「近郊農業」と「園芸農業」の意味と違い
近郊農業は新鮮な野菜や花などを決まった間隔で供給する
「近郊農業」と「園芸農業」の意味と違いについて見ていきましょう。まず近郊農業とは、都市部に新鮮な野菜や花といった作物を、決まった間隔で供給することを目的とした農業のこと。地価が高騰しているので農地は小規模ですが、生産性は高く、青物野菜などの傷みやすい軟弱野菜が主体なのも特徴のひとつです。欧米では市乳供給のための酪農もこれに入るほか、日本では横浜市が独自に農業専用地区制度を設けたりなどもしています。
園芸農業は都市の市場へ出荷することを目的とする
園芸農業とは、需要が高い都市の市場へ出荷することを目的とした農業のこと。主に観賞用の生花であったり、野菜や果物、庭木を栽培して新鮮なものを市場に出すことが目的で、園芸農業で作られた商品は鮮度が高いほど価値が高く、輸送の制約も限られています。こうして書き出してみると、近郊農業も園芸農業も同じことを言っているようにも見えます。
近郊農業と園芸農業は都市との距離によって2つの呼び方に変化
近郊農業と、園芸農業の2つの違いについてですが、それもそのはず、ややこしいのは「近郊農業」が農業の分類において「園芸農業」に属すといったところでしょう。園芸農業が大きなくくりとして、一般的には都市との距離によって2つの呼び方に変化します。都市に近い場所で行われるのが近郊農業、都市から遠い場所で行われるのが輸送園芸農業。ですので、近郊農業と園芸農業とは、本質的には同じものなのです。
輸送園芸農業の場合は「場所」の違いになる
近郊農業と園芸農業の違いについて、本質的には2つに違いはないと先述しましたが、これが輸送園芸農業の場合は、都市部に近い場所で作られたものが出荷されるのか、都市部から遠いところで作られて出荷されるのかという「場所」の違いです。「輸送」という部分がないだけで同じものになってしまうので、こういった点が違いについて、余計ややこしく考えてしまう原因でしょう。
近郊農業は輸送費が安やすいけど少量しか作れない
近郊農業の対義語になるのは、園芸農業ではなく、輸送園芸農業ということがわかりましたが、輸送園芸農業は別名「遠郊農業」ということもあります。こうすると近いか遠いかの差だということが一目でわかりますね。近郊農業は輸送費が安く済みますが、土地が小規模なことが多いため少量しか作れません。反対に輸送園芸農業では輸送費がかかりますが土地が広く、多くの作物を出荷できるのです。
言葉だけでとらえがちな間違いやすい園芸農業のイメージ
園芸農業と聞くと、個人が庭先において趣味で作る農産物ととらえがちです。しかし、こうして蓋を開けてみると、そういった趣味範囲の場合、正しくは「自宅菜園」や「小規模農業」と呼びますので、意味の違いを混同しないように気をつけましょう。また、庭先や個人の小規模な畑で作った作物を出荷して対価を得ている場合は「直売している」ということになり、園芸農業には属しません。
近郊農業と園芸農業には違いはなく距離によって2つの呼び方に変化する
「近郊農業」と「園芸農業」の意味と違いについて見ていきました。近郊農業と園芸農業、違いがあるのは輸送園芸のほうであったということがわかりました。そもそも園芸農業から発生し、土地の場所に違いがある、という意味で2つの分類がなされただけですから、違いについて、難しく考えてしまう必要はないものです。また、園芸農業には、米や麦といった主食になる栽培は含まれないので、農業ビジネスとして始める際は、目安として抑えておくと役に立つでしょう。
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