「ご期待に添う」という表現の正しい使用方法
「ご期待に添う」という表現は目的どおりになるようにするという意味
「ご期待に添う」は相手が当てにして心待ちにしていること(=期待)に対して、目的どおりになるようにする(添う)という意味で、使用されます。「添う」も聞きなれない表現かもしれませんが、これは他のビジネス表現でもよく使用されます。たとえば、実現不可能な要望をしてきた人に対して明確に断りたいとき、次のような表現ができます。「ご希望には添いかねます」率直に言えば、希望通りにはできませんということです。婉曲的な印象を与えますが、実は明確な否定表現なので、丁重にお断りをしたいときに「ご期待に添う」は重宝する言葉です。
「ご期待に沿う」と使用するもある
「ご期待に沿う」は、「ご期待に添う」と読み方は同じですが後半の意味が異なります。「沿う」とは、方針や基準となるものに従い、そこから離れないような行動をいいます。例として、「要求に沿った回答」という使用方があります。要求通りの回答ということです。「添う」と同様に目的どおりにするという意味ですが、より間違いなく正確に、ぴったりと目的に適っているという印象を与える言葉です。どちらを使用すればいいか迷うところですが、割合としては「期待に添う」の方が多く使われています。沿うと同義で漢字を「添」にもできるため、「ご期待に添う」という漢字を選択する方が、不要な誤解を与えずに使用できます。
「ご期待に添う」を口頭で使用する場合は返し言葉で使う
「ご期待に添う」を新しい表現を初めて口に出すときは、緊張するものです。聞きかじりの言葉を使用すると、間違えてしまう場合もよくあります。そこで、「ご期待に添う」の口語表現での正しい使用方を学んで、自信を持って使えるようにしましょう。「ご期待に添う」のもっとも使用しやすい場面は、目上の相手から「期待しているよ!」という言葉をかけられたときです。返し言葉として使用できるでしょう。最終面接の場で採用と来月からの勤務を言い渡され、「あなたの営業力に期待していますよ」と言われたら、「ご期待に添うべく精一杯努めてまいります」と使用してみましょう。
あらたまった表現なので不適切な使用になる場合もある
「ご期待に添う」はビジネス以外の日常会話ではあまり使用されない言葉なので、くだけたシーンで使ってしまうと一気に緊張感を呼んでしまう場合もあります。たとえば、会社の飲み会の席で酔った先輩が「君は優秀な大学を出て資格もあるから、期待の星なんだ!」などと持ち上げてくれたときに、「はい、ご期待に添うべく努力いたします」などと答えてしまうと、周りも笑っていいところなのかわからなくなるかもしれません。あらたまった表現ではなく、「期待の星として輝けるようにがんばりますね!」などとユーモアのある返しの方が求められる場面です。
「ご期待に添う」はメールが使用しやすい
堅い表現なので、「ご期待に添う」はビジネスメールには打ってつけです。契約をしてくれたクライアントへのお礼と今後のスケジュールを兼ねてメールを作成する際、末尾に次のように「ご期待に添う」が使用できます。「多くの見積提示の中から、弊社をパートナーとして選んで下さったことにあらためて感謝申し上げます。今後共ご期待に添えるよう尽力してまいります。」あらたまった表現を使用するときは、誤字脱字や敬語の誤りがないか注意を払いましょう。
場面に応じた例文の紹介
お客様の要望を適えることができないときには、次のように記載できます。「大変申し訳ございませんが、お客様のご希望に添うことが難しい状況です。」「残念ながら、ご希望に添いかねる結果となりましたことを深くお詫び申し上げます。」明確に何かができないと伝えるときは、期待という漠然とした表現よりも希望を用いる方がよいでしょう。過大な期待をされてプレッシャーを感じるときは、次のように書くと心境が伝わるかもしれません。「ご期待に添えますかどうか案ずるところはございますが、精一杯努めてまいります。」期待に応えることに及び腰の印象を与えず、しかし懸念が残り、それを前向きに捉えて努力する意志が伝わるでしょう。
「ご期待に添う」はビジネスシーンで要望に応えるときの返し言葉で使用する表現
「ご期待に添う」という表現は、相手の希望や要望を適える意思を表す言葉です。使い慣れないうちは、誤用を避けるためにも正しい例文をそのまま使用するとよいでしょう。慎重に何度か使用するうちに、どの程度表現を変えて応用できるかといったこともわかってきます。また、自分が使う言葉には敏感になるもので、他の社員のメール文や口頭表現に使われていることにも気付くようになります。
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