メンタルヘルスとは?義務化されたストレスチェックの概要と意義

2016年11月29日メンタルヘルス

メンタルヘルスとは「精神面の健康」を意味する

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最近、メンタルヘルスと言う言葉をよく耳にする人も多いでしょう。メンタルヘルスとは、「精神面の健康」という意味です。精神的健康、心の健康、精神保健、精神衛生などとも呼ばれています。

精神的な疲労やストレスの軽減、緩和、対策を目的とした場面でよく使われる言葉です。精神障害の予防と回復を目的にした場面でも頻繁に使われます。

世界各国でメンタルヘルスへの取り組みが活発に行われていますが、日本ではどうでしょうか?

日本のメンタルヘルスへの取り組みは不十分

メンタルヘルスへの注目度は高まっているものの、日本のメンタルヘルスへの取り組みは不十分と言われています。特に高い自殺率、精神科の病床数の多さと平均入院期間の長さは、悪い意味で世界から注目を集めているのが現状です。

そのため、メンタルヘルスへの取り組みを積極的に行い、精神医療制度の改善や新たな政策を進めています。

労働安全衛生法の改正でストレスチェック義務化

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労働安全衛生法の改正により、2015年12月からストレスチェックの実施が義務づけられました。ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、回答を集計・分析するという検査です。その結果から、回答者(労働者)のストレス状態を調べます。

2015年12月以降、年に1回、この検査をすべての労働者に実施することが事業主の義務になりました。

目的はうつなどのメンタルヘルス不調の防止

ストレスチェックを実施する目的は、うつなどのメンタルヘルス不調を未然に防ぐことです。ストレスチェックの結果、高いストレス状態であると判断された場合、専門医の診断を受けられます。その診断の結果次第では、仕事量の軽減などの就業上の措置が検討され、メンタルヘルスの改善を目指します。こうすることでメンタルヘルスに不調を防止できると考えられています。

個人に対して適切な処置をとるだけでなく、労働者全員の回答を分析し、その結果から職場環境の改善にも役立てられます。

50名以上の従業員がいる会社に実施義務が課せられる

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すべての事業主がストレスチェックが義務づけられるわけではありません。ストレスチェックが義務づけられるのは労働者が50名以上いる事業場です。以下の要件を満たす労働者は、ストレスチェックの対象者になります。

■期間に定めのない労働契約によって使用される者

■1週間の労働時間が、その事業場で同種の業務に従事する正社員の1週間の所定労働時間の4分の3以上である者

チェックを実施できるのは医師・保健師・看護師・精神保健衛生士

ストレスチェックは誰にでも実施できるわけではありません。ストレスチェック実施者は、医師、保健師、厚生労働省の定める研修を受けた看護師、精神保健衛生士の中から選定します。より正確な検査を行うため、事業場の状況をよく知る産業医などが実施者になるのが望ましいとされています。

なお、ストレスチェックの実施者は限られているため、実施者の外部委託が認められています。

結果は企業側には通知されない

「回答を上司や会社側に知られたくないから正直に答えられない」

「会社で実施する検査に現状が反映されるわけがない」

と考える労働者も数多くいますが、回答や結果は本人の同意なしに会社側に通知されることはありません。ストレスチェックの実施者以外の第三者や人事権を持つ社員が、記入済みの質問票を見ることは禁止されています。

そのため、労働者は正直な回答を記入することが可能になります。

「医師による面接指導が必要」と判断されたらすぐに病院へ

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高いストレス状態で「医師による面接指導が必要」と判断されたら、すぐに専門医の診断を受けましょう。ただし、「医師による面接指導が必要」と診断された労働者全員が、自動的に医師の診断を受けられるわけではありません。「医師による面接指導が必要」と診断された労働者の方から申し出た場合、会社側から医師に依頼をして面接指導が実施されるという流れになります。

なお、この面接指導を希望する申し出ができるのは、結果を通知されてから1ヶ月以内と決まっているので注意しましょう。

ストレスチェックの質問票に含むべき質問

ストレスチェックの質問票の内容は、以下の3つの事項に関する質問を含んでいれば他に特別な指定はありません。

①ストレスの原因に関する質問

②ストレスによる心身の自覚症状について

③労働者への周囲のサポートに関して

ストレスチェックの質問票内容例

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ストレスチェックの質問内容例を紹介します。質問に対して、複数の回答例の中からもっとも自分に近いものを選択する形式になります。

【質問例①】

回答の選択肢は「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」の4つ

・非常にたくさんの仕事をしなければならない

・時間内に仕事が処理しきれない

・勤務時間中は常に仕事のことを考えなければならない

・一生懸命働かなければならない

・高度な知識や技術が必要な仕事だ

・体を非常によく使う仕事だ

・自分のペースで仕事ができる

・自分の裁量で仕事の順番とやり方を決めることができる

・職場の仕事方針に自分の意見を反映できる

・自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない

【質問例②】

回答の選択肢は「ほとんどなかった」「ときどきあった」「しばしばあった」「ほとんどいつもあった」の4つ

・活気がわいてくる

・元気がいっぱいだ

・生き生きしている

・怒りを感じる

・内心腹立たしい

・イライラしている

・ひどく疲れた

・だるい

・不安だ

・気が張りつめている

メンタルヘルスを守るためのストレスチェックで注意すること

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メンタルヘルスを守るためのストレスチェックを実施する際には、注意しなければならない点があります。ストレスチェックの目的である、労働者のメンタルヘルス不調の防止を達成するためにも、ここで説明する注意点は必ず守らなければなりません。

プライバシーの保護を徹底する

回答者のプライバシーの保護は徹底されなければなりません。事業主は、ストレスチェックに関する労働者の秘密を、不正に入手することはできないと定められています。さらにストレスチェックや面接指導で労働者個人の情報を扱った人には守秘義務が課せられ、違反した場合には刑罰の対象となります。

面接指導の結果で解雇や退職勧告など不利益な扱いをしない

ストレスチェックを確実かつ正しく実施されるため、事業主は労働者に対して不利益な扱いをすることは禁止されています。たとえば、面接指導を受けたいと申し出た人やストレス結果の提示に同意しない人などに対しての不利益な扱いは、あってはならないのです。

さらに、面接指導の結果を理由に解雇や雇止め、退職勧告、不当な配置転換、職位の変更なども禁止されています。

ストレスチェックを実施する意義とは

最後に、ストレスチェックを実施する意義についてまとめておきましょう。ストレスチェックの義務化は、開始されたばかりの制度です。いまいち実施する意義がわからないという人も多いはず。

ストレスチェックを実施する意義は、労働者と事業主の双方にあります。

労働者にとっての意義

労働者にとってのストレスチェックの意義は以下の通りです。

■自身のストレスの状態と原因を把握する

■メンタルヘルスのセルフケアのきっかけになる(実施者から必要なアドバイスが行われる)

■面接指導を受けて就業上の措置が決定→負担が軽くなる

■結果によって職場環境が改善される

自分自身が思っている以上に、ストレスを溜め込んでいる人はたくさんいます。日本人の気質上、ストレスや疲れを無意識の内に我慢している人は多くいるのです。メンタルヘルスのためにも、自身のストレス状態は正確に把握しておかなければなりません。

事業者によっての意義

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事業者にとってのストレスチェックの意義は以下の通りです。

■労働者のメンタルヘルス不調を防止

■問題点を明確に把握でき、職場環境改善の具体的な検討が可能に

■職場環境の改善により、生産性や業績の向上が期待できる

労働者のメンタルヘルス状態を把握して不調を防止する、職場環境をより良いものへと改善していくことで、結果的に生産性や業績の向上が期待できます。より会社を成長させるには、メンタルヘルス不調を引き起こさせない、職場環境の問題点は確実に改善するという考え方が今後は広まっていくでしょう。

メンタルヘルス不調はストレスチェックだけでなく面接指導を推奨して防止しよう

ストレスチェックは義務化されましたが、ストレス状態が高い労働者が面接指導を受けることは義務化されていません。そのため、高いストレス状態にあると判断されながら、面接指導を申し出ない労働者も多数いるでしょう。ストレスチェックだけでは、メンタルヘルスの不調防止には不十分です。面接指導を推奨し、メンタルヘルス不調を防止していくべきでしょう。

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Posted by BiZPARK