「なので」はNG敬語?目上の人への「だから」の使い方
「だから」を目上の人に使うのは厳禁
気軽に人と話すとき、もしくは何かしらの理由を説明するときに「だから」という接続詞を使う機会が多くなります。この「だから」は対等にある相手か目下の人間に対して使われることの多い言葉です。上司や先輩に「だから言っただろう」「だからそれは違うんだ」などのようにしかられた経験のある日とも多いはずです。また、友人同士の会話でも「だから違うって」「だからそうじゃなくって」など、間違いを指摘するときなども使用します。「だから」という言葉は、敬語を使うべき目上の人に使うのは厳禁です。
公共トイレで使われている「だから」を柔らかくする表現「ので」
公共のトイレで、次のような文章を見たことはないでしょうか。
「つまりの原因になる可能性がありますので、トイレットペッパー以外の紙は流さないで下さい。」
こういった文章には大抵「ので」が使われています。「だから」は原因を突き止めるような限定的な意味を持っています。一方「ので」は柔らかく表現しています。敬語、接続詞ともに、こういった柔らかい表現方法も存在します。
「だから」の代わりに使われる「なので」は間違いである
本来であれば「だから」を使う場所で、「なので」を使用している人が増えてきています。「なので」には断定の助動詞「だ」、そしてその連体形「な」、もしくは形容動詞における連体形の活用語尾である「な」に、接続詞の「ので」が付属したものになります。当然、助動詞は付属語になりますから単独で使うことが出来ない言葉です。そして活用語尾も同様になります。つまりは「なので」を接続詞として使うことは、文法体系上「間違っている」のです。
文章に「なので」を使うことはできない
間違った接続詞である「なので」が広まった原因を考えてみましょう。まず、第一に「だから」「ですから」等は、常体と敬体の使い分けが面倒であること、第二に、「だから」に含まれる音が硬いこと、第三に自己主張の強さをイメージさせることが挙げられます。敬語や卒属しには難しい部分が数多く存在しますが、結論としては「なので」を文章で書くことは認められません。
現代社会は間違った敬語が増えている
現代の日本では、先述の「だから」と「なので」の問題のように、敬語の乱れが話題になっています。間違った敬語が流行し、社会問題まで発展することも珍しくなくなりました。間違った敬語が蔓延している世の中だからこそ、正しい敬語を学ぶ必要があるのではないでしょうか。何事も、ひとつのことを知るには、その過去を学ぶということが肝心です。敬語についての歴史的経緯と構造を見ていきましょう。
身分の上下が無くなったことにより敬語が変化していったという考察
百年以上も前の日本、江戸時代以前では身分社会でした。人々には身分が存在し、その上下関係に応じて用いる言葉が決められていました。敬語とは本来「身分語」だったのです。時代は流れ明治時代になったときに「四民平等」となったのは有名ですよね。昔からの身分がなくなったのもこのときでした。明確な身分がなくなってからというもの、本質的な「上下」が無くなったので、敬語の変質がスタートしたのです。「だから」と「なので」のように、時代が変われば敬語の形も変わる、ということなのでしょう。
「だから」の正しい敬語は「なので」ではなく「ですから」が適切である
「なので」と「だから」の違いについてご説明しました。確かに「なので」という言葉は、聞き手にとっても柔らかく聞こえますし、断定的な言い方ではないので人間関係のトラブルを避けることが出来るかもしれません。しかし、礼儀正しく接する必要のある人に対しては、正しい敬語を使うべきです。「だから」という響きが硬くでも、正しい場では正しい敬語、言葉を用いるのがマナーになります。
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