「ニード」と「ニーズ」という言葉の社会福祉での使い方
社会福祉においてニードは自立を妨げている問題ともとれる
社会福祉をどう捉えるかについては種々意見があるにしても、それは社会的に援護が必要と考えられる人びと(=要援護者、またはニードをもつ人びとneedy)の自立を図るために、この自立を妨げている問題(ニード)の充足を図るという機能をもつものであると考えられます。対象のニーズに答える事はもちろん、対象が抱えている問題にも答えていくのです。
ニードとニーズに明確な定義はない
ニードとニーズという言葉は、社会福祉の分野では非常によく用いられます。しかし、ニード概念についての共通する明確な定義があるわけではありません。社会福祉では対象者のニードにあった政策、処遇をしなくてはいけないのに、良く理解しないままでは期待される対応ができるとは思えません。ニード概念が社会福祉でどのように考えられているのかしっかりと把握しましょう。
ニードの種類も多岐にわたる
ニードとニーズの違いのみならず、ニードの種類も多岐にわたります。たとえば、「ニード概念」ではなく、「ニード評価」「ニード把握」「ニード測定」などにおいては、集団的ニードと個々のニードにはかなりの違いがあるといえます。また、社会福祉的なニードの把握ということについては、政策レベルと実践レベルとで違いがあるため、実践に沿った理解が必要になるでしょう。
集団的ニードと個々のニードにおける社会福祉の考え方
社会福祉政策における集団的ニードの把握は、個々のニードの共通部分を集合的に把握し、集団がより多くの利益を得られるように対応しています。しかし社会福祉実践レベルでは、個別性を尊重して個々のそれぞれのニードに適切な対応をしていくという考えに基づいています。もちろん、ニードとニーズも大きく異なりますが、ニード概念自体の社会福祉での基本的な考え方には大きな差ありません。
社会福祉ではニード・ニーズ概念の共通意識が困難とされている
ニードとニーズ、そしてその概念についての議論は社会福祉が隣接する領域も含めてさまざまな考え方がされており、いろいろな議論行われています。社会福祉のニードについて言及した文献は1970年代あたりに多くみられますが、かといって現在その概念がはっきりと分かっているかと言われると、そうはいきません。ニード概念について、なぜ共通の考え方をもつことが困難なのでしょうか。
ニード・ニーズの共通認識を持つことのむずかしさ
社会福祉学でいう『ニーズ』はその訳語として『必要』『欠乏』『欲求』などがあります。それにもかかわらず、多くは生のまま使われているところに問題があります。その理由は、社会福祉のいわゆる対象者の複雑な主体的・客体的ニーズを適当な言葉に訳しにくい困難さにあるわけです。一方ニードをどのように解釈するかは、文脈のなかで決まるもののため、こちらもまた定義する事が難しいのです。
社会福祉ではニードやニーズを会的に援護が必要と考えられる人を意味するが共通した定義や概念はない
ニードとニーズの社会福祉における定義が非常にあいまいであることが分かりました。ニードとニーズの議論が起こる原因の一つに、その単語が固定的なものでなくて、動的なものであり、前後の文章や文脈の中で変化するという性質であるためでしょう。いずれにしても、より良い支援を行うためには、社会福祉の対象となる人のニード・ニーズも重視する必要があります。
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