履歴書に配偶者や扶養家族を明記するべき理由3つ|パートや学生のアルバイトで記入する人数と基準
記入者本人の収入をもとに生活する子供などを扶養家族と呼ぶ
配偶者は本人の妻もしくは夫を指しますが、扶養家族はいったいどのような立場に当たるのでしょうか。「扶養」とは生活の世話をすることを意味する言葉です。つまり、その人が得た収入によって生活ができる人を指すため、収入のない配偶者や、子供などが該当するでしょう。
年間130万円以上の収入がある配偶者は扶養家族から外れる
先程のテキストにおいて、収入のない配偶者は扶養家族との記述がありましたが、実はある程度の収入があっても扶養家族として扱われます。健康保険制度に関係するよくあるご質問Q&Aをもとに、以下の条件を紹介します。
扶養家族として認められる条件
- ①年収が130万円未満で、3親等以内の家族
-(ただし、年齢が60歳以上もしくは障害者の方は年収180万円未満まで対象) - ②対象となる家族の収入が扶養する人の年収の1/2未満の場合
配偶者以外でも扶養家族から外れるケースがある
扶養家族は、子どもや高齢者なら誰でも該当するかというとそうではありません。以下の条件に該当する場合は扶養家族の対象から除外されます。
扶養家族から除外される対象
- ①共働きで、子どもが配偶者の扶養家族としてすでに含まれている場合
- ②75歳以上の高齢者
履歴書には配偶者の有無や扶養家族を明記する欄がある
履歴書には志望動機や学歴、特技など多くの欄がありますが、その欄の中に、扶養家族や配偶者の有無に関する項目が存在します。プライベートな面の質問であるがゆえに、「わざわざ回答する必要があるのか」と思う方もいるかもしれません。また、家族構成が採用に影響するとしたら不安になる人もいるでしょう。
記入内容によって採用に不利な状況になるわけではない
扶養家族を記入することによって、採用に不利な状況になることは一切ありません。扶養家族がいたとしても、手続上の記入書類が違うだけですし、企業側は本人のスキルや実績を大事にしているため、問題に挙がることもないでしょう。それではなぜ、わざわざこの欄を記入しなければならないのでしょうか。それは、これから紹介する3つの理由が挙げられます。
履歴書に配偶者の有無や続柄を記入すべき理由①:税金面の確認
履歴書に配偶者の有無や続柄をきちんと記入すべき大きな理由のひとつとして、支払い義務の発生する税金の課税額を明確にするためです。配偶者や扶養家族がいる場合、法律で定められた税金の配偶者控除や扶養控除を受けられます。ただし、それを申告しないままだと当然ながら控除を受けられませんから、本来支払い義務のない分まで支払うことになるかもしれません。家計に余計な負担を掛けないためにも必要なのです。
履歴書に配偶者の有無や続柄を記入すべき理由②:社会保険の手続き
履歴書に配偶者など続柄や扶養家族について書く理由は他にもあり、社会保険の手続き上必要だということが挙げられます。 健康保険の被扶養者、つまり扶養家族については続柄を確認し、対象と認定されたうえで扶養扱いになるでしょう。また、配偶者については健康保険の扶養だけでなく厚生年金の3号被保険者に該当するのかどうかも関わってきます。
扶養家族に漏れがあると保険証の到着が遅れる場合も
特に健康保険については、手続きする上で扶養家族の記入に漏れがあると、その家族の保険証が届くのが遅れてしまいます。そうしたトラブルを防止するためにも、履歴書の配偶者などの続柄や扶養家族の人数というのは非常に大切です。 なお、扶養家族の状況によっては手続きする上で家族の収入等の確認を要する場合もあります。 たとえば別居中の実の両親であっても所得要件等を満たせば健康保険の扶養に入れることが可能です。しかし事前に扶養家族として企業側が認識していなければ、入社時にご両親の所得を証明する書類の提出を指示できないかもしれません。 入社後に把握した場合には別居中であれば書類が手元に届くまでに時間を要するでしょうから、どんどん手続きが遅れます。
履歴書に配偶者の有無や続柄を記入すべき理由③:待遇や労働条件の設定
履歴書に配偶者などの続柄や扶養家族数について書くことで、雇い入れ後の労働条件の設定に影響するのも理由として挙げられるでしょう。企業により金額の程度は異なりますが、「扶養手当」や「家族手当」などの名目で支給される賃金を、未記入では受け取れなくなってしまうのです。
扶養家族が多ければ転勤の可能性が低くなる場合も
扶養家族がいれば一律○円と、初めから手当額を固定している企業もありますが、人数に合わせて増額するケースもあり得ます。また、企業によっては配属先や転勤などを検討する際の判断材料として扱う可能性もあります。 扶養家族が全くいなければ身軽に動きやすいでしょうし、逆に扶養家族が多ければある程度配慮する場合も考えられます。手当などの待遇面や配属先などにも影響があるかもしれないと考えると、履歴書に配偶者などの続柄や扶養家族数を書くことの大切さを痛感できるのではないでしょうか。
扶養家族・配偶者の記入内容を確認しよう
扶養家族や配偶者がいる場合、履歴書にはどのような内容を記入すればいいのでしょうか。ここでは、結婚していない場合、パート勤務の場合、学生アルバイトの場合の3つに分けて記入例を紹介します。
記入内容①:結婚していない内縁の妻(夫)がいる場合
結婚しておらず、収入のない内縁の妻(夫)がい場合、扶養家族や配偶者はどのような記入内容にするべきでしょうか。記入例は以下の通りです。
内縁の妻(夫)と同居している場合の扶養・配偶者表記例
- 配偶者:なし 扶養家族:1人 扶養義務:あり
内縁の妻(夫)は事実婚であり、正式な婚姻関係ではありません。そのため、配偶者は「なし」となります。ただし、扶養する人の収入で生活していれば、内縁関係であっても扶養家族として該当するため、扶養家族が「1人」、扶養義務は「あり」となります。内縁の妻(夫)の子どもも、前述の条件に該当すれば扶養家族に含まれるでしょう。
記入内容②:夫が無職で子供が2人いるパート勤務の妻が履歴書を出す場合
続いては、夫が無職でパート勤務の妻が正社員希望の履歴書を提出する場合です。この場合、夫の収入はゼロになるので、以下の表記になります。
妻がパートで夫が無職の扶養・配偶者表記例
- 配偶者:あり 扶養家族:3人 扶養義務:あり
①と違い、夫とは婚姻関係を結んでいるため、配偶者欄が「あり」になります。一方、妻が唯一の収入源なので、夫と子供2人の扶養義務が発生します。そのため、扶養家族は「3人」、扶養義務は「あり」と記入しましょう。
記入内容③:家族と同居する学生アルバイトの場合
家族と同居している学生がアルバイト勤務で履歴書を提出する場合の記入はどうなるでしょうか。記入例は以下の通りです。
学生アルバイトの扶養・配偶者表記例
- 配偶者:なし 扶養家族:未記入 扶養義務:なし
家族と同居している場合、父か母どちらかの扶養家族に入ってはいますが、学生本人が家族を養っているわけではないので、扶養家族欄と扶養義務を記入する必要はありません。また、婚姻関係でなければ配偶者欄もなしとなります。仕事をすることで扶養家族から外れるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、始めに紹介した条件にある、年収130万円未満の収入であれば、扶養家族のままアルバイト勤務が可能となります。
履歴書に配偶者など続柄や扶養家族を書けば入社後の手続きがスムーズになる|学生アルバイトの場合は独身であれば記入しなくても良い
履歴書の配偶者など続柄や扶養家族を書く欄というのは意外と重要な項目だとわかりました。ただし、履歴書に書かなければならないのは必要最低限の項目であって、家族の職業などプライバシーにかかわる内容まで書く必要はありません。既婚か、扶養する必要のある家族は何人いるのかがわかれば問題ないでしょう。なお、扶養する人の収入をもとに生活していれば、事実婚状態の人も扶養家族の対象になります。学生アルバイトの場合、130万円未満の収入であれば、両親どちらかの扶養に入っていても問題ありません。また、独身であれば、配偶者の項目は「なし」と必ず記入しましょう。
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