4Mの意味とそれを活用した品質管理法
品質管理は製品の評価を高めるために重要な意味を持つ
「品質管理は、買手の要求に合った品質の品物または サービスを経済的に作り出すための手段の体系」と定義されています。工場の生産現場では、消費者が満足する製品を作るために、日々品質の管理・向上・改善が行われています。日本製品は海外でも高い評価を得ていますが、そのために意味を持つのが品質管理の技術なのです。品質管理は様々な分野にわたります。
品質管理では問題に対する改善が重要
良い製品を作るための技術改善ももちろんですが、重要なのはうまくいかないことがあった時に、それをいかに今後に生かす事ができるかが、高い品質維持のポイントとなります。例えば、工業生産品では必ず一定数の不良品が出てしまいます。しかし、それを仕方がないからと改善せずそのままにするか、少しでも不良品を少なくするために改善していくかでは、その後の企業力に大きな影響を及ぼします。
品質管理の枠組みとして利用されているのが4M
品質不良の改善と言っても、やみくもな試行錯誤ではあまりにも効率が悪すぎます。どのように原因究明し、改善策を打ち立てていくかの考え方の枠組みが「4M」です。不良品が発生する主な原因である、Man:人、Machine:機械、Material:材料、Method:方法の、これら4つの意味である英語の頭文字「M」をとって「4M」と呼ばれています。4Mをしっかり管理することで品質不良を未然に防げる意味があります。逆に4Mの要素になんらかの不具合や変更があった時が、品質不良が発生しやすいポイントなのです。
4Mにおけるそれぞれの「M」が指す意味
それでは、4Mのそれぞれの「M」が指す言葉の意味を見てみましょう。
●Man(人):品質管理に関わる全ての人を意味します
現場作業者、出荷前検査者、製品設計者、品質管理の責任者など
●Machine(機械):工場の機械や設備
●Material(材料):製品の材料や部品
●Method(方法):製品の製造方法や作業の手順など
活用法①:4Mを元に問題の原因を列挙する
実際は、何か問題が起こった時に4Mの観点から分析し、問題の原因を探ることになります。例えば、「製品の一部に欠けが生じた」という不良が起こったとします。作業が雑だったのだろう、と推測で簡単に済ませることなく、4Mの分類から考えうるあらゆる原因を列挙するのです。以下に例を挙げましょう。
4Mから分析できる不良原因の例
Man(人)…誰が作業したか、作業者はベテランか新人か、深夜勤務などミスが多くなる時間帯に起きた不良かどうか
Machine(機械)…機械設備の設定は間違っていないか、整備不良は無いか
Material(材料)…材料の段階で欠損が生じていないか、欠けが生じやすい素材ではないか
Method(方法)…作業手順が適正かどうか、作業環境で欠けの原因となるものはないか
実際の不良原因は1つだけでなく、複数の要素が合わさって起きることがほとんどです。
できるかぎり正確に原因を把握することが正しく改善につながり、品質管理を高いレベルに保つのです。
活用法②:4M変動管理によって不良発生時の状況を管理する
品質管理に不備があった時に、記録が無ければ原因調査ができません。4Mの要素について、変化状況を毎日記録し、不良発生時の状況を示す情報を管理することを「4M変動管理」といいます。たいていの場合、記録担当者・記録する内容・記録する時間や間隔を決めて、必要なスタッフに情報がすぐわかるような仕組みを作って管理することになります。
4M変動管理の記録内容例
・勤務状態、作業者記録
・設備点検記録
・作業内容記録
・生産数量の記録
・不良の記録
・検査記録
・設計変更の記録
・原材料の変更記録
・その他備考、気になった事
4M変動管理を行えば原因が絞り込みやすくなる
4Mの要素に変更が起こるポイント、変化点を記録することにより、不良が発生したときに原因を絞り込みやすくなり、品質管理の助けとなります。また、常に変化点を見張っているので、予兆をとらえやすくなります。異常があったら素早く対策を取り、不良が出る前に未然に防ぐのも4M変動管理の大きな目的の1つです。
4Mは品質管理にかかわる4点の頭文字であり不良原因の特定に意味を持つ
4Mの意味と品質管理での活用法についてご紹介しました。4Mという考えの枠組みを使った品質管理は、工場生産の現場では今や欠かせないものです。様々な角度から原因を究明し、対策を実際の運用レベルへ落とし込んで管理していくやり方は、工場現場に限らず仕事をしていく上で非常に参考になる考え方と言えます。日本の高品質な工業製品を支える4Mの考え方を自分の仕事で応用することができれば、おのずと仕事の質の向上につながっていくことでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
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