試用期間の欠勤が本採用へ与える影響と解雇の可能性
試用期間とは企業にとって「必要な人材」であるかを見定める重要なもの
試用期間中の欠勤によって本採用に影響を与えることがあるのかどうか、解雇の対象となってしまう可能性があるのかどうかについては、「試用期間とはどういうものか」を正確に理解することが必要です。そもそも、試用期間は法的に設置が義務付けられているものではありませんが、企業がリスクの少ない人事採用を行っていくうえでは非常に重要なものになります。
試用期間は労働者側にとっても企業を判断するもの
試用期間とは、「企業がその人材の性格・能力などを確認し、その後の長期雇用に値する人物かどうかを見定める期間」と考えて問題ありません。しかし、それと同時に「その会社で長期的に働いていくことが出来るのかどうかを“労働者側が判断するための期間”」でもあります。試用期間中に何らかの理由で欠勤してしまうと、企業側は「信用できない人物だから本採用は見送った方が良い」と判断し、本採用の中止や解雇事由となる可能性はあります。会社にとって「必要な人材」と思ってもらえるような状況で勤務することが解雇を避けるためには重要です。
正当な理由の欠勤の場合は本採用の拒否・解雇事由となる可能性は低い
しかし、人間ですから何らかのきっかけでやむを得ず欠勤しなければならない可能性はあります。試用期間と言うことはまだまだその会社に馴染めずに心身ともに大きなストレスを感じてしまう期間です。緊張し気を張っているので体調を崩しづらいという意見もあるかもしれませんが、逆に緊張を理由に体調を崩してしまう可能性もあります。そんな時にも「休まずに出勤しなければ解雇されてしまい本採用の可能性が無くなる」と思い、無理を押して出勤し余計に悪い結果になってしまっては本末転倒ですので、欠勤の理由に正当性がある場合は試用期間中であっても欠勤を理由に本採用の拒否・解雇事由となる可能性はそれほど高くないと言えます。
会社全体に影響が及ぶため出来る限り欠勤は避ける
しかし、だからと言って「具合が悪い=休む」という判断を簡単にしてしまうことが良いという訳でもありません。学生であれば具合が悪いから講義を欠席するということにそれほど影響はありませんし、あくまでも自身の成績や卒業までの単位に影響を及ぼす程度です。しかし、会社に勤めるということは「欠勤=個人にのみ影響がある」と言う状況ではなくなります。試用期間中である人材を教育するためにスケジュールを組んでいる上司・同僚をはじめ、最終的には会社全体に対して影響を及ぼすことになるため、「出来る限り休まない」と言う姿勢を持つことが本採用や試用期間中での解雇を避けるうえで重要です。
社会人としての意識や適性の欠如を理由に欠勤した場合は解雇の可能性もある
「風邪をひいて熱が40度もある」、「インフルエンザになった」、「親族や友人に不幸があった」などの理由であれば、試用期間・本採用後を問わずに欠勤を理由に解雇されてしまう可能性は無いと言えます。そんな状態で出勤を強制するようであれば、それは会社側が異常です。しかし、「寝不足で体調を崩した」とか「飲み過ぎて欠勤する」と言った理由の場合には、社会人としての意識や適性の欠如を理由に解雇対象となってしまう可能性は十分にあります。
本採用に向けてむやみな欠勤などのネガティブ要素は排除することが重要
試用期間だからと言って簡単に解雇できると言う訳ではありません。試用期間でも本採用後でも解雇するためには相応の理由が必要であり、解雇前には通告の義務があります。それをしない場合には解雇予告手当を支払うことが義務付けられています。つまり、試用期間・本採用後を問わず、企業は簡単に人材を解雇することは出来ないということになります。しかし、むやみに欠勤をしてしまうと「社会人としての自覚が足りない」と言った判断をされ、本採用後のキャリアパスプランに影響する可能性もあるため、出来る限りネガティブな要素は排除するように努めることが大切です。
試用期間中の欠勤は社会人意識に欠ける場合は本採用の際に解雇に繋がる可能性がある
試用期間は「お試し期間」と思っている個人・企業が以外にも多いのですが、試用期間であろうと本採用後であろうと基本的に状況は変わりません。欠勤を理由に本採用の取り消しや解雇事由とする場合、相応の理由が必要となります。しかし、欠勤の内容によっては十分な解雇事由となる可能性もあるため、十分に注意する必要があります。
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