職場は嫌だ!職場環境の最悪例
職場環境が最悪になってしまうと、とてもではありませんが仕事がきちんとできる状況ではなくなります。それでは、最悪な職場環境とはいったいどんなものなのか、それをみていきましょう。
モラルハラスメント
まだ教えてもらっていない仕事で、上司にどうやってやるのか聞いていみると「そんな事も分からないのか!」。自分の知識だけでやってみようとすると「なに勝手にやっているんだ!」そんな理不尽な叱責を受けているとしたら、モラルハラスメントが起きている職場といえるでしょう。
職場イジメ
職場内で誰かがあきらかな差別を受けていたり、不当な目に合ったりしているところも職場環境が最悪といえるでしょう。職場内でのイジメは、中立的な立場で解決する人がいない場合が多いので解決しにくいという特徴があります。みんな生活がかかっているので、助けを出しにくいのです。そんな負の連鎖に陥っている職場があるとすれば、早いうちに退職をしたほうが良いでしょう。
社員同士ので派閥ができている
社員同士の仲が悪いところも、職場環境が悪いといえるでしょう。例えば同じオフィスで派閥ができており、両者がお互いの足を引っ張るように仕事をしていることもあります。まるで小学生のようですが、実際にこういったことは起こりうるのです。派閥の争いに巻き込まれると自分が職場イジメの対象になる場合があるので、全く関わらないか、職場を変えるのがおすすめとなります。
厚生労働省も職場環境を重視
日本には未だにブラック企業が多く、劣悪な職場環境のなかでたくさんの人が働いています。そのような状況を改善するために、厚生労働省は様々な施策を打ち出しているのです。施策を利用すれば、会社の職場環境を改善できるばかりか、助成金も受け取ることができるので、自社の環境に悩んでいる事業主の方はしっかりと把握しておきましょう。
職場環境改善のための助成金
厚生労働省が行う施策の主軸は、各種改善策を成功させた企業への助成金です。
助成金の種類
・職場意識改善助成金(最大5,000万円)
中小企業における労働時間等の改善を通じて、職場意思の改善を促進するためにもうけられたもの。改善計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業事業主に助成金を支給する。
・業種別中小企業団体助成金(最大2,000万円)
全国規模の業界団体による傘下企業の賃上げを目的としたもの。販路拡大のための市場調査やビジネスモデル開発など労働能率増進のための取り組みに対して助成金を支給。
・業務改善助成金(最大100万円)
事業場内の時間給800円未満の労働者の賃金を引き上げた中小企業に対して設けられたもの。労働能率の増進に資する設備・機器の導入等にかかる経費の一部を助成。
メンタルヘルス対策支援
労働者の安全と健康の確保のため、厚生労働省はメンタルヘルス対策支援センター事業を展開しています。全国47都道府県にメンタルヘルス対策支援センターを設置し、メンタルヘルスに関する総合的な相談対応。個別事業場に対し、専門家によるメンタルヘルス対策の導入や拡充に関する訪問支援を実施しています。
また、メンタルヘルス・ポータルサイト「」を設置しており、事業主、労働者、労働者の家族に対してメンタルヘルスに関する様々な情報を提供しています。
就業環境整備支援
職場環境を整える上で、労働時間や管理の適正化は欠かせません。厚生労働省は日本の企業に安全衛生体制を確率し、労働者の健康を保つため、企業に対して専門家を派遣して指導や助言を行っています。 また起業したばかりの事業主に対しては、基本的な労務管理や安全衛生管理の要点を徹底させるためのセミナーも開催しています。
【事業主】ができる職場環境改善
労働環境を改善するには、事業主と社員の行動が不可欠になります。具体的にどんなアクションを起こせば良いのか、立場別に見ていきましょう。まずは事業主が職場環境改善のためにとるべき行動です。
アンケートを実施
事業主の目線では、会社内部に抱える問題は見えにくくなります。自分で思ったとおりに改善策を実施しても、社員の要望とはズレており余計に状況を悪化させることも。そのような、社員とのすれ違いを生まないためには、アンケートをとって生の声を聞く必要があるでしょう。アンケートでの質問は「職場についての不満」を必ず盛り込みましょう。そうすれば、職場の問題が浮き彫りになります。また、一番アンケートで守るべきなのは匿名性です。匿名性がなければ、社員の本当の声を聞くことができなくなります。
相談窓口の設置
会社内の問題を自浄できる組織を作りたい時は、相談窓口を設置するのをおすすめします。相談窓口を作っておけば、職場環境の問題を早期発見することにつながり、職場環境が深刻化する前に食い止めることができるでしょう。相談窓口を設置する際に注意すべきことは、情報漏えい対策です。というのも、相談窓口で話した内容が職場内で筒抜けになっている場合があります。そのような事態になれば相談窓口自体が無意味です。きちんと、相談内容が外に漏れないように対策していきましょう。
メンタルヘルスケアの研修
職場内の人間関係が悪いと感じた時は、メンタルヘルスケアの研修を行うと、状況が改善できる可能性があります。メンタルヘルスケアで学べることは、どのような状況になると、社員がストレスを感じるかです。研修を実施するとストレスに対する問題意識が向上し、職場環境悪化の防止や解決につながります。
適切な目標値の設定
業績ばかりを重視して、あまりにも厳しい目標値を設定してしまうと社員の士気が低下してしまいます。そればかりか、勤務姿勢に余裕がなくなり仕事の質が著しく低下してしまう恐れがあります。 目標値を設定する際には、社員一人ひとりの能力や成長を考えた数値を考え、達成した時にはしっかりと報奨を用意していくことが大切です。
職場内コミュニケーションを重視
いくら仕事とはいっても、お互いのことを知らなければ上手く連携が取れませんよね。このように、上手く連携が取れていないことが原因で職場環境が悪くなってしまうことがあります。そういった状況を防ぐためには、職場内でコミュニケーションを取れる場を積極的に用意しましょう。 具体的には、会社負担で部署内のランチ会を開くようにしたり、バーベキューなどのイベントを企画したりなどです。社員同士の交流が深められれば、より良い職場環境に近づくでしょう。
【個人】で行える職場環境改善
職場の環境を変えられるのは、事業主だけではありません。個人でも職場環境を改善することができます。仕事で過剰なストレスを溜め込まない為にも、できることは最大限やっておきましょう。
率先して行動
職場の衛生状態が悪い場合、わかってはいても自分から行動しようとはなかなか思えませんよね。しかし、それではいけないのです。誰かに任せっぱなしでは一向に状況は改善されません。 オフィスが散らかっていたら、自分たちで掃除をする。仕事のシステムに疑問を抱いたら、改善案を考えて周りと相談するなど、自分から行動していくことが必要になります。
元気な挨拶
職場環境が悪いと、どうしても雰囲気が暗くなってしまいます。暗い雰囲気のままでは、職場環境を改善しようとしても上手くいきません。環境を改善する前に、元気な声で挨拶をすることを心がけましょう。最初は恥ずかしいかもしれませんが、元気な挨拶をしていれば、だんだんと職場が明るくなるはずです。職場の雰囲気を変えれば、環境改善も成功しやすくなるでしょう。
地道に味方を増やしていく
もし、職場で決定的な問題があったとします。しかし、それに一人で反発してしまっては、いたずらに自分の印象を悪くするだけで終わってしまうでしょう。職場を改善するためには、同じ考えの味方を増やしていきタイミングを合わせて行動していく必要があります。
会社も一人の抗議なら取り合わないかもしれませんが、大人数となると行動しないわけにはいかなくなります。
労働組合を設立
雇用の問題や給与が関係していて職場環境が悪くなっているなら、自分たちで労働組合を作って対応をしていきましょう。労働組合結成に必要な人数は2人と、簡単に作ることができます。 労働組合を結成するときは、日本労働組合総連合会に相談をすれば、専門のアドバイザーを派遣してもらえます。もし、会社の状況を自分たちの手で変えたいと思った時は、相談してみましょう。しかし注意点として、労働組合結成時に自分の立場が危うくなる可能性があるので、十分それを把握してから行動してください。
外部機関に相談
どうしようもないほど、職場環境が悪く自分たちでは何もできないと思った時は、外部機関に相談をしてみるのもおすすめです。多くの問題を解決してきたプロに相談することができるので、問題の早期解決につながります。
◆職場環境相談できる外部機関一覧
・各都道府県の労働委員会(個別労働紛争担当窓口)
・みんなの人権110番【0570-003-110】
・日本弁護士団【03-3251-5363】
どうしてもダメなら転職しよう
「どんな手をつくしても、職場環境が変わらない」「今の職場のために頑張るほどの体力がない」こんな状況になってしまったら、転職で職場を変えて新しいスタートを踏み出すのが一番です。しかし、「一回失敗した手前、求人サイトから自分で選ぶ自信がない」と思ってしまう人もいるかと思います。そんなときは、転職エージェントを利用してみましょう。リクルートエージェントを始めとした転職エージェントなら、きちんと求職者の希望にあった職場をえらんでくれるので、職場環境の悪さに悩まされる可能性は低いです。
職場環境を改善するなら立場に合った的確なものを選ぶ
職場環境とはどんなものか、またそれを改善する方法には何があるのかを紹介してきました。職場環境を変えられるのは、事業主だけでなく個人でも変えられます。しかし、的確に行動していかないと、どちらの場合も逆効果となってしまうので注意しましょう。しっかりと改善方法を確認していき、自分ができる範囲のことで職場環境を改善して行く必要があります。 また、個人で職場環境を改善する場合は、改善することだけにとらわれがちです。改善ばかり注力して、自分の心をすり減らすことがないように気をつけましょう。もし改善が無理だと思ったら、職場から転職してしまっても良いのです。自分の心身を一番大切にしてください。
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