誓約書・念書・覚書の違いと見分けるポイント
覚書は契約を作成する前に合意事項を明文化するもの
覚書とは、契約書を補足・変更したり、あるいは契約書を作成する前に、当事者双方の合意事項を書面にするときに使います。覚書は契約書と同じ法的効力を持つこともあり、そのときには、覚書の内容によっては契約書と同じように収入印紙の貼付けも必要になります。覚書では念書や誓約書と違い、当事者双方の合意、署名・捺印が必要です。
覚書はしっかりと法的効力を持ちます
また、覚書は法的効力を持つので、相手が覚書で合意した義務に違反した場合には、覚書の内容に従って相手に損害賠償などを求めることができます。念書や誓約書は覚書と違い、法的効力を持つとは言い難いので、契約書と同じ効力を持たせたい、あるいは相手に必ず義務を遂行してほしいというときには、念書や誓約書ではなく、覚書を交わすようにしましょう。
念書・誓約書は当事者の一方のみが他方当事者に差し入れるもの
念書や誓約書は、当事者双方が合意する覚書とは違い、当事者の一方のみが他方当事者に差し入れるものです。そのため、念書や誓約書の書面には、覚書と違い、念書を差し出した当事者の署名・捺印しかありません。つまり、念書や誓約書とは、念書を差し出す方が一方的に義務を負ったり、一定の事実を認める内容になります。
合意書となっていても当事者の一方のみが他方に差し入れるものも「念書」という
たとえば、元彼のストーカー被害にあったとき、元彼に「今後は二度と、○○の半径〇メートル以内に近づきません。これを破ったときには、○○万円を支払います」というような内容の書類を書かせることがあります。これが念書や誓約書となります。また、書類のタイトルが「合意書」となっていても、当事者の一方のみが他方に差し入れる形式をとっているのであれば、これも念書に含まれます。
念書や誓約書のポイントは「念書や誓約書では必ずとも法的効力を持たない」こと
契約書と同じように法的効力を持つ覚書とは違い、念書や誓約書では必ずしも法的効力を持つとは言い切れません。念書や誓約書に覚書と同様の法的効力を持たせ、相手に念書に書いてある義務を必ず遂行してもらうためには、その念書を「公文書(公正証書)」にしておくことが大切です。念書や誓約書を公文書にするためには、「公正証書の手続き」をとります。この手続きでは、念書や誓約書を作成した後、当事者全員で公証役場に赴き、その念書や誓約書を元に公証人に公正証書を作成してもらいます。
公文書にする手続きには裁判所に行く場合もある
公文書にする手続きには「訴え提起前の和解手続き」という方法もありますが、こちらの方法は裁判所に出向く必要があります。公証役場での手続きは、裁判所での手続きと違い、利用しやすいうえに費用もさほどかからないのでおすすめです。ちなみに、公正証書にしてもらった結果、収入印紙の貼付が必要になる場合もあるので気をつけてください。
覚書と念書や誓約書の違いとは上記に書いたものをみてしっかりと使い分けよう
以上が、覚書と念書、誓約書の違いとそれぞれのポイントについてです。上記の通り、効力や確実性では、念書や誓約書よりも覚書が頭一つとびぬけています。なので、できれば覚書や契約書の形で、書類を作成しておいた方が、後々トラブルになるリスクが低くなります。
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